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世代の勇者  作者: グミ
第二章「選抜戦」
38/85

第三十七話「[記憶]」

前回…突然深夜に起こされたヴァートは、ゴードとヘルアの特訓に付き合う事となる。急遽始まったゴードとの模擬戦にて、ヴァートは[笑いの勇者]ジョーカーから貰ったスキルと、自身のスキル[記憶]を初めて使う事となる。

反勇者[バン]のスキルを[記憶]したヴァートは、ゴードとの模擬戦に勝利し、ヘルアとの模擬戦を始めようとしていた。

「[剣の魔神]…[ソーディア]…[記憶]」

「?!」


小さく呟いたヴァートは目の前の黒髪の男[ヘルア]を視界に写した。


______________________


スキル [破壊]

死亡数 0

弱点  なし

ランク 5thランク

______________________


「…」

(弱点なし…やっぱり簡単には倒せないよな…)

「行くぞ?」

「はい…」

(でも大丈夫だ…脳が冴えてる…今なら何でも出来る気がする)

ヴァートの様子を見ていたヘルアは、少し呼吸を整えた。


「…」

(よし…基礎でなくオリジナル…ヴァートは恐らく新しいスキルを2つ以上は持ってるはずだ…扱い慣れていないスキルをアドリブで使用してる…なら)

ヘルアはその場でしゃがみ、右手を地面に付け…



<広範囲破壊>



「?!」

ヘルアがスキルを発動しようとした瞬間。ヴァートは突然地面を蹴った。


「な?!」



<左脚の反撃>



「速すぎだろ?!」

飛び込んでくるヴァートに対し、ヘルアは両手を地面に付け、回転。そのまま左脚の踵をヴァートの顎へと…


「見えてますよ」

「知ってる」

「?!」

背後を取ったヴァートは目の前の情報に驚いた。ヘルアの反撃は避けられる事を想定した上での行動。騙されたヴァートは咄嗟に飛び上がろうとしたが…



<広範囲破壊>



「破壊」

「ぐっ?!」


ドゴンッ!!!!!!!



激しい衝撃が発生し、ヴァートは体制を崩した。瞬間ヘルアは、右手の模擬刀をヴァートの腹に薙ぎ払った。


「ガァ?!」

(駄目だ…情報が入って来ない?!)

「良かったよ」

吹き飛ばされたヴァートは300m程吹き飛ばされ、川に転がった。


「未来でも見てるのかと思ったが違うみたいだな」

「ハァ…ハァ…」

(条件が揃わないとジョーカーさんのスキルが発動しない…ならやっぱり…)

「続けるか?」

「魔力![ソード]!![記憶]!!」

ヴァートは右手を伸ばし、叫んだ。しかし結果は、ヴァートの望まない方向へと向かった。


「出来ない…」

「…続けるんだな?」

「…」

走り始めたヘルアに反撃する為、ヴァートはフラフラと立ち上がる。


「…」

([爆発]は使えた…じゃあ何でだ?!こっちにも発動条件が?!)



<石>



「…石?」


ガンッ!!!!


情報が見えた瞬間。ヴァートは足に衝撃が走り、前に倒れた。困惑しているヴァートを見たヘルアは模擬刀でヴァートの模擬刀を吹き飛ばし、切り返した後、ヴァートの後頭部を叩いた。



        第三十七話「[記憶]」



「…うわぁ?!?!」

「起きたか」

「ヴァート!大丈夫か?!」

「…あれ…?」

「よかったぁ〜〜」

目が覚めたヴァートは、突然白髪の少女に抱き付かれた。


「?!アイス?!なんで…」

「爆発音がしたから起きたの!!豆腐ハウスにヴァートも居ないし!凄い音が聞こえて…大丈夫?!」

「あぁ…大丈夫。…」

「…ヘルアさん…ゴードさん…説明して貰っても良いですか…」

「…特訓してた。」

「…特訓?」

「俺とゴードの特訓をヴァートくんに頼んで、模擬戦をしたんだ。軽い手合わせのつもりだったけど、お互い熱くなってしまい…」

「俺とおっさんで連戦したからな〜。めちゃくちゃ楽しかったけど…」

「連戦って…昨日何があったか覚えてないんですか?!」

「ちょ…アイス…」

「ヴァートは休んでて!!」

「…はい。」

「そんなに特訓したいなら私が相手になります!!これ以上ヴァートに無理はさせないで下さい!!」

「…悪かった」

「…?お前が相手になる?!おいおっさん!めっちゃ良いじゃねぇか!!やろうぜ?!」

「ちょっと黙ってろ」

「何だよ?ビビってんのか?こいやアイス!!お前の実力も知りたかった所だ!!!」



______________________

2分後


「悪かったな」

「謝るぐらいなら最初からヴァートを巻き込まないで下さい!!」

「…」

「…アイス…悪かった…って…と…取り敢えずこの…氷…解いてくれないか…?」

「貴方は黙ってて下さい!!!」

「…」

「アイス…」

「何!!」

感情的になったアイスを止める事は、ほぼ不可能に近い。ただ、アイスを止めてでも、ヘルアに聞いておかないといけない事がヴァートにはあった。


「…本当にごめん…でも…強くなるために必要な事なんだ。…少し話しても良いか?」

「…まぁ?今後私の知らない所で無茶しないなら?良いけど」

「…分かった…ありがとな?…ヘルアさん」

「…スキルの事か?」

「はい!…僕のスキルには、[発動条件]があるみたいです。戦ってみた感じ…憶測でも良いので!…思った事を教えて頂けませんか?」

「…はぁ…そうだな。俺のスキルは掌で触れたら発動。ミールも覚醒してるから条件は同じ。ヴァートくんのスキルが、相手の行動を感知するスキルだとすれば…[敵の視認][ランダム][自身の体調][必要な行動]が発動条件としてあり得るだろう。」

「…なるほど…」

「可能性が一番高いのは…[自身の体調]だろうな。例えば…[避けれる体制]や[回避出来る攻撃」にのみ発動するって感じかな?」

「回避出来る攻撃…確かに…」

「それとヴァートくん?…スキルに頼りすぎてないか?」

「あっ…」

「最後に投げた石…簡単に避けれただろ?情報が出るのを意識的に待ってたら避け切れる攻撃も避けれない。」

「分かりました…あと一つ!」

「…ん?」

「ヘルアさんとの戦いで、僕は[剣の魔神]の魔力を[記憶]しようとしました。…でも出来なかった…なぜ反勇者の魔法は使えて、[剣の魔神]の魔力は使えなかったんでしょうか?!」

「…ん〜〜。普通に考えたら魔法と魔力だと違いが大き過ぎる…とか…ん〜〜…難しいが…」

「…理解度じゃないの?」

「!」

ヴァートとヘルアが悩んでいると、話を聞いていたアイスが呟いた


「理解度…」

「そうじゃない?魔法の使い方は私が何回か教えてるし、反勇者とは正面から戦ってる。」

「…ならアイスくんの魔法も使えるって事か?」

「確かに…」

ヴァートは少し考えて、森の方に振り向くと、右手を前に出し、詠唱を始めた。


「アイスロック!」

「…」

「…出来ないな…」

続けてヴァートは地面に右手を付けて叫んだ


「破壊!!!」

「…」

「あ〜…すまんヴァートくん。俺のスキルは一工夫必要なんだ。ただ手で触れるだけだと発動しない」

「なるほど…」

少し落ち込んだヴァートは顔を上げ、左手を上に上げた。


「爆発!!!!」

「ヴァート…」

「?」

「なんでぇ?!?!」

ゴードとの模擬戦で発動した反勇者の魔法ですら発動しなかった。困惑しているヴァートだったが、氷付けにされていたゴードが声を上げた。


「勇者候補みたいなスキルなら[制限時間]か[使用回数]とかがあるんじゃねぇか?」

「?!それだ!!」

「確かにその可能性が高い…スキルの成長具合で延びたり増えたりするケースは多くあるからな」

「アイス!!ヴァートに恩を作ったんだ!!解いてくれ!」

「特訓でチャラです!!!ちゃんと反省しないと解きません!!!」

「なっ?!?!」

「取り敢えずヴァートは帰って休んで来て!ヘルアとゴードには話があるから!!」

「…おう」


アイスの迫力に、ヴァート、ヘルア、ゴードは何も言えなかった。疑問が残りつつもヴァートは豆腐ハウスに戻った。数分経ち、就寝した頃。ヘルアとゴードは未だに説教を喰らっていた。




次回「8人」

説教


「ヴァートは一昨日目覚めたばっかりで!!その日ですら試練があったのに!!少しぐらいゆっくり休ませるって考えはないんですか!!!」

「…悪かった」

「アイス!反省した!解いてくれ!!」

「黙って聞いてて下さい!!!」

「怖…」

「反省したら解くって言ったのはアイスだろ?!」

「それが反省してる人の態度ですか?!」

「ゴード…少し黙れ…」

「と言うか!!ヘルアは25ですよね?大人ですよね?何で気を利かす事も出来ないんですか?!」

「…うん。本当にごめん」

「あはは!!確かに!!おっさん25でそれはヤバいだろ!!」

「ゴードもですよ!!!!!4歳年下相手に配慮も無く!反省の色すら見せない!!恥ずかしくないんですか?!」

「うん…本当に悪かった」

「な?!4歳も年上にその態度は何なんだよ!!」

「同期に年齢なんて関係ないです!!!!」

「確かにそうだな。ごめんな?」

「年齢を出したのはアイスからだろ?!?!」

「人としてって事ですよ!!!同期である以上、年齢による上下関係なんで物はありません!!私が言っているのはその年齢でその配慮の無さはおかしいでしょ?って言ってるんです!!!」

「うん…すまなかった」

「あ〜?わかんねぇ〜。取り敢えず解いてくれよ!悪かったって!」

「だ〜か〜ら〜!!!!!!!!」




因みに説教は…朝まで続いた。





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