楽しかったアルバイト生活
「いらっしゃいませ!」
朝一番お客様への挨拶から始まる仕事。
僕はゲームセンターの店員のアルバイトをしていた。
「じゃあ今日はこことここの台、売上悪いから景品変えようかー」
店長から仕事の指示が振られる。
「また2箇所大規模入れ替えなんて…」
「よく言うよ白鳥くんすぐ終わらせるくせに笑」
「まあ…仕事ですから…?笑」
平日は比較的空いているので、売上アップの為に日々最新景品への入れ替えをしていた。
この店は少数精鋭で、スタッフも少なく、その仕事が出来るのが店長と僕と、もう1人のスタッフだけだった。
もちろん他にもスタッフは居るのだけど、やる気のなさで仕事ができなかった。
「あー店長!2階メダル呼ばれてますー!」
「あいよー」
入れ替え作業中は手が離せないのでお互いのサポートは必須だった。僕が手が空いてればサポートするし、店長が手が空いてればサポートしてくれる。信頼関係の賜物だった。
そして、もうひとつの仕事がお客様へのお手伝い。先程言った通り店長に信頼されてたので利益率なんかは一通り把握していた。
そして何より取れないクレーンゲームは客足を逃がすので、徹底的に声掛けをしていた。
「どうですか?やっぱ難しいですか?ちょっと動かしてみるんでこれで頑張ってみてください!」
ゲームセンターではよく見る光景ですよね。
でもうちの店では僕と、お互いに信頼してる2人しか、こういう声掛けしてくれませんでした。
フロアにいても棒立ちしてるか、謎の袋詰め。
内心頭にきてたけど何言っても無駄だったので無視してました。
ただ、僕はそれが楽しかったです。
「お兄さん取れた!」
「あんたの言う通り狙ったら落ちたよ!」
喜んでくれるお客さんがたくさんいて誇らしかったです。
そんなある日、店長から
「今月、利益どれくらいだったと思う?」
と尋ねられ
「例年だとやっぱ前年比割ってるのでは…」
「それがさ!前年比超えたんだよ!コロナ禍でよく頑張ってくれた!」
「マジですか!?」
素直に努力が報われた気がして嬉しかった。
でも、そんな楽しい日は続かず
「店長が異動になります」
と通達。
まあ、僕らの仕事ぶり見てくれれば何も変わらんよ!と同僚と明るく振舞ってたのですが、現実はそんなに甘くなかったようで。
「今日から着任しました。」
見た感じ温厚そうで、大人しいタイプなのかなと。
いつも通り入れ替えをしていて、
「店長ー!2階お願いします!!店長ー!?」
応答なし。仕方なしに工具全部中に入れてダッシュで応対。
こんな日々が続き、風の噂でこんな発言が
「店長は店長業務で忙しいからフロア回れないよ」
なんなんだこの協力性の無い店長は。
しまいには
「別に急いで入れ替えしなくていいから」
僕の仕事がひとつ無くなりました。
そして弊害で何が起きたか
「最近同じ景品しか無くてつまらないからやらないよ」
そう。目で見える形で売上が落ちてきた。
初めは何度か直談判してラインナップ変えようと努力したものの「そのままでいい」オーラで突き返され、僕のモチベーションも低下。
しまいには獲得率の調整もしなくていいと言われ、もはや取れない景品の無法地帯。
ただ、上層部からの指示がいくつか来ていて、僕はその作業をしていた。
「店長。今日はここまで出来ました。あとお願いします。」
チェックリストにしたメモ帳を渡すと
「終わったんでしょ?」
の言葉と同時にメモ帳を破き捨てられ、僕は唖然。
「…お疲れ様でした」
それから、店長と会うことが苦痛に。そして売上もどんどん下がっていき、僕は契約解除ということで自主退職。
仕事も奪われ、やる気も削がれ、働く意義が分からなくなってしまった僕。
そして、やめた後に「今は前仕事出来なかった奴らが媚び売って仲良しこよししてるよ」
って聞いて、ああ、目障りだったんだ、俺みたいな向上心ある人間。と、余計悲しくなる。
前店長からお墨付き貰ってた残りの2人も、新店長の怠慢に不満を抱き退職を予定。
入れ替えも、クレジットカード決済も出来ないような新人が時給上がりまくってるらしく、もうアホくさいと。
僕は遅かれ早かれ、年内には潰れるだろうなと思いました。
赤字で怒られ、部下の扱いで怒られ、それでも反省しない店長には未来はない、あってほしくないとそう僕は思いました。