第三十四話「集合」
前回。試練が崩れ、混乱しているヴァートは[魔法の勇者]アイリスと出会う。一方王宮では盤上を操作するレーチに、[盤上の勇者]アキラは戸惑っていた。
王国 ホープラス
「うわぁ?!」
「ミャァ〜〜」
「ごめん!大きな声出して!」
猫を運んでいたホープラスの体は突然浮き、王宮に向かって動き出す。
「これって勇者様の…?!まだこの子届けてないのに!」
「ホープラスくん!!」
「?!はい!!」
咄嗟に声が聞こえた方に振り向くと、[盾の勇者]ラペンも王宮に向かって飛んでいた。
「良かった!無事か?」
「はい!無事です!!」
「なら大丈夫だ。事は解決した!」
「ミャアーー」
「…猫?」
「あ!ごめんなさい!ケガしてるので医療施設まで届けようとしてたんです!」
「そうか!ならこのまま王宮に戻ってヒーリェに回復して貰おう!」
「分かりました!」
ホープラスは猫を優しく抱いて、身を任せた。少し考え、下を向くと、灰色のローブを着た[何か]が建物の裏に隠れ、じっと見ていた。
「…」
(伝えるべきかな…)
第三十四話「集合」
1stランク会議室
「着いた!」
「はい!」
「ミャ!」
ホープラスが顔を上げると、隣にいたラペンが嬉しそうに声を上げた。
「お!!盤上を操作してるのか?!これまた凄いな!」
「みんな同じ反応やなぁ。これで三人目や。トパーズ?私は6であんたは4や!勝った方が今日こそグレー様と同じベットで寝れる!」
「ん。負けない」
元魔王軍幹部トパーズ。金髪の少女は頬を膨らませて答えた。身長は120cm程しかなく、外見は子供そのもの。
「メスども!グレーさんと寝るのは俺だ!」
「じゃあ賭けて?」
「間の5!」
「あはは…」
王国ガンマの元魔王軍幹部、レッド、サオ、トパーズは仲良くグレーの横を奪い合っている。焦るグレーの横から、[破壊の後輩]事ヘルアが話しかけて来た。
「…すいません。グレーさん。レーチのやってる事って、そんなに凄い事なんですか?」
「ん?うん。凄い事だ。どれくらい凄いかと言うと、カイトのスキルを使っても尚、操作出来ないレベルだよ。分かるかな?」
「…分かりやすいです。ありがとうございます。」
ヘルアが礼を言うと、横からサオとトパーズがジト目をしながら話しかけて来る
「何や男前!あんたもライバルか?」
「…はい?」
「グレー様の事が好きなの?」
「…尊敬してます。」
「ならええわ!」
「うん。グレー様は信仰されるべきだと思う。」
「そのぐらいにしてくれ…」
「グレーを讃えるグレー好きって事でしょ?」
「…」
「…」
「…」
「…」
「…」
「…」
「…」
「…」
「…」
「…」
「フッ…」
「痛い!!!」
沈黙を吹き飛ばしたレーチの声が響き、1stランク会議室には、新たに五人。ヒーリェ、アイス、ゴード、リーラ、エデンが戻された。
「…わぁ。盤上使えるの?凄いね。びっくり。」
「うおお!!慣れねぇなこれ!」
「びっくりした(風が気持ち良かった)」
「ヴァートはまだ戻ってないんだ…」
「。?。盤上操作してるの?。!。びっくりだ。」
「はいトパーズ脱落や!!」
「鬱」
「今5!俺の一人勝ちだなこりぁ!」
「うぅ…グレーさま?わたしまけちゃった…」
「泣くのはズルやろ!!」
「こらこら。泣かせたらダメだろサオ!大丈夫だぞー」
「な?!」
グレーはトパーズの頭をポンポンと撫でた。涙を流すトパーズはグレーに抱きつき、サオをみて笑った。
「おま?!殺す!!!」
「こわいよぉ…うぅ…」
「サオ?落ち着きなよ」
「ぐぐぐぐぐ」
「痛い?!?!」
再びレーチが声を上げた。
「…アキラが操作している訳じゃ無いのか。スキルを共有したんだな」
「わぁ(*'▽'*)みんな居る!(((o(*゜▽゜*)o)))」
戻って来たのはノアとミール。ノアの反応を見たレッドはニヤリと笑い、サオに話しかけた。
「これは同じ反応じゃないよな?w」
「ぐぐぐ…ノア!!もっとこう!!驚くところがあるだろ!!」
「は?」
「ええ?!(*⁰▿⁰*)レーチくんがスキル使ってる!(*´∇`*)凄いじゃん!!(*≧∀≦*)」
「…」
ミールの反応を見たサオはミールの手を取り、王子様の様に尋ねた。
「君。好きだ。名前を教えて欲しい。」
「おいこら。誤解を招くだろ」
「ふぉぉぉぉおお!(((o(*゜▽゜*)o)))♡私ミールだよ?(*⁰▿⁰*)私も好き!♡\(//∇//)\お名前は?(*'▽'*)」
「グレー様の嫁。サオで御座います。ミール様。」
「えへへ(//∇//)なんだか照れちゃうなぁ\(//∇//)\今日からサオちゃんは私と勇者様のお嫁さんだね(*≧∀≦*)」
「それはダメや。今回の件で借りができたとは言え、俺は勝手に嫁にはなれへん」
「あれ?!(°▽°)男の人になってる!!(*'▽'*)」
先程まで女性の姿をしていたサオは、男の姿へと戻った。ニヤつくジョーカーを睨み、腕を組みながら席に戻る。興奮しているミールの横から[剣の勇者]、ノアがサオに話しかけた
「…お前も大変だな」
「ほんまや。で?トパーズ?レッド?このままやと俺がグレーさんと寝るハメになるんや。…ええんか?」
「だめ」
「うわーー。アキラの後輩盤上使えるんだーー。びっくりしたーーー。」
「…」
「これで7。勝敗は無しやな」
「だね」
あらか様なレッドの棒読みは三人の賭けの勝敗を揉み消した。
「痛い?!」
再び、レーチの声が部屋に響く。瞬間四人。ライト、カイト、アイリス、ヴァートが部屋に戻って来た。
「…戻った。あっ…」
「うお?!カイトみろよ!レーチくんが盤上使ってるぞ!」
「…そうだな。[気分]を持ってすれば不可能では無いな。」
「アイス!!」
部屋に現れたヴァートはアイスを視界に入れると、怪我がない事を確認し、ため息を吐く。隣のアイリスは、何か話そうとしていたが、言葉が詰まり、下を向いた。
「ヴァート!!」
「おう!無事で良かった」
「ヴァートさん!お帰りなさい!」
「ホープラス!ん?なんか強くなった?」
ホープラスを見たヴァートは違和感に気付いた。ジョーカーは笑顔を浮かべ、ヴァートに近づき、耳元で囁く。
「やぁ!おかえりヴァート。…気付いたかい?以前の君なら見えなかった物まで見えるはずだ。使いこなせるよう、頑張りたまえ!」
「…はい!」
返事をしたヴァートは再びホープラスを見る。
______________________
特殊 バリア操作
特殊 成長速度
死亡数 0
弱点 スタミナ
ランク 5thランク
______________________
ヴァートの視界には、ホープラスの頭上に文字が浮かんで見えた。辺りを見渡し、先ほど見えなかったアイリスを確認する。
「…?」
「何」
「あっいや!すいません。」
(?。見えない。力の差が開いてると見えないのか?てか、これがスキル?)
戸惑うヴァートを見たカイトは、新しいスキルを獲得している事に気づき、ジョーカーをみる。
「…」
(使い方を教えてあげたら良いのでは?)
「…」
(いーや?自分で見つける事で才能が開花する場合もある。だから君が扱うスキルは、一つも覚醒しないんだよ?)
「…!」
(なるほど…)
「あ!あの!!」
「…」
声を上げたのはアイスだった。下を向くアイリスはゆっくりと顔を上げ、アイスの目を見る。
「えっと…ごめんなさい!」
「…え?」
「私!魔王軍と戦ったの、これで2回目で、お姉ちゃんは沢山戦って来たから、躊躇って言うか?同情って言うか!それがどれ程危険な事か分かってて!…私分かってなくて!!だから逃げ出しちゃって…その…ごめんなさい!!」
大きな声で、真っ直ぐ謝罪されたアイリスは目をパチパチさせながら、口を開いた。頭を下げるアイスの頭を撫で、笑顔で話す。
「謝るのは私だよ。ごめんね?」
「いえ!!私がごめんなさいです!」
「妹ちゃんは悪くないよ。私が悪かった。間違えた。ごめん。」
「そんな事は!!」
謝罪が交錯する中、ラペンが割り込んだ。
「ちょいちょい!!話が終わらない!…アイリス?間違えたって?」
「うん…間違えた。」
「そっか。ノア?後で"太陽を冷やしてくれ"。」
「は?」
「良いと思う。ノア?私じゃ治せない。お願い。」
「お前ら…」
バンッ!!!
突如扉が開かれ、三人の姿が映る。
「…ほらな?」
元魔王軍幹部No.3。[未来の魔神]ライシ
「…本当に君か。ガッカリだ。」
元魔王軍幹部No.1。[運の魔神]ラック
「アキラ、戻ったぞ?」
勇者ランキングNo.1。[勇者]ゼウス
「おかえり。ゼウス。助かったよ」
「お礼なら二人にするべきだ。俺がついた時には事が済んでた。」
「ねぇアキラ?どうして"ゴミ"が盤上を操作してるんだい?相応しい者が多く居るだろうに。」
「お前の言う"ゴミ"はもしかして俺の弟子のことか?取り消してもらおう。少なくともお前の読みは外れたみたいだからな」
「…そうかい。今は気分が良いからね。多めに見てやるよ。」
「全員戻ったかな?」
「「「「「「「「?!?!」」」」」」」」
突然発せられた聞き馴染みのない声に、推薦入学者8名は驚いた。1stランク会議室の一番奥。見覚えのない二人の影があり、席に座る一人の男はあくびをしながら語り始めた。
「ご苦労。我が友人達よ。」
「…」
(まずは謝罪だろクソジジイ!!)
「…国王様」
「?!」
ヴァートは無意識に肌を撫でた。いつから居たのか、そんな疑問は吹き飛び、ヴァートの視界に映る文字が赤色に表示され、汗が流れる。
______________________
ランク TOPランク
______________________
「…?!」
(TOPランク…存在したのか?!)
「時間をお掛けし、申し訳ありません。んん"!!主人様?」
(おいジジイ…新米のガキがビビり散らかしてるぞ?ランクの自慢は辞めろ)
「…して、会議の内容だが、新しい友人は4対4に分かれて貰う。配属はベータとガンマ。以上。解散。カイトは後で我の部屋に来い。」
「…はい。」
「…ん?主人様?今解散と…?」
「そうだ。何か意見でも?」
「いえ…」
(あんだけ待たせてそんだけ?!?!やっぱ殺しとくべきだった!!!…にしても。)
国王の横に立つ黒髪の男は推薦入学者の顔を一通り見てため息を吐いた。
(一年持ったら良い方だな。って?!ええ?!?!盤上の駒持ってるガキが居るぞ?!?!何者だ?!?!ってかアイリスが二人!!増えてる?!なんで?!?!いや!良い事か!!戦力が増えたと考えれば…)
「どうした?」
「…いえ。…帰りましょうか。」
「送れ。」
「はい…」
(えぇ…まじそんだけ…勇者様方とトパーズちゃんに合ったの久しぶりなのに……よし!!目に焼き付けとこ!!)
黒髪の男は目を見開き、指を鳴らした。瞬間。国王と共に目の前から消えた。
「…」
「なんや。キモイ顔しとったなぁ」
「国王はいつも通りだね〜。ヴァートくん?国王はああやって自慢癖があるんだよ?」
「サンタさんみたいだった!(*'▽'*)」
「カイト?。何かしたの?。」
「そうそう!聞いてくれよエデン。カイトの奴。ここに来る前に、推薦入学者ボコしたんだぜ?」
「え?!。」
「ライシ。伝え忘れてたが、お前とエデンが今回王宮に残る二人組だ。」
「あ?何で勝手に決められてんだ?!」
「理由はサオに聞いてくれ。よし!今日の会議は終わり。各勇者には後で話があるから俺のところまで来てくれ。ライト?推薦入学者達を頼んだ。取り敢えず俺の試練の中に帰してあげろ。カイトはすぐに王室に迎え。解散!」
[盤上の勇者]が大きな声で場を納めた。その場から去る元魔王軍達、残る勇者達、推薦入学者達はライトとシャルに連れられ、特別寮へと帰還した。
「疲れた…」
「これが1日目?!明日からどうなるの?」
「考えたくない!!嫌だ嫌だ嫌だ」
「この性格は治ってないんだな…」
「…(眠たい…)」
「ルーちゃん!!(*'▽'*)後でお風呂入ろうね!(//∇//)」
「…良いですよ。」
「やったぁ!(((o(*゜▽゜*)o)))」
「え〜私も入る!」
「スーちゃん!(*⁰▿⁰*)好き♡\(//∇//)\」
「う"。ぐる"じい"。」
「良いよなぁ…お前らは…ライトさん!俺達も風呂入りてぇよ!!」
「同意」
「ん?ん〜そうだな。なら一緒に入るか。シャル!女性陣は任せた。ほら、着いて来い。」
「最高!!おっさん!ヴァート!行くぞ!」
「おっさん言うな」
「寝たい寝たい寝たい!!」
「レーチくん…」
「大丈夫だホープラス?レーチくんはいつもこれらしいから」
「私も寝たいです…(zZZ)」
「大丈夫!(*⁰▿⁰*)私が抱っこしてあげるから!\(//∇//)\」
「…私が運びますよ」
「お願いします…(zZZ)」
「もう寝ちゃってるね…」
「私が!(*⁰▿⁰*)身体を!(//∇//)洗ってあげよう!\(//∇//)\」
「ありがとう…ございま…す(熟睡)」
「うん!!(*⁰▿⁰*)」
男性陣はライト。女性陣はシャルに分かれ、各々温泉へと足を運んだ。疲労の溜まる1日目は夜に差し掛かり、月を見上げたホープラスは、頭の中に、疑問を持ったまま温泉へと向かった。
次回「休息」
グレーと寝る
「勝敗が無しってみんな勝ちって選択も出来るよね?」
「そやな!男のサオが勝手に終わらせたから納得いかんかったんや!みんなでグレー様と寝たらええ話やないか!」
「…え?」
「メスども!俺はグレーさんの右で寝る。取んなよ!!」
「じゃあ私は左や!」
「!わたし上!!」
「「「上?!?!」」
ご覧頂きありがとうございました。凄い時間開いちゃいましたね。本編「世代の勇者」の他に、最近、短編小説の「織田将吾」を投稿しました。第一魔王軍に触れたのはこれが初めてですね?次回はついにお風呂回!お楽しみに!!
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