表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世代の勇者  作者: グミ
第一章 「王国」
15/73

第十四話「認識」

前回ヴァートとアイスはライトの[試練]で魔王軍と戦う事になる。圧倒的な強さの前にヴァートとアイスは文字通り死を体験する事になる。

ヴァートとアイスは[試練]を突破出来るのか?

「?!?!ぁあ"!!…はぁ!!はぁ…」

目が覚めるとヴァートの目の前には黄色い球体が浮かんでいた。先程の痛みはなく、体のどの部位にも穴が空いている訳でもない。しかしヴァートはその場から動けずにいた。たった一つの感情がヴァートを動かさなかった。


[恐怖]


「はぁ!!はぁ!!……フッ…はぁ!!!」

この試練において挑戦者の死はゲームにおけるリセットと同じ意味である。しかしそんな事は理解している。だからこそ動けない。[痛み][死][恐怖]。何回も挑めばいつかは勝てる日がやってくる。しかしその間、先程の痛みをあと何回繰り返せば良いのだろう。腕と足は貫かれ、指や胴体に剣が突き刺さる。自身の死にすらヴァートは立ち会った。


「はぁ!!はぁ!!!はぁ!!!!」


それでも


「はぁ!!はぁ!……フーーーッ!!」


たった一つの思い出が


「………次は勝つ…」

▶︎黒髪の少年【ヴァート】


ヴァートを動かした。


         ----------------

         [やくそく!]

         ----------------


        第十四話「認識」


黄色の球体が光り始め、青髪の男へと姿を変えた。ヴァートは目を閉じ、深呼吸をしながら剣を握る。青髪の男は両手で目を押さえながら上を向き呟いた。


「はぁ…だめだ…力の調整がうまくいかない…声が消えて…命が消えて…あぁ!!駄目だぁ!!」

▶︎青髪の男性【???】


(両手両足を封じても魔法を発動出来る…)

「こんなんじゃ駄目だ…集中だ…今は」

(魔法詠唱させえ止めれば…)

「任務を遂行しなきゃ」

(勝機はある!!)

青髪の男は両手を空へと掲げ魔法詠唱を始めた。ヴァートはすぐに距離を縮め、青髪の男の喉を切り裂いた。


「?!」

「させるかよ!」

青髪の男は涙を流しながら右手で喉を押さえ、左手をヴァートに向けた。その瞬間ヴァートは左腕を切り落とし、距離を取り、空を見上げた。


「!!やっぱり!剣を生成出来てない!」

安堵したヴァートはすぐに剣を構え、青髪の男を見る。しかし、その光景はヴァートの理解を超えていた。


「えっ?!?!」

視界に映る青髪の男は右手で生成した剣を自身の頭に突き刺していた。理解し難い光景にヴァートの体が止まる。徐々に光を失う青髪の男の目はヴァートを写したまま光を失った。


「はぁ…な、何なんだよ…」

動かなくなった青髪の男を警戒しながらヴァートは体制を整える。


「こんな簡単に終わる訳な…」


ドン!!!


「なっ?!」

青髪の男を中心に急な突風がヴァートを襲った。見えない壁に叩きつけられ、その後も風はヴァートを壁に押し付けていた。


「?!ッグ!!!」

先程の痛み程ではないが痛くない訳ではない。風がやみ、急いで顔を上げると死んだはずの青髪の男が再生した左腕を下に向け、魔法詠唱をした。


「ソード」

「…っくそ!!再生持ちかよ!!」

左手から生成した剣を青髪の男が掴み、ヴァートに向かって走る。ヴァートは急いで体制を戻し、近接戦闘を警戒する。


「死ね」

「死んでたまるかよ!」

青髪の男が振り下ろした剣をヴァートは上に弾き返し、そのまま剣を振り下ろす。青髪の男は一度距離を保ち、再度飛び込んで来る。


「ッグ!!」

剣をガードする事は出来たが、その衝撃にヴァートは再び見えない壁に頭をぶつける。ヴァートは咄嗟に剣を横に薙ぎ払い、青髪の男を後ろに下がらせる。見えない壁に左脚を押し付け、ヴァートはタイミングを待っていた。


(取り敢えず…この場所での戦闘はフリだ…だから)

「……」

再び突進してくる青髪の男の右足が宙に浮き、左足が地面を離れた瞬間。


「今だ!!」

ヴァートは姿勢を下げ、左脚で見えない壁を全力で蹴り、地面スレスレを高速で移動した。


「…!」

擬似(トレース)!」

すれ違いざまに両足目掛けて刀を振るう。青髪の男は宙に浮いたまま生成した剣をその場で固定し、体を回転させギリギリで回避した。


「クソ!!」

「頭の回転が早いな」

青髪の男は振り向き、空中に固定した剣をヴァートに向かって弓矢の様に発射した。


「ちょっま!!」

まだ振り向けてないヴァートは剣を急いで振り回し、飛んでくる剣を弾き返した。


「ッグ!!!」

(重っ…!!!)

「よく弾いたな。…これならどうだ?」

ヴァートが顔を上げると1度目の死同様、何百本もの剣がヴァートに刀身を向けていた。一つ違うのは自滅魔法とは別の攻撃と言う事。


「…まじ……無理ゲー」

ヴァートが呟くと一本目の剣がヴァートに向かって動き始めた。


---------------


バリンッ!!!


「はぁ!はぁ!」

▶︎白髪の少女【アイス】


「逃げてばっかじゃ勝てねぇぞ!」

▶︎赤髪の女性【???】


赤髪の女性と一定の距離を取りつつ、魔法で攻撃する。アイスは着実に生存時間を伸ばしていた。右手に刻まれた数字は[6]。異常なまでの身体能力と再生能力を持っている赤髪の女性はアイスにとって天敵と呼ぶべき存在だった。


「はぁ!…アイスロック!&ウォール!」

氷の柱が赤髪の女性に伸び、アイスの周囲に氷の分厚い壁が生成される。氷の柱は赤髪の女性左太ももに突き刺さり、氷の結晶が太ももを切断するが、切断した太ももはすぐさま再生した。アイスを囲っているバリアを両手で殴り、破壊してくる。


「無駄だって言ってんだろ!」

「…無駄じゃない。無駄な事なんてない」

アイスが言うように無駄な事ではなかった。現に赤髪の女性の体は徐々に凍り付いており、攻撃力もスピードも目に見えるほど落ちている。


(今はあくまで時間稼ぎ…)


バン!!

(強さの証明はあくまで敵を倒す事だけじゃない…)


バン!!!

(ホープラスみたいに閉じ込めたり、動かなくさえ出来ればそれで良い!)


バリンッ!!

「な?無駄だろ?」

(認識さえ変えれば無理ゲーなんかじゃない!)

「私の時間(アイスタイム)!!!」

「?!」

「アイスフィールド展開後時間経過でこの雪降るフィールドは私に能力上昇効果を付与し、私以外に能力低下効果を付与する!!」

「体…が」

「今のでジャスト1時間…私の魔法はこのフィールド内でマナ消費なし+威力の底上げがプラスされ、私以外には人体の自然停止を強制する。」

「………!」

「…私の勝ち」


----------アイス [試練突破]


「……!」

「お!戻ってきたか!!」

▶︎[光の勇者]【ライト】


見渡すと辺りはとっくに夕方になっており、ライトの横にはシャルも立っていた。


「………シャーちゃん!」

「無事で何よりです。」

▶︎勇者候補補佐兼後方支援管理【シャル】


「アイスくんが戦った相手は個人的に2番目に難しい奴だったんだが、こんなに早く倒すなんて流石だな。」

「2番目って…ヴァートも同じ相手と戦ってるんじゃないんですか?!」

「この試練は対象の天敵を意図して戦わせるからね。同じ可能性もあるし、全く違うタイプの敵だったりもする。ヴァートくんが戦っている相手は天敵かどうかと言われたら怪しいラインだが…間違いなく不利な相手だね。」

「ヴァート……」


--------------


「くそ!!いっそ初動で首切り落としたら終わりだと思ったのに!!また自滅魔法かよ?!」

空から雨のように降り注ぐ無数の剣は次々とヴァートに襲いかかる。ヴァートの右腕に刻まれた数字は[7]。試練開始から5時間が経過していた。




次回 第十五話「耐久」



アイスの魔法[アイスフィールド]に付いて


・既存のマナを全て使う魔法

・残っているマナの量に応じてアイスフィールドの効力も変わる

・ライトのスキル[能力無効]でアイスフィールドの効果を無効化する事は出来ない

・[魔法反射]など魔法無効系スキルなら無効化出来る


時間による効果[1時間まで]

(1時間以上経った後も効果が上乗せされます。)


発動時

自身 「氷の結晶が降り始め、結晶が落ちた地面が凍る。

    そこを軸に氷の魔法を発動出来る。」

相手 「特に何も無い」


10分後

自身 「地面が全て凍る」

相手 「移動が困難になる」


20分後

自身 「マナが回復し始める」

相手 「体温が下がる」


30分後

自身 「降り注ぐ結晶から魔法を発動出来る様になる」

相手 「属性魔法使いはマナを失い始める」


40分後

自身 「魔法の全体的強化。マナ消費の軽減」

相手 「凍傷。スタミナの減少」


50分後

自身 「身体能力の向上。魔法の発動時間短縮」

相手 「身体能力の低下。魔法発動不可。再生能力の低下」


1時間 

自身 「マナ消費無し。体力回復。

    魔法の全体的底上げ強化」

相手 「人体の自然停止の強制。魔力の停止」



最近コロナかかってめちゃくちゃしんどかったー!!


本編「世代の勇者」に今度登場するキャラクターの短編小説も出して居るので、もし良ければご覧下さい!


最新「2人の推薦入学者」


いいねと感想宜しくお願いします!




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ