憧れを抱いた少年
ドカッドカッドカッ
ボアがこちらに向かってくるのが見えるが足が震えて思うように逃げることができない。
-だれかっ!!助けて!!-
「ゴボッゴボッ」
そう声に出そうとするも声が掠れて咳き込んでしまう。
ボアとの距離まであと50メートルまで迫ったところで後ろから声がしていることに気づいた。
「おいっ、ジーク、ボーッとしてないでさっさと逃げろ!!」
後ろを振り返ると大人達5人が駆け寄ってくるところが見えた。
「あっ」
サーラ村の大人達が狩りの帰りにジークが襲われそうになっているところをたまたま見かけて慌てて駆け寄って来てくれていた。そして、そのままボアと対峙し戦闘が行われた。
ボアは3メートルの大きさで体格は大人たちを遥かに上回っているが数に翻弄されて傷が増えていき、そしてボアは息絶えた。
「ジークッ、こんなところで何をしているんだ!!
森はたくさんの魔物が住んでいて危ないと教えられてきただろう!」
「だって、ヒグっ、みんなでかくれんぼしてて見つかりたくなかったんだもん、ヒグっ」
「今回は俺らがたまたま通ったから助かったが次はそのまま死ぬかもしれないんだ。だからもう大人と一緒じゃないときに一人で入ろうとするなよ、」
「ごめヒグ、っんなさい、ヒグっ」
ジークはもう大人がいないときに森に入らないと誓った。そしてそれと同時にボアと大人たちの戦闘に魅せられていた。
-僕もあんなふうに闘いたい-
強くなってやる!と決意し帰路についた。
そして、その後森での顛末を両親に報告されたジークはその後数時間に及ぶ説教を受けた。