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004 オープニングイベント終了

「居たぞ!こっちデゲフゥ!」


「っせぇい!」


 出会い頭に飛び蹴りをかます侯爵令嬢。その奥から2人の敵兵が現れたが…。


「フンッ!」

「ハァッ!」


 護衛騎士のレフトゥスとライティアラによって倒された。直後、


カァン!


 レフトゥスが瞬時に『後ろに下がり』飛んできた矢を盾で受け止めた。後方から弓兵の攻撃である。


パァン!


 発砲音と共に射出された『燃える杭状の石』が弓兵に当たる。

 武器庫を出てからやむことの無い襲撃も、疲れるどころか『馴れて』きたように動きがよくなる令嬢2人に、護衛の2人も遠慮なく突き進めるためか、出入り口まであと少しだった。


「お嬢様!そこを右に曲がればフロアに出ます。その先は外です!」


「っ…よし!行くよ!!」


「「はっ!」」

「はいっ!」


 角を曲がり見えた先には…

 王子率いる部隊が塞いでいた。


「やはり来たか!マリヴィア・クロムハイげぶぅ!!」


 口上の途中だろうと構わず飛び蹴りを炸裂させる侯爵令嬢。その勢いのままに駆け抜ける3人。唖然とするのは取り巻きの兵たちだった。


『『『殿下ぁぁ!!』』』


「くっ!逃がすかぁぁ!」


 立ち上がり突進突きを放つ王子をかわし、『近づいた胴体』へとボディブロウを決め、その勢いのまま『出入り口』を塞ぐように仁王立つ。


「ライティアラはわたしの横で迎撃!

 レフトゥスとアイリスちゃんは馬車の用意!!」


「「はっ!」」


「マリヴィア様!気をつけて!」


 うん。と彼女に力強く返事を返すと王子へと視線を向ける。


「ライティアラ、王子はわたしが相手をするから、その他はお願い」


「お任せを」



「…思い上がるなよマリヴィア・クロムハイト!お前ごとき女が!甘やかされて育ったおまえが!

 我の相手をするだと!!」


「そうですわよ王子様♪

 (わたくし)がいるのに、他の女性に目を向けるなんて…ガッカリさせないでくださいましね?」


「っ!!!()めるなぁ!!」


 王子の激しい剣のラッシュ、それをガントレットを着けた腕で器用にそらし、弾きしてよろめいたところへ強烈な一撃を加えるマリヴィア。


「何故だ!なぜ当たらん!なんだこの威力は!」


「答えるわけ無いでしょ!」


 籠手など、防具で攻撃する場合、防具に割り振られた『防御力』はある程度『攻撃力』にも加算される。それに加えて今のマリヴィアは『流派の開祖』であり『皆伝』でもある。トータルでの攻撃力は今や『会場』での戦いの比ではない。

 徐々に劣勢へと追いやられる王子。彼の取り巻きは全員意識を絶たれていたのは幸運だったのか。


「お嬢様」


「うん」


 王子へと悠然と向かう侯爵令嬢。対し王子は悔しさと怒りを混ぜ合わせたような顔を向け。


「っっっ…うぉぉぉ!」


 渾身の上段からの一撃に全てを込めて。


「…スゥゥ…」


 令嬢は静かに息を吸い迎え撃つ。




『ねぇ!おじいちゃん先生!カッコいい技教えて!』


『かーっかっかっ…ゲホゲホ。

フツーはオメー、半端もんにゃあ技なんざ1つも教えねぇんだぞ?』


惟亜(ありあ)半端じゃないよ?』


 的となっていた杭は粉砕していた。


『かーっかっかっ…ゲホゲホ。

 オメーは手加減覚える方が大事かもなぁ』


『手加減は強くなってからするもんだって惟亜(ありあ)に教えたのおじいちゃん先生だよ?』



『かーっかっかっ…ゲホゲホ。

 そりゃそうだ。よし、ワシが世界を旅したときに覚えたとっておきを教えてやろう』




 振り下ろされる刃、マリヴィアの頭蓋に触れる寸前それは見事に反らされ


ドゥン!!


 震脚(しんきゃく)とも言われる踏み込みとともに発せられた肘撃ちが王子の脇を捉え。


「!!!!」


 苦悶の表情を浮かべながら地へと伏した。


「お見事です」


「…それじゃあ、行こうか」


 悠然と立ち去る侯爵令嬢。彼らを影から見守るその他NPCの中にUPC(プレイヤー)がいたのはあとで知ったことだった。


「マリヴィア様!」


「アイリスちゃん!」


 互いに手をとり馬車へと乗り込み、騒動の起きた会場を後にした。




「ふう、疲れたー」


 ヘッドギアを外した惟亜(ありあ)の第一声である。

 あのあとクロムハイト邸へと向かった一行。侯爵からは『すまなかった』と頭を下げられてポカンとしてしまったマリヴィアだったが、それがアホ王子を抑えるためと分かったあとなら今さらな感じもした。(ボコボコにしてスッキリしたのはナイショだった)

 アイリスをクロムハイト邸で匿うことが決定した時点で『オープニングイベント クリア』の文字が出たときはアイリスと2人して笑ってしまった。


「フレンド登録もしたし、明日は…入学式かぁ」


 再びベッドで寝転ぶと。


「日課して、ごはん食べてお風呂入って、もう寝ちゃうかな」


 先ほどまで激戦を繰り広げていたためか、無性に身体が動かしたくなった惟亜(ありあ)だった。


「…おじいちゃん先生が亡くなって、もう結構たつんだなぁ」


 道場で撮った写真を懐かしく撫でる惟亜(ありあ)だった。








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