第四十八話 登った先は
一週間後、トウジとリナはハチギ山登山道の入口にいた。誰が何のために入山するのかなどを管理している人に、二人は前もってまず挨拶をした。その管理者は彼らの入山目的を聞いて、かなりの驚きと興味を持っていたようだ。
「ちゃんとした登山道があるにしても、ハチギ山に登るのは初めてだな」
「ええ。そんなに高い山じゃないけど気をつけて登りましょ」
アキヒト達がいた時代のハチギ山には獣道しかなかったが、三百年が経ちこの山も整備されて、きっちりとした頂上までの登山道がつけられている。昔に比べれば格段に登りやすくはなっている。しかし、鬱蒼とした森林は変わらず広がっており、イノシシなどの野生動物に出くわす可能性もある。危険も多いわけだ。
兎にも角にも目的地である、ご先祖様の墓が存在するのは頂上だ。登らないと話にならない。今はまだ朝だがトウジとリナは登頂を急ぐことにし、早速、登山道に入って行った。
山の頂には意外とあっさりたどり着くことができた。やはりきちんとした登山道がある分、登るのは楽であったようだ。アキヒト達、ご先祖様が眠る墓もすぐ見つけられ、その近くには能動型コンピュータが稼働している建物もある。
「これは見晴らしがいいところだなあ~」
「本当ね。もしかしたら、ご先祖様の思い出の場所だったのかも知れないわね……」
「うん。まあ時間もまだまだあるし、まずは墓参りをしようか」
「ええ。随分荒れてるから草取りをまずしましょ」
頂きの素晴らしい眺望と初めて見たご先祖様の墓の存在に、トウジとリナは暫く感動していた。時刻はまだ昼前で昼食を取るにも早すぎる。二人はかねてからやっておきたかった墓参りをするため、丈夫な手袋や草取り用の道具を背負っていたリュックから取り出し、荒れ放題の墓の周りを掃除していった。
一時間弱ほど掃除を続けると、墓はとてもきれいになった。トウジとリナは暫く黙祷し、ご先祖様へ祈りを捧げた後、昼食を取り始めている。アテナタウンの食糧倉庫に蓄えられている、魚の南蛮漬け弁当を分けてもらい持ってきたのだ。二人はちょっとしたピクニック気分で、広がる景色を見渡しながら食事を楽しめている。
「さてと……。ピクニックはこのくらいにして、時間は明日まであるんだけど本題に入るか」
「あら? そう? 私はお墓参りも出来たし、眺めもいいし、もう満足なんだけどな」
「いやいや! それはついでだろ! ついでと言ったら、ご先祖様に申し訳ないか……。とにかくこれを使って暗号文に書いてあった物を探し始めるぞ!」
テンションの差があるトウジとリナだったが、一人やる気を出して、トウジは埋蔵物探知レーダーをリュックから取り出し探索に息巻いている。




