第二十八話「違和感」
前回。ゴード、リーラ、ヒーリェは3ランク[エルドラ]と戦闘を開始する。[毒素]を操るエルドラにゴードは戦闘不能にまで追い詰められるが、間一髪でヒーリェに助けられた。一方で…
南部。ライト&エデン
「ふぅ」
「?。ひと段落かな?。心強かったよ!!。」
「ばーか!お前のお陰だろ?」
「?。ありがとう?。」
呑気に話すライトとエデンの周りには5000を超える魔王軍が拘束されていた。
「ん〜〜〜。加勢…みんながどこにいるかはアキラさん以外分からないからなぁ…」
「大丈夫だよ。アキラさんなら送ってくれる。」
「確かにな。って!早速だな!」
「ライト!。また後で!!。」
「おう!!」
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東部 カイト
「[光速]」
ライトのスキルを[再現]したカイトは第三魔王軍幹部[ブラッド]と戦闘を行っていた。
ギャンッ!!!!!
「…」
(どんな身体能力してるんだ…)
「さっきから小賢しいな」
「クッ!!」
[光速]で加速し、左脇を足で狙うが元魔王軍幹部[ライシ]のスキル[三人称未来]が見せる予言のせいで攻撃出来ない状況にいた。
(光速にすら反撃してくる反射神経…どうやら、一人で魔王軍を壊滅させた話は本当の様だな…)
「…!」
「?!」
(予備動作なしで?!)
警戒していたカイトですら反応が遅れる攻撃。左手に握られた剣は空気を裂きながらカイトの首を狙う。
(早過ぎだろ?!)
「[光速]!!」
首に少し切り傷が入ったが、時間差で再生する。ブラッドの剣はカイトの血を吸収し、少し赤みが増した。
「はぁ!はぁ!!」
激しい戦いの中防御に全振りしていたカイトは敵と距離を取り、呼吸を整える。
「もう一度質問する。お前は何処の幹部だ?」
「はぁ!……俺は勇者候補だ。もう一度言うが、魔王軍じゃない」
「……んなわけあるかよ。お前の魔力。オーラ。何しろその肉体。勇者なんて嘘が通じると思うのか?」
「嘘ついてる様に見えるか?」
「黙れ。お前ら魔王軍が何人の善人を殺したと思ってる…」
「はぁ……?」
(しくじった…軽い気持ちで来てみればまさか[ブラッド]と出くわすなんて…)
「そう言うお前こそ…第三魔王軍幹部だろ?」
「!!!!!」
「善人が死んだ?攻めて来たのはお前の方だ」
「俺らな訳ねぇだろ…」
ブラッドは左手に持つ剣を握り潰す勢いで握った。
「?さっきからお前…話が噛み合わないぞ」
「そんな事はどうでも良い!!!お前が魔王軍なのか!!!魔王軍じゃないのか!!証明出来ないなら殺す。魔王軍でも殺す!!!!ただ……」
「?」
「[ビット]の居場所を知っているなら教えてくれ…」
「?!」
([ビット]まで来てるのか?!)
「知って…どうする?」
体制を整え、カイトは攻撃に集中する。下を向いたブラッドは目を見開き、小さな声で囁いた。
「殺すに決まってんだろ…」
「?!」
(何だ…)
カイトが感じた異質な空気。殺意、オーラ、強さ。全てが馴染みのある人物と重なる。
「ノアさん…?」
「あ?」
「まさか…」
カイトが口を滑らせた瞬間。カイトの後ろから陽気な男の声が響いた。
「カイト!!!」
「…!!ライト!」
「また増援か…」
空から現れ、カイトの横に着地したライトは目の前にいる第三魔王軍幹部[ブラッド]に警戒する。が…
「おいおいマジかよ」
「恐怖は捨てろ。今この瞬間。俺達のどちらかの首が飛んでもおかしくない状況だ。」
「ご親切にどうも。くそ…下手したらノアさん以上じゃねぇか?」
「……!貴方は勇者様ですか?!」
「あ?!」
「ライト!!気を抜くな!!」
「って言われても……俺は勇者候補だ!!勇者じゃない!」
「勇者候補…そこにいる魔神も…本当に勇者候補なんですか」
「そうだ。俺とカイトは昔からの同僚!!体質が魔神と同じなだけだ!!」
話を聴き、少し考えたブラッドは頭を下げ、嬉しそうに話し始めた。
「勇者候補様!!増援をお待ちしておりました!現在!第三魔王軍幹部[ビット]を名乗るものが我々の村を襲って来た所なのです!!」
「「は?!?!」」
第二十八話「違和感」
南東部。ミール&ノア
「おかしいな」
「!ごめん(°▽°)聞こえなかった!!( ・∇・)」
「いや良い」
(俺と元気な後輩で1万3000人ほどは拘束してる…それなのに魔王軍が減るどころか…)
「元気な後輩!!」
「[魅力]!!(*'▽'*)はい!!(*⁰▿⁰*)」
「アキラには悪いが今から俺たちは単独行動だ!」
「え?!(*⁰▿⁰*)」
「元気な後輩なら5ランクぐらい余裕で倒せる!二手に分かれて破壊の後輩かカイトを探せ!!」
「破壊の後輩?( ・∇・)ヘルア?(*⁰▿⁰*)」
「見つけたらこう伝えろ」
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北東部。ラペン
「ホープラスくん?!何処だ!!近くにいるなら返事をしてくれ!!!」
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北西部。ヴァート&ジョーカー
「間違いないね」
「そんな事あり得るんですか?!?!」
「うん。それもかなり少ない人物に限る話でもあるけどね」
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王国入り口。ゼウスVSビット
「……」
「クソ!!!!解け!!」
「ビット。お前のその右腕は再生出来たのか?」
「は?」
ゼウスは倒れた魔王軍の上に座り、壁に張り付けたビットを見上げる。ビットは抵抗しながら大きな声で叫んだ。
「俺の右腕?一度だって失った事はねぇよ!!クソ…いつもの俺なら!お前なんかに!!」
「言い訳は良い。なるほどな…」
ゼウスは立ち上がると王宮内に歩き始める。
「ゼウス!!何処に行くつもりだ!!!」
「…話す必要はない」
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王国 ホープラス
異質な雰囲気を感じたホープラスはすぐにラペンに報告する。しかし、ラペンはその場には居なく、静まり返っていた王国は突如国民の声で溢れた。
「ママー今日のご飯は?」
「今日はトマトが安いな…」
「ねぇ聞いた?今日勇者様が…」
「な!」
辺りを見渡し、魔王軍を警戒する。
(今魔王軍のことをみんなに話すと、混乱が起こる…でも)
「!!今は確認だ!」
人混みから外れ、地面に手を付く。直後、青色の長方形のバリアがホープラスを高台に持ち上げた。
「そんな!!」
ホープラスが目にした物。否。ホープラスは何も目にしなかった。普段の生活。王国。国民。魔王軍の一人すら確認する事が出来なかった。
「あんなに大群だったのに…一体何が?!」
バリアを縮め、地面に降りる。直後、後ろから女性の大きな声で叫び声が聞こえた。
「やめて!!」
「!!」
すぐ振り向き、状況を確認する。そこには石を持った大人二人と猫を庇う一人の女性がいた。
「猫…」
「何でこんな事が出来るの!!」
「うるせえなぁガキ!!俺達の勝手だろうが!」
「そうだそうだ!!」
「あの!」
「あ?」
ホープラスは猫と女性をバリアで囲い、大人二人から石を取り上げた。
「お前!」
「僕は勇者学校の推薦入学者です。立場上。この様な事を見逃す訳にはいかない」
「げっ!勇者学校…クソ!!おいずらかるぞ!」
「ま、待ってくれよ!!」
「…」
(そんなに怯える事かなぁ…)
バリアを解除し、震える女性に手を伸ばす。
「大丈夫ですか?」
「…はい!あっ!猫ちゃん…」
「うん。すぐに医療施設に連れて行くよ。」
猫を持ち上げ、優しく包む。魔王軍の件について、まだ分からない事もあるが、今は困っている人を助けようと、ホープラスは動いた。そこに…
「ヒューラ!!!何処だ!!」
「お兄ちゃん!!」
「え?」
「ヒューラ!!!良かった!怪我はないか?」
息を荒立てて現れた男性は女性の肩を触り、一息ついた。
「良かったぁ…」
「心配しすぎだよ。お兄ちゃん!」
「心配するさ。…そこの君は?」
「あ!この人は私を…」
「僕は勇者学校推薦入学者のホープラスです。先程いじめられていた猫をそちらの妹さんが匿っていまして…」
「勇者?!?!」
「?」
突如男性は女性の手を引っ張り、慌てる様に喋り始めた。
「は!はは!そうだヒューラ?時間も時間だし!帰るぞ!!」
「え?うん」
「?」
「ありがとう〜勇者様〜!」
「……勇者様ではないです。」
そそくさに二人は消えた。疑問に思いながらもホープラスは猫を医療施設へ送るために走った。
次回「規格外」
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「お兄ちゃん?大丈夫?」
「大丈夫!大丈夫だ。でも…」
「…ごめんね?」
「謝ることはない!全部俺のミスだ。…ジンさんになんて報告知れば…」
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