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異世界で戦隊ヒーローのレッドをやっています!〜特虹戦隊ディヴァースⅤ〜  作者: 天ノ河あーかむ
第22輪「あるザッソー兵の日常」
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戦いの日々のなかで

 あれからいろんなことがあったっす。

 まず仰天したのは、ヒーローのレッドさん・オレンジさん・ゴールドさんの三人が、オレらの住む巨大戦艦──〝(アク)(ハナ)〟のアジトに乗り込んできたことっす。すわ襲撃か、と身構えるも、私服姿のレッドさんやオレンジさんは大変可愛らしく、ゴールドさんはカウボーイ風にカッコ良く、単に遊びに来たっていうじゃないっすか。

 宣戦布告した翌日っすよ?

 そうじゃなくても、敵だらけの中心地っすよ?

 大胆不敵にも程があるっす。

 勤務時間外だとかってラウンジに通す同僚もどうかと思うんすけどね。でも今や毎週恒例になっちゃって、彼女らがいてもなんも違和感がないっす。逆に来ないとなんかあったのかって心配になるくらいっす。

 最初は「何しに来た!」と怒ってた〝青の薔薇〟さんや緑の旦那も、諦めたのかそのうち咎めなくなったっすね。

 で、オレたちは早々に悟ったっす。特虹戦隊(とっこうせんたい)のお三方は、なぜ敵地に足繁く通ってくるのか。それは、各々(おのおの)のターゲットと親交を深めようとしてるって。

 レッドさんは、白の旦那こと〝白の廃園〟さんと。

 オレンジさんは〝紫の百合〟さんと。

 ゴールドさんは〝青の薔薇〟さんと。

 素顔で会えるこの機会、特にゴールドさん担当の金班は「本当にワンチャンあるかも!?」と喜んでたんすが、それに気付いたらガッカリしてたっす。未だに一縷の望みに賭けてるヤツもいるみたいっすが。

 アクア班と銀班のメンバーは「来てくれるだけでいいだろ!」って嫉妬してるっす。少佐はともかく、なぜかアクアさんも来たことないんすよね。宇宙人類学者だったら勇んで乗り込んできそうっすが。

 事実、来てくれるだけでも嬉しいもんすね。どの方も私服姿が眼福モノっすし。飲み物やスイーツをお出しする際に、直接会話をできたりしちゃうし。話しかけるなんてできないシャイなヤツでも、ラウンジという同じ空間──最も間近なのは隣の区画のソファー──にいられるわけっすし。

 だから分かるんすが、アジトに来るお三方はターゲットに据えた人と着実に距離を詰めてらっしゃるっす。

 三者三様、見事な手腕っすよ。

 それを知っていても、オレらの中に止めるヤツはいないっすね。だって〝青の薔薇〟さんたち、脅されて悪事を働かされてるわけっすし。

 オレ個人としては、初めてのロボ戦を終えてから来られたレッドさんが見せた心意気に、完全にやられたっす。

 都市部で実際にロボ戦を繰りひろげたら、甚大な被害が出るのは必至。ゆえに、バトルフィールドが展開できて現実に影響のない空間で戦えて──

 これ以上、オレたちの罪が増えずに済んでホッとしてるって。

 ターゲットの方たちだけじゃなく、末端のザッソー兵のオレらのことも考えてくれてる。

 近くで聞いてたオレは、思わず涙ぐんじまったっす。悪の組織に雇われたと知らずに犯罪者になっちまったオレには、すっげー重い言葉だったっす。なんてことのない話のように軽く口にしたレッドさんの気遣いもまた、胸に響くっす。

 他にも盗み聞いてたヤツらがいたっすが、オレと同じで感極まってたっすね。そいつらから又聞きしたヤツらにも、レッドさんの素晴らしさが伝わったっす。

 みんな心を掴まれたっす。


 やっぱレッドになるべくして、この世界に召喚されたお人だと。


 それからのオレは赤班の班長として真面目に仕事に取り組んだっす。

「お前、変わったよな」

「最初はやる気なかったもんな」

「レッドさんの一番のファンと豪語しても恥ずかしくないように、なすべきことをなしてるだけだ」

 同僚が揶揄ってきても、オレはしれっとそう返したっす。

「ほら、それだ」

「いつからレッドさまのファン1号になったんだ」

「俺たちだってレッドさまのファンとして負けてないぜ」

「お前らはファンじゃなく、変態なだけだろ」

 正直、オレは今でもドMなヤツらの気持ちが解らないっす。てかレッドさんをそういう目で見るのが許せない、業腹ものっす。

 まあ他の班と違って、赤班のメンバーはレッドさんをリスペクト或いは神聖視してるヤツばかりなんで、イラッとしないんすけどね。

「しっかしレッドさん、マジで白の旦那狙いかよ」

「おれは『吊り橋効果』だと思ってたんだが……」

「それな」

 赤班のメンバーが嘆いてるっす。オレもそう期待してた時期があったっす。

 レッドさんはこの世界に落ちてきて、白の旦那にキャッチされたっす。鼓動が激しい状態で美丈夫に姫抱っこされたんすから、『吊り橋効果』で恋したと勘違いしてもおかしくないっす。

 でもレッドさん、あれから半年近く経った現在も、白の旦那に会いにアジトに来てるんすよ。

 任務で白の旦那の担当になってるのかもしれないっすが、それだけじゃないのは一目瞭然っす。

 大胆不敵にも、レッドさんは平然と白の旦那を攻めては反応を楽しんでるっす。自分の倍以上の年齢の男性を相手に、ですよ? 流石はレッドに選ばれし者っす。

 が、逆に白の旦那に攻められると途端に挙動不審になって、飲み物で誤魔化したりして平常心を保とうとするっす。そして必ず攻め返すっす。やられっぱなしで帰ったことはないっすね。相当な負けず嫌いっすよ。そこがカッコカワイイと赤班のメンバー以外にも人気っす。

 え?

 地球征服はどうなってるのかって?

 そっちは相変わらず大幹部の方とゆるい怪人に率いられていっては、特虹戦隊の皆さんに簡単に退治されて逃げ帰る、を繰り返す日々っす。

「ストックも尽きてきたな……」

「そうっすね……」

 床に半分埋め込まれたカプセルが、左右にずらっと並ぶ青白い部屋の中。

 ぼんやりとした白い光を下から受けた緑の旦那とオレは、その辺りの中身を見て呟いたっす。

 ここは、怪人が眠る部屋っす。〝黄の庭師〟さんが召喚の反動で行動不能に陥る前に造っておいたプラントロイドが、一体ずつカプセルに入ってるっす。

 けれども中身があるカプセルは、もう三個しかないっすよ。

「保ってあと三週間か……」

 緑の旦那は厳しい表情をしてるっす。

 分かるっす。

 プラントロイドは〝黄の庭師〟さんだけが造れるっす。その〝黄の庭師〟さんの回復が、まさかこんなにかかるとは誰も予想してなかったすから。

 緑の旦那と二人して、どうしたものかと悩んでた、その時。

「失礼します! 〝黄の庭師〟さまが目覚めました!」

 出入り口の扉がシュンッとスライドして開き、アクア班の班長が外側に立ったまま報告してきたっす。

 この部屋は、〝黄の庭師〟さんを除いて、緑の旦那と各班の班長だけが知っており、また、緑の旦那とオレしか入れない設定になってるっす。

 はい? なんでオレが緑の旦那にそこまで信頼されてるのかって?

 オレも不思議に思って、いっぺん聞いてみたんすよ。したら緑の旦那、「お前は常識人だからな」と答えたっす。やっぱ分かる人には分かるんすね〜!

 って、今はそれどころじゃないっす!

「何!? 本当か!?」

「は! 〝黄の庭師〟さまは現在、自室で休んでおられます!」

 緑の旦那は早足で出入り口に向かうっす。オレも後を追うっすよ。

 〝黄の庭師〟さん、自分が起きる時期を大体計算してプラントロイドを造っておいたらしいんすが、本当にその通りになったっすね。こっちはヒヤヒヤしたっすがね!

 さあ、これから忙しくなりそうっすよ!

ザッソー兵5号が主役の回でした。

次輪から通常通りになります。

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