第四十三話「国王」
前回。ヴァート達と別れたミールとリーラは、ミールの知り合いである[ホワイト]と対面する。展開された試練にて、鏡のミール、リーラと戦闘を開始する。
「ハァハァ!!」
「待て!!!」
「バーカ!!追いついてみやがれ!!!こちとらまだ睡眠不足で全力出せてね〜んだよ!!」
王宮の廊下を走り回るゴードは、計25以上の扉を開けたが、以前王の居る部屋に辿り着けなかった。
「何処だよ国王!!ビビってんのか!!」
「王を侮辱するな!!!」
「あ?聞こえね〜よモブ!!!」
「「「んだとゴラッ?!?!」」」
「うお?!」
頭に来た騎士達は立ち止まり、甲冑を外す。軽装備に着替えた後、全力疾走で追いかけて来た。
「早?!?!?!」
「王国騎士を舐めてんじゃねぇぞ!!!」
「そうだそうだ!!」
「はっ!!せ、声量だけは一丁前だな!!!」
「「「舐めんな格下が!!!」」」
「おいおい…言葉に棘がありすぎだろ!!本当に騎士か?!もっと冷静に対処するのが騎士だろうが!!」
ゴードが叫ぶと、騎士達は立ち止まり、後ろを向いた。
「確かにそうだな…」
「…あ?」
「騎士とは…林の如き静寂さを持ち、何事も冷静に…。フッ忘れていたぜ。全く。」
「……」
「ありがとな兄ちゃん。」
「な、なんだったんだ???」
甲冑を拾った騎士達は、再び着替える。そして…
「「「でもお前だけは捕まえる!!!」」」
全力で追いかけ来た。
「んだよこいつら!!!」
「「「待て!!」」」
「待たねぇよ!!!」
走り始めたゴードだったが、目の前に星型のゲートが現れ、黒髪の男[アルベ・イス]がゴードの腕を掴む。
「うぉ?!?!」
「!!アルベ様?!」
「はぁ…こいつか?暴れてるって奴は…」
(クソジジィ…こっちもこっちで育成中だよ馬鹿野郎。ん?こいつ推薦の…てか力強ぇな…)
瞬間。アルベの頭をゴードが蹴った。衝撃で隣の扉を破壊し、吹き飛ばされたアルベは天井を見上げる。
「…」
(痛ぇ……。今期の推薦入学者はイカれてんのか?)
「お前強いだろ!!戦えや!!」
「なんでだよ…」
(はぁ…なんでこう…身の程知らずな馬鹿がいるのかね……)
「あ?強くなりてぇからに決まってるだろ!!」
「…嫌。無理だお前には。」
(めんどくせぇ…何よりウゼェ。よし…)
「あ?」
「殺るか!」
アルベは上半身を起こすと、半目で嬉しそうに笑った。
「?!(?!動けねぇ!!!)」
再びゴードの身体が動かなくなる。[カイト]や[エルドラ]の時と同じだが、桁違いの威圧に、ゴードは呼吸が止まった。
「Sランクごときのガキが偉そうに…」
「…(やべぇ)」
「アルベ様?!?!」
「[澄み渡る領土]/禁止エリア[氷土]/氷の精霊[ヨハネ]/我元に…」
「待て待て。国を滅ぼす気か?」
「あ?」
詠唱中のアルベの肩を触り、中断させる。笑顔の男性は、ゴードに近寄ると、嬉しそうに話しかけた。
「私を探していたそうだね。」
「…アンタが来るなら俺蹴られ損じゃないですか…国王…」
「?!(コイツが国王?!)」
※ゴードはこの前出会った事を覚えていなかった。
「いやいや…ここ私の部屋だし。いきなり扉壊されてビックリしたんだから。」
「この間みたいに寝てれば良かったでしょ。」
「冷たいねぇ…」
「当たり前だろ…こちとら休暇中に働いてんだ…今の時間は本読みながら寛いでる所なんだよ!!餓鬼どもに2度も邪魔されて、椅子弁償して、お前にコキ使われて!!挙句に顔面蹴られてる!!そんで持ってここ10年まともな休暇が無いんだぞ!!あぁ?!自室って何だよブラックか?!あ"ぁイラつく!!!ちょっと第三魔王軍と第二魔王軍滅ぼして来ます!!アイツらも最近調子乗りすぎだ馬鹿野郎!!」
「落ち着きなさい…はぁ。第三は行けても第二は死んじゃうよ?」
「問題ないわ!!何人かぶっ殺して俺も死んでやる!!!」
「はぁ…じゃあ今日から満足するまで休みな。久しぶりに私が頑張るから」
「ダメです。国が滅びます。」
「…じゃあ任せるね?」
「任せて下さい。」
情緒が不安定なアルベは、誇らしげに胸を叩いた。国王は未だに動かないゴードに近寄り、顔を見る。
「…気絶してる…」
「は!ただのガキが調子乗るからですよ」
「アルベ?カイトのした事覚えてないのか?はぁ…後で罰を…嫌……手を出したのはこの子の方か…」
「そうです。」
「…うん。アルベはゆっくり休んでくれ。この子は私が面倒見るよ」
「!この後!!呼び出したり…」
「しないよ。」
「!!よし!休みます!!」
「うん」
ウキウキになったアルベは[ゲート]を展開し、目の前から消えた。
「さて…ん?駄目だよ。昨日は君だったでしょ?今日は私が面倒見るから。うん。明日は変わるよ。」
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勇者学校魔法研究所/テスト区画/
「はぁはぁ…」
「全然駄目。戦場の真っ只中で魔法詠唱する事は、時間のロスと使う魔法を教えてあげる様な物。今日中に詠唱なしで魔法を出せる様にしないとね」
「大丈夫だよアイスちゃん!!アリシアちゃんは教えるの上手いから!!」
「で、でもマナが…」
ヴァート達と別れて2時間が経過した。アリシアの指導の元、アイスは魔法詠唱の短縮を実現しようとしていたのだが…
「マナ?あぁじゃあ少し休憩を挟みながら授業しようかな。セリア?お願い」
「うん!!さてさて問題!!あっ!これ結構間違う人いるから良く考えて見てね?」
「…はい」
「魔法を発動するには[マナ]が必要ですが、[マナ]とは一体何処にあるでしょうか?」
「…体内じゃ?」
「外れです!正解は!!」
「気体だよ。」
「えっ…」
「…まぁ。その反応が当たり前だよね。マナは体内にあり、そのマナが無くなったら魔法を発動できない。これは人口の九割が勘違いしてる一般常識だよ。」
「でも…どうやって気体のマナを…」
「…最初は掴んで使う。慣れて来たら視界に入れるだけで使えるよ?こんな感じ。」
アリシアは辺りを見渡し、右手を伸ばした。その後、アイスの右手を取り、触れる。
「あっ…」
「わかった?」
「うん。マナが少し回復した!」
「でしょ?魔法を研究してたら次第にマナが見えて来るはずだから、頑張ろうね?」
「うん!!頑張る!!」
「おいビックニュースだ!!!!!」
「?」
「ビックリした!」
「!どうしたの!キミ君!!」
魔法研究所の扉を勢いよく開いた男は、興奮しながら大声で叫んだ。
「推薦入学者のヴァート君とホープラス君が!!たった今特待生10抜きを達成したぞ!!」
「ヴァート?!」
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勇者学校模擬試合場
「うぉぉぉおおおおおおお!!!!!」
鳴り止まぬ歓声。増え続ける観客。息を切らすヴァートとホープラスは観客になりすますロゼに叫んだ。
「これいつ終わるんですか?!?!」
「ごめんね?なんか楽しそうだから…」
「はぁ…はぁ…も、もう限界です…」
「大丈夫か!ホープラス!!」
「少し…だけ…お時間貰えれば…」
地面に倒れ込んだホープラス。しかし、好奇心旺盛な特待生は止まらない。
「!バリアの子が倒れてる!!俺行きます!!」
「おっ!!行け行け!!」
観客席から飛び降りた黒髪トゲトゲの男は、笑顔で叫んだ。
「ロゼ君が負けてんだ!!そこらの特待生が勝てるわけねぇだろっつう話よ!!ここは第三位に君臨する…この俺!!!キザに任せろ!!!!」
「「「うぉぉぉおおおおおおお!!!!!」」」
(エリックには悪いが…抜け駆けさせて貰うぜ…)
「ホープラスは休んでろ!!俺一人でやる。」
「いや…僕も少しは応戦するよ…」
「さて…実力見せて貰うぞ!!!後輩君!!!」
鳴り響く歓声が空気を覆う。ヴァートとキザはタイムが0になると同時に、右足を踏み込んだ。
次回「勇者学校特待生第三位」
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