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異世界で戦隊ヒーローのレッドをやっています!〜特虹戦隊ディヴァースⅤ〜  作者: 天ノ河あーかむ
第44輪「二人は二度恋をする」
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決着

 長かったのか、短かったのか。

 〝青の薔薇〟とロメロは、二人だけの闘いに没入していた。

 その末、ロメロが放った一撃で、刀身が折れて飛び、近くの植え込みに刺さった。

「……勝負がついたな」

 (つか)を握った〝青の薔薇〟は、中程から刃が無くなった剣をじっと目にし、やがて鞘に戻した。

 最初から勝てるとは思っていなかった。

 記憶をなくす以前も今も、ロメロは手加減をしていた。

 ただ一度、負けるにしてもはっきりと、決着をつけておきたかったのだ。完全に〝青の薔薇〟の我が儘だ。

「…………ありがとう」

 ロメロは変わらず付き合ってくれた。

 どうってことないぜ? と(うそぶ)き、くるくる回して二挺の拳銃をホルスターに収めるロメロに、〝青の薔薇〟は改めて胸が一杯になるのだった。


 一方、セイカと〝白の廃園〟の闘いは──

「よし! 手を出しましたね!」

 素早く連続して蹴りを入れ続けていたセイカの攻撃は、どんどん速度とキレを増し、さしもの〝白の廃園〟も危険を感じて(ようや)く手で受け止めた。

「まったく貴方は……驚異の集中力ですね」

 〝白の廃園〟は苦笑する。こちらは攻撃も反撃もする気はないと伝えている。特別に好かれていると思っていたのは間違いだったのか。

 なんにしても若いなあと、セイカを眺めてしまう。

 今は特虹戦隊(とっこうせんたい)の制服姿だが、普段のロリータファッションでも躊躇いなく闘いに突入していただろう。それが解るくらいには短いようで長い付き合いだ。

「気は済んだかしら」

 頃合いと見てとったシャーリー司令官が、モデル歩きでこちらに来た。

「ソフィーさん、やりましたよ!」

「見事な連続技だったわ……素敵。わたくしと(さと)で戦士として一緒に暮らすべきよ」

 ディヴァースパープルは変身を解いてセイカに近寄ると、どさくさに紛れて抱きついた。

 セイカは足技を強化すべく、ソフィーに教えを乞うていたのだ。

「貴方の指南でしたか。というかセイカさんを離してください。変に誘惑もしないでください」

「なぜ……? セイカは嫌がっていないわ」

 まったく余計なことをしてくれたと、〝白の廃園〟は冷めた目でかつての同僚を見下ろす。ソフィーはソフィーで小煩(こうるさ)い蠅を無視する(てい)で、抱きしめたセイカを愛しそうに見つめたままだ。

 視線は合っていないのに、火花がバチバチ散っている。

「あのネ、そういうのは後で存分にやってちょうだい」

 シャーリー司令官は天を仰いで、額に手の甲を当てて呆れた。

「〝青の薔薇〟と〝白の廃園〟、宇宙政府軍に従ってくれるわネ?」

「ああ…………」

「若の御心のままに」

 〝青の薔薇〟は力無く了承し、〝白の廃園〟はあくまでも従者の姿勢を崩さない。

 シャーリー司令官は頷き、

「〝青の薔薇〟と〝白の廃園〟を、確保!」

と二人に向かって手を伸ばし、特虹戦隊の隊員に命じた。

「は!」

 変身しない通常の隊員達は〝青の薔薇〟と〝白の廃園〟の両腕を各一人ずつ拘束し、前後にも身張りが配置される。手錠がされないだけマシな対応と言えるだろう。

「ソフィーちゃんもアタシと一緒に、彼らについていてもらえるかしら」

「……シャーリー以外のオスは嫌いだけど……セイカは今から忙しいものね」

「その通りヨ! 物分かりがいいコは好きだワ!」

 すっかり特虹戦隊に馴染んでいるソフィーである。

 二十代半ばのソフィーを『子』扱いするのも、シャーリー司令官らしい。

「じゃあロメロさん、仕上げにいきましょう!」

「O.K.リーダー、変身ブレス(コレ)だな?」

「そうです! いきますよ!」

『ディヴァースチェンジ!』

 セイカとロメロは仲間の元へ走りながら変身した。

「……記憶喪失なのに、息が合うな」

「アラアラ、嫉妬しなくてもいいのヨ? あのコ達は一年近く共に戦ってきたの。アナタも間近で見てきたデショ? ちょっと記憶が無いくらいじゃ、ディヴァース(ファイヴ)の絆は揺るがないワ!」

 特虹戦隊の上官であるシャーリー司令官は得意顔だった。実際、自慢の部下達だ。バラバラで強烈な個性の塊であるというのに、お互いを尊重し纏まっているという、奇跡のごとく素晴らしいチームなのだ。

 四人をスカウトした末に、セイカが加わった。彼女を召喚したのは〝(アク)(ハナ)〟だが、保護ではなく戦士にスカウトしたのは自分だ。自画自賛する訳ではないが、自分の人を見る目が確かだったのも誇らしい。

『スーパーファイナルDブラスターショット』

 シャーリー司令官をはじめソフィーと非戦闘員の隊員達、〝青の薔薇〟・〝白の廃園〟が見守るなか、五人の戦士はブルーコーンロイドに必殺技でトドメを刺した。


 その後、セイカによってバトルフィールドが展開され、巨大化したブルーコーンロイドは五本の指の中からポップコーン爆弾を放ってきたが、ディヴァースロボは剣で全てを切り捨て、必殺技『ハイパーレインボービーム』で倒した。

 ブルーコーンロイドの最期の言葉は「みんなが食べているトウモロコシの一粒一粒は種だぞ────!!」だった。

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