第二十五話「格上」
前回。[盤上の勇者]アキラにバラバラに飛ばされた推薦入学者達は様々な勇者と共に、行動する事になる。[笑いの勇者]ジョーカーの戦闘を見て、勇者としての強さを再認識したヴァートは心を燃やし、戦闘を始めた。一方でアイスとホープラスは…
西部。アイス&アイリス
地面に着地したアイスとアイリスは周りを取り囲む魔王軍に警戒する。
「お姉ちゃん!私。どうしたら良いかな!!」
「ん…氷魔法。の。基礎から行こうかな」
「基礎?!」
「うん。…氷魔法は防御や拘束。デバフ付与がメインの魔法だから、その辺から出してみて。」
「はい!」
アイスが返事をすると同時に五人の剣を持った男がアイスの後ろから斬りかかる。アイスはすぐに振り向き、左手を向けて魔法を発動した。
「アイスウォール&ロード!!」
瞬間的に地面から氷の壁が生成され、攻撃を防ぐ。その後、氷の壁を軸に地面を広範囲に凍らせた。
「なんだこれ?!滑る?!!」
「うおぉお!?」
攻撃して来た男達は地面に倒れ込む。
「…フゥ…。お姉ちゃん!どうかな?」
「ん。防御とデバフの同時発動。いいね」
「やったぁ!」
アイスが喜ぶとアイリスは振り向き、話し始める。
「妹が出した魔法を…お、お姉ちゃんがアレンジしながらやるから…みてて。」
「うん!」
アイスロードで動きにくくなっている魔王軍の大群に向かってアイリスは右手の人差し指を向ける。
「アイスウォール。アイストルネード。」
「?!」
突如魔王軍の上に球体型の氷が生成される。半径30メートルを超える球体は落ちる事なく、空に浮く。
「?何だ?」
一人の男が呟いた。全身に走る寒気。その正体はアイスの発動したアイスロードから嵐の様に吹き荒れた。
「は?!竜巻?!?!」
アイスの視界に入る魔王軍。ざっと1000人近くが空中に吹き飛ばされる。そして…
「アイスバリア」
一瞬にして吹き飛ばされた1000人近くの魔王軍が消え、空には氷の球体だけが残った。
「え…消えた?!」
「あの球体の中に閉じ込めたの。…アイスローズ」
「え?」
アイリスが呟くと、地面から生成された幾千もの氷の薔薇の棘が氷の球体を突き刺した。
「?!」
「終わり。妹ちゃんには近いうちにここまで出来て欲しいな。」
「…中の人は?!」
「殺したよ?」
「?!」
その言葉にアイスはゾッとした。ライトの試練でアイスは多くの死を経験し、最後には試練の敵[ヴァティ]を死に追いやった。しかしそれは試練の中の話。現実で明確な死に立ち会う事はサード村でも体験していなかった。それも…
「そんな簡単に…」
「?」
アイスはサード村での出来事を思い出す。緑ローブ[レイ]の言葉を。
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「ブラッドは勇者に殺された。魔王軍の幹部って理由でね…」
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「…?」
「…お姉ちゃん。」
「…!ごめんなさい。私。間違えた?」
「え?」
アイスがアイリスを見ると、無表情のアイリスがアイスの眼を見ていた。
「…」
「間違えた。次は殺さない様にするから。ね?」
「…違うよ…」
間違えた。とアイリスは言った。その言葉の軽さに、アイスは再び恐怖する。悪い事をしたとは言え、何かしらの事情があるかもしれない。話せばどうにかなるかもしれない。一方的に悪と決め付けて。たった今1000人近くの人が殺された。
「…」
「ね?それで良いでしょ?」
「アイリスさん…」
「…!」
「ごめんなさい。私…」
たった数秒の出来事。アイリスの感情をアイスは恐れた。彼女にとって、[命]とは何なのか。私も殺されるかもしれない。と。そう考えてしまう程。視界に映るアイリスの作り笑顔に。[恐怖]がアイスの心を締め付けた。
「妹ちゃん?」
「…?!」
無意識にアイスの身体はアイリスから離れる。走って逃げるアイスの背中を、アイリスは見送った。
「また…」
「間違えた」
第二十五話「格上」
北東部。ホープラス&ラペン
「バリア使いが戦闘において最も気にしないといけない事は?何か分かるかい?」
「……体力です」
「正解」
ラペンの視界に映る600人程の魔王軍がバリアに閉じ込められている。バリアの主はホープラス。体力が減り、地面に転がりながらラペンの話を聞いていた。
「まだ敵は残ってるよ。立てるかな?」
「はぁ…はぁ!!ごめんなさい。今はちょっと無理です。」
「うん。…ホープラスくん。」
「は、はい!!」
「バリアと体力の関係は?」
「はぁ…んん!!えっと…発動したバリアの総量分体力が消耗します。バリアの維持にも…体力が必要です。バリアが魔法なら、体力はマナ。です。」
「違うね」
「え?!ち、違うんですか??」
「うん。魔法は[詠唱→発動→操作」の動作が必要になる。勿論。低級魔法なら詠唱の短縮は可能だ。その上、魔法の源はマナ。バリアは[発動=維持=操作]。バリアの源は発動主の心の強さに比例する。「守りたい」「助けたい」と、思うほど強くなる。」
「心の強さ…」
「サード村襲撃事件後。君の精神状態はとても危なかった。覚えているかい?「守れなかった。」その気持ちはバリア使いにとって…とても重く…辛いものだ。その分。サード村の時と比べて、かなりバリアの維持も出来てるんじゃないかな?」
「あの時はたった5人の反勇者が相手でした…僕は…」
「でも今は、600を超える魔王軍を拘束している。」
「…!!」
「この成長スピードは、過去に類を見ないほどだ。自信を持て!君は間違いなく。」
「勇者になれる」
次回「成長」
最近二ノ国にハマりまして、ps2で昔からやってたんですけどSwitch版を買って遊んでます。面白いのでオススメです。スタジオジブリとレベルファイブが協力して作っているゲームと意外と知られていない事が悲しいので布教します。やりましょう!
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