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異世界で戦隊ヒーローのレッドをやっています!〜特虹戦隊ディヴァースⅤ〜  作者: 天ノ河あーかむ
最終輪「何色にも輝く未来へ!」
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最新の宇宙船に乗って

第48輪です。

 最後の戦いは宣戦布告でも使われた、例の爆破が多用できる山中の広場だった。

「くッ……! ここまでかッ」

 ニグリがボロボロの格好で、右手で鳩尾を押さえて呻いた。

 他の〝ブラック・ククルビット〟の四人はとうに力尽きて、ザッソー兵達と共に地面に倒れ伏している。原因はもちろん、特虹戦隊(とっこうせんたい)ディヴァース(ファイヴ)──まだトミーと〝緑の指〟は参戦していない──と戦って、敗れたからだ。

「見苦しいわヨ! 早くお縄につきなさい!」

「……相変わらず、うるせーやつだ……ぜ…………撫子……」

 前屈みにディヴァースピンクと向き合うニグリは憎まれ口をたたき、ニヤリとしつつ、とうとう力尽きてばたりと倒れた。

 同時に色のないセメント爆弾が大きく爆発する。宇宙のならず者のリーダーの最後に相応しい演出だ。

「終わりましたね」

 意識のある者もない者も、〝ブラック・ククルビット〟の五人とザッソー兵の全員が、特虹戦隊の隊員に捕らえられ、連れられてゆく。

 今頃、月でも〝(アク)(ハナ)〟のアジトである巨大な宇宙戦艦は接収され、ここに来ていない素顔のザッソー兵や乗組員達も宇宙政府軍に捕らえられているだろう。

「ええ。()()()()()()()、ネ」

 引っ立てられてゆくニグリを眺めながら、変身を解いたシャーリー司令官は意味深な発言をした。

 先週でプラントロイドの全てを倒し終え、今週は〝ブラック・ククルビット〟との決戦がメインだと思われた。が、セイカをはじめ数名は、シャーリー司令官がこれで終わらせるはずがないと解っていた。

「じゃ、アタシ達は一旦秘密基地に帰って、全員揃って出撃するわヨ」

 戦場に背を向け歩き出すシャーリー司令官に皆続き、

「え? ドコに出撃するの?」

と質問するイクシアが、飛び跳ねて彼女に肉薄する。

「借りを返していいのかしら……」

「いえ、ソフィーさんの蹴りをくらわせたら死んじゃいますよ。相手はバカ令息(ボン)ですから」

「バカボン…………ふふふ」

 品良く笑うソフィーに、セイカはこの世界に来た時には既にそう呼ばれていたと話す。

「……私は笑っていいのかどうか、複雑だな」

「おや、若は彼らと並ぶとでも? この私がお側でお仕えしていたのに?」

「そうか…………違うな」

「そうです。貴方は立派な王太子にして、次代の惑星王です」

 イカコは主従を解消したつもりでも、タガルニナは未だ彼を『若』と呼んでいた。言われた内容と共に、イカコは嬉しくもあり、少しくすぐったくもあった。




「わー! コレで出撃するんだ!」

 カッコイイー! と喜んで、イクシアは後方宙返りをした。

 ここは秘密基地のある宇宙政府軍の宇宙港だ。月面で〝悪ノ華〟のアジトだった巨大宇宙戦艦は黒くて四角いフォルムだったが、特虹戦隊に用意されたのは戦士の全員が乗り込むのにちょうどいいサイズの白い宇宙船だった。

 メンバーには、トミーと〝緑の指〟──ユーリィ・バートン・ハードハックの姿もある。

 袖の長い白衣にサスペンダー付き半ズボン、靴下はガーターで吊り上げるオールドスタイルの、今日も立派に合法ショタでショタコンホイホイなトミーは、ヴァリーリアンと共に歩いている。

 が、ユーリィの方はというと、いつかのミヒャエル副官が嵌められていたように首輪をしていて、それに取り付けられたリードをエフェドラが握っていた。四ヶ月強、寝返らされて諜報活動を行なっていた割には、信頼がない。あるいは単に羞恥プレイか、または独占欲の表れか。

 そう、独占欲。

 最初は皆、耳を疑った。エフェドラは〝緑の指〟を拉致してきた日に、言ったのだ。彼を父方のファミリーネーム「ハードハック」で呼べと。故郷でもその名で通っていたという。しかし、それを別にしても自分以外の者が彼のファーストネームを口にするとイラつくので、呼びたかったら喧嘩を売るつもりでいろと。

 誰もが、シャーリー司令官でさえも、エフェドラを敵に回す気は毛頭ない。リスクを冒してまで、〝緑の指〟のファーストネームを呼びたくはない。というか皆、〝緑の指〟の本名を憶えてもいないし、彼には悪いが「あ、そういう名前だったんだ」と、その響きの似合わなさに驚いた。

 そして悟った。シャーリー司令官が誘ったとはいえ、エフェドラみたいな大物がこのゆるい戦いに参加したのは、やはり彼が原因だったのだと。

 そんなことがあったので、誰もがユーリィの現状での扱いを、見て見ぬ振りをしていた。彼の様子が〝緑の指〟の頃と変わっていないのも大きい。首輪とリードを嫌そうにしているのを隠していない。拉致されて今まで調教されていたとは思えない豪胆さだ。エフェドラを「お嬢ちゃん」と呼ぶ狡猾な地味メンは、中身は『全宇宙の極悪人どもをも恐れさす、拷問のスペシャリスト』が執着するほどに只者ではないらしい。

 まあそれはともかく。

「凄い宇宙船ですね! ワクワクします!」

 セイカも瞳を輝かせる。

 シャープな流線形の白い宇宙船は、正義の味方に相応しい。

「最新の機種ヨ! 今日のために用意したの!」

 ショッキングピンクのハイヒールで見事なモデル歩きをしているシャーリー司令官は、ピンクのラメで煌めくつけまつげ盛り盛りの目でウインクした。

「さあ、最終戦へと向かいましょう!」

 かつては〝悪ノ華〟の大幹部やその従者だった五人を仲間に加え、シャーリー司令官を先頭に最新の宇宙船に皆で乗り込むのだった。

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