スタジオで撮影開始
室内での撮影が最初に行われることになった。
五人とシャーリー司令官で指定されたスタジオに着くと、まずどんなコンセプトで撮りたいかを説明され、次にグリーンバックの前でポージングを指示される。
今日は全員が特虹戦隊の制服だ。シャーリー司令官を入れた集合写真から、一人ずつの撮影に移る。
「ふうー、緊張しました」
「お疲れ様です」
セイカはレッドなので一番に撮影が終わった。パイプ椅子に腰掛けて用意されたジュースを飲んで休憩する。
ここのスタッフは初代からムック等を出す許可を得てきただけあって、熱意が凄い。戦隊ヒーロー愛に溢れに溢れている。イメージに合わないポーズは絶対要求してこないので、結果、写される方もストレスを感じない。慣れていない自分達を相手に、的確な指示を出して早業で連写していく。
素顔の戦士になる願望などこれっぽっちもなかったセイカでさえ、気恥ずかしさを覚える暇もなく、次々と出される要求に必死に応えているうちに撮り終わった。
「いいね〜、その表情!」
「じゃあ今度はこっちに目線もらえる?」
イクシアとロメロ、そしてシャーリー司令官までノリノリで、自らいろいろなポーズをとっている。
秘密基地で命を受けた時はあっさり了承して、内容について質問するでもなく無反応だった少佐は大丈夫かな……とセイカはドキドキして見ていたが、いつもの無表情で立ち姿を連写されている。というか、短鞭や鞭を手にしている。小道具ではなく愛用の。もしかして、エフェドラもノリノリなのか?
カメラマンと他のスタッフの声がけも上手いので、「照れくさいですね」と言っていたヴァリーリアンまでその気にさせている。
流石プロの集団。恐るべき手腕だ。
この様子だと野外で撮る分も問題なく進められそうだ。今回撮ったものの一部は、戦いが全て終わった後に出すフォトブックにも収録されるらしい。
シャーリー司令官や秘密基地で働く人々も含めて、特虹戦隊の制服姿で全員集合した軍用の写真はある。だがこれからムックになる写真は、カッコ良くバックが加工されたり文字がレイアウトされたりしてできあがるのだ。
各人のファンや、とりわけ特虹戦隊の制服姿が貴重なエフェドラなので、彼女の信者には堪らないものになるだろう。
特虹戦隊の一員としてこれはいい記念になるなぁと、自分の人気など自覚のないセイカはのんびりジュースを飲み、アンケートに答えたり、写真の一部に被るように載せる話の取材を受けるのだった。
写真の撮影が終わったら、戦隊ヒーロー番組の主題歌を担当している〝TOKYO FUTURE〟との対談だ。
少し前にスタジオ入りしていたメンバーのMARKOとMAKOは、宇宙規模で活躍するにあたって『ラテン系地球人』と称しており、顔が濃ゆい。色彩は違えどラテン民族を源流とするデュラム星人のロメロと通じるところがある。
そんな彼等と対談するのは、セイカとヴァリーリアンだ。
特撮ファンなら誰もが知っている〝TOKYO FUTURE〟の詳しい経歴とか結成秘話とかではなく、今年度の番組の主題歌を中心とした話を、要所要所でスタッフに誘導されつつ展開してゆく。
そして対談後。
「えっへっへーっ! 『イクシアさんへ』って入れてもらっちゃった〜!」
二人に会えて興奮していたイクシアは、書いてもらったサイン入り色紙を両手で掲げ、くるくる回って喜んでいる。
「わたしも名前入りでお願いします」
「僕のは姪の名前で……」
なんて、セイカもヴァリーリアンも色紙を差し出すので、MARKOとMAKOが恐縮してしまったくらいだ。
「戦隊ヒーロー枠でいえば、ボクらの方が後輩じゃん! 二人は大先輩だよ!」
年上の、特撮ソングを歌うアーティストとしては中堅といえるMARKOとMAKOは、セイカ達を本物のヒーローとして敬いとても腰が低いので、イクシアは事実として彼等を立てる。
戦隊ヒーロー番組の非常に人気のある主題歌を担当していたのが、イクシアの子供の頃──つまり、彼等の歌で育ったドンピシャの世代なのだ。普段ツンが強いイクシアも、彼等の前ではファン心理が勝る。
「ロメロに似ているのに、謙虚な方々ですね」
「だね! ロメロは二人の爪の垢を煎じて飲んだらいいよ!」
「ユー達、オレに失礼じゃないかい!?」
仲間なのにぞんざいに扱われる、いつものロメロであった。
余談だが、エフェドラはやはり興味を示さなかったので、余った色紙の一枚には『特虹戦隊ディヴァースⅤさんへ』と入れたサインを書いてもらい、秘密基地の司令室に飾られることになった。イクシアは素晴らしくいい笑顔だった。




