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異世界で戦隊ヒーローのレッドをやっています!〜特虹戦隊ディヴァースⅤ〜  作者: 天ノ河あーかむ
第45輪「シャーリー司令官の怨敵」
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戦いに勝って

 巨大化したロマネスコロイドは、フラクタル怪音波でディヴァースロボの操縦を狂わそうとしてきたが、元々そういう場合を想定して設計されている上に、〝黄の庭師〟が目覚める頃を見越して強化もしたので、まったく効かなかった。

 そして、必殺技『ハイパーレインボービーム』で倒されたロマネスコロイドの最期の言葉は「美しいフラクタルを見て楽しむのもいいが、ちゃんと食べてくれよ────!!」であった。

 よっぽどみんなに食べてもらいたいらしかった。




「少佐の部下に囲まれてのお留守番、怖くなかったですか?」

 秘密基地に帰るなりトミーの元へ駆け寄って屈み、ヴァリーリアンは問う。エフェドラの部下に割と失礼な聞き方である。

「んむ? もう片付けてきたのかの、リアン」

 ヴァリーリアンのフリースペースでソファーに座って脚をぶらぶらさせていた今日も安定の合法ショタは、「早かったの」と驚いている。

 心配されたトミーは、手紙を送る魔法陣を考えていたら時間がすぐ過ぎてしまい、没頭するので周りの様子も気にならなかったという。

 そうでなくとも実際の年齢は二百二十五歳の、マッドサイエンティストだ。『ノルトベルガー十傑』のうち八人──二人は〝緑の指〟を担当──がいて司令室にドSなオーラが充満していようとも、動じる繊細な神経を持ち合わせてはいなかった。

「異常は無かったか」

「有りません!」

「そうか。通常任務に戻るがいい」

「は! 失礼します!」

 エフェドラが現れると部下達は素早く彼女の前に整列し、次の指令に従って敬礼した後、司令室から姿を消す。

 ドS濃度がぐっと下がった。

「司令官。〝緑の指〟を見てくるが、いいか」

「もちろんヨ。アチラにも部下がいるんデショ? 早く行ってあげなさい」

「感謝する」

 シャーリー司令官に許可を取ったエフェドラは、(きびす)を返し〝緑の指〟の監禁部屋へ向かった。

 これから大人の時間だろうか。誰もが何も触れなかった。

 司令室のドS濃度はゼロになった。

「ありがとうございます」

 飲み物(今回はコーラ)を持ってきてくれた隊員に、セイカはお礼を言った。

 他の皆にもそれぞれ好みの飲料が配られて、ホッとした空気が流れる。

「それにしても〝ブラック・ククルビット〟ってもっと凶悪かと思ってたけど、案外間抜け?」

 フリースペースでゆめかわいい服の製作を再開させる前に、苺ミルクをストローで飲んでいるイクシアが口火を切った。

「外見がいかにも厳ついとかでもありませんし、傷だらけでもないですしね」

 同じくストローで、青色の爽やかな炭酸飲料を飲むヴァリーリアンが頷く。

「むしろ美形や可愛い寄りだな」

「……ああいうのが好みなのか、ロメロ」

「は? ち、違うぞ殿下。一般論だ、一般論。罪状と外見が伴っていないって、賞金稼ぎの(あいだ)じゃ有名だったんだ」

 西部劇調のフリースペースでは、アイスココアの氷をストローでくるくる回すイカコにジト目を向けられて、向かいに座っているロメロは焦ってコーヒーカップを置き、説明をする。

 出陣前に貰った情報でも思ったが、確かに〝ブラック・ククルビット〟の五人は残虐な犯罪を平気で犯すにしては、粗野な容姿をしていない。だからこそ、危険なのだが。

「ニグリはあの見た目でしょう? ロクデナシなのに背は高いし顔だけはイイの。なぜかそういうダメ男にばかり引っ掛かって貢いでしまう人達には、最低最悪なヤツよ」

 また紛らわしく中身がジンジャーエールのシャンパングラスを持ったシャーリー司令官は、六角テーブルの所定位置でやけに実感がこもった話をした。幼少時、女友達が被害にでもあったのだろうか。

「ニチディはカワイイ系だよね。ボクには断然劣るけどね!」

「……シアより可愛い男の子なんていないわ」

「! えへへ」

 イクシアが対抗心を燃やせば、セイカのフリースペースで巨大熊のぬいぐるみの隣に座っているソフィーは、オレンジジュースを手にポツリと零した。

 驚きと嬉しさでイクシアは照れる。

「バカップルは放っておきましょう。トミー、プラントロイドはあと何体残っていますか?」

 ヴァリーリアンが隣のトミーに問う。帰ってきてから毒舌が絶好調だ。

「二体じゃな」

 魔法陣を考えていたトミーは鉛筆の頭を顎に当て、斜め上を見つめて答えた。

「ちょうどいい数ネ!」

「……なるほど。ちょうどいいんですね」

「ええ、ピッタリだわ!」

 シャーリー司令官とセイカは訳知り顔で頷き合う。

「司令官もライヴァルですか……」

 セイカの向かいで紅茶を片手に今日のタブロイド紙を開いていたタガルニナが、盛大な誤解をしている。

「なにがちょうどいいのか、まあなんとなく分かりますが。それよりまずは二体のプラントロイドの情報を得ておきましょう」

「あ、どうして今週のプラントロイドがロマネスコにしたのかも知りたいです!」

「む? それはじゃな──」

 こうして人数が倍近くに増えた司令室では、戦いの後も賑やかに過ぎてゆくのだった。

トミーの飲み物は、抹茶ラテです。

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