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異世界で戦隊ヒーローのレッドをやっています!〜特虹戦隊ディヴァースⅤ〜  作者: 天ノ河あーかむ
第22輪「あるザッソー兵の日常」
36/80

非日常は突然に

数は間違いではありません。

わざと第22輪に飛んでいます。

 ち〜すっ!

 今回は〝(アク)ハナ〟っつー悪の組織の下っ端、ザッソー兵をやってるオレが皆さんをいろんなところに案内しまっす!

 え? 何をもって『悪』の組織なのかって?

 それが聞いてくださいよ! あの辺境にある母なる惑星『地球』を征服するっつーんすよ!

 歴代の戦隊ヒーローさんが守ってきた、伝説の!

 宇宙中の惑星にいる人間の祖先は、住めそうなあらゆる惑星に旅立った『地球人』ですからね!  まあ中にはノルトヴェルガー少佐の種族みたいに、見た目は地球人っぽい他種族もいるっすが、そーゆーのは極々少数っす。

 そんなほぼ全人類の故郷『地球』は、だからか悪人に狙われるのが常でー。毎年、新しい悪の組織が我が物にしようと攻めては、同じく新しいヒーロー戦隊に撃退されて、正義が勝ち地球の平和は守られた、てことを繰り返してるっす。しかもその様子はどの惑星でも、毎週日曜日の午前中に放送されてるんすよ。オレもそれを観て育ったくちっす。

 なのに、なんの因果か悪役側になっちまって……!

 いやね、最初は本気にしてなかったんす。なーんか楽して稼げるイイ仕事はないかーって、求人広告をテキトーに眺めてたっす。したら見つけちゃったんすよ。

 勤務は週1〜2日、水道光熱費も払わなくていい食事付き住居もあって、大卒1.5〜2倍の月給制。年齢・身長制限は、二十代で百七十五センチメートル前後。仕事内容は、悪の組織の構成員としてヒーローと戦うこと。

 すっげー待遇イイし。仕事はちょい役の俳優か、子供向けのヒーローショーの一員かなって思ったし。歳も身長も条件をクリアしてるし。

 オレ、コレ余裕でイケるんじゃね? って。

 けど昔から言われてるっす。『美味い話にはウラがある』ってね。

 ヒーローショーの一員はともかく、ちょい役の新人俳優がそんなに待遇がイイはずがないっす。ちゃんと考えれば分かったのに、その時のオレは金に目が眩んでたんすね。

 第一次選考は写真付き履歴書(つっても必要事項をPC・スマートデヴァイスで書き込んで、顔写真の画像を送るだけ)での審査で、無事通過したっす。第二次選考は筆記(これもPC・スマートデヴァイス)で、たぶん性格診断っぽい内容だったんすけど、コレも通過。第三次選考はようやっと面接で、こっちもオンラインでOKってんでその時にいた星で受けたっす。面接官が複数人いて、全員顔出ししてなかったんで、「あ、こりゃヤバイ? ヤバイやつ?」って焦ったんすけどねー。受かっちゃったんすよねー。

 で、勤務先に向かうついでに拾ってくから宇宙港に来いって言われ、「そーいや勤務地ってドコだ? 惑星を転々とするのか?」と、まだヒーローショーの一員線で考えてて首を捻って待ってりゃ、現れたのは巨大な宇宙戦艦だったっす。唖然としたっすよ。

 場所を間違えたか!? と焦ろうにも、オレの他にも似通った身長で同年代の待ってるヤツ(どいつもイケメン)が二、三人いたんで、間違いじゃないって分かってたんすけどね。

 なんかヤバイって勘が告げてても、ホラ、若いと勢いとかで動いちゃうじゃないっすか。好奇心も旺盛な年代っす。ついつい興味津々で乗り込んじゃったっすよ。

 それから割り当てられた部屋に荷物(オレは手提げカバン一つだけ)を置くと、先に乗組員になっていたヤツに艦内を案内されたっす。

 いやー、外観もスゴかったっすが、中身もスゴすぎっす。

 真新しい戦艦はひろすぎて、主要な場所しか案内されなかったっすよ。

 その中でオレが一番感動したのは、食堂とラウンジっすね。

「ここのメシは美味いぞ〜!」

って案内してくれたヤツが自慢していた通り、大衆メシばっかっすが、ソレがもう美味いのなんの!

 ラウンジは眺めが良くて寛げるし、頼める軽食も飲み物もスイーツも有り。当然ソレらも絶品っす。

「は〜、住み込み先がこんなスッゲー戦艦とは思いもしなかったっす」

「そりゃヴィランが劣ってたら、ヒーローの格好良さが際立たないだろ」

「それより今日からお前らも訓練に入るぞ」

「俺たちは、『下っ端の矜持』を持って事に当たる。手を抜いたら即クビ──この艦を降りてもらう」

 戦艦に乗り込んだ次の日、そう言って先に乗っていたヤツらに連れて行かれたのは、ひっろい訓練場だったっす。

「?」

 訓練しているヤツが何人もいるっすが、なんか動きがおかしいっす。

「アレ、受け身ばっかっすか?」

 知ってる範囲では、全員が武芸の受け身や特撮の殺陣のやられ方を練習してるようっすね。

「当たり前だ。我らは悪の組織の下っ端だからな」

「攻撃よりも受け身が重要だ。やられ方がなってないと、ヒーローが強く見えん」

 それもそうか、とオレは納得したっす。子供向けのヒーローショーでも真剣にやらないと怪我をするし、なによりチビっ子たちの期待は裏切れないっすからね。

「さ、キミらも今日から特訓だ」

「全てはヒーロー様方が格好良く()られるために!」

『全てはヒーロー様方が格好良く在られるために!』

 連れてきてくれた一人が叫ぶと、訓練していた全員が一斉にこっちに向かって同じ言葉を繰り返したっす。しかも、両腕を指先まで真っ直ぐ上に伸ばしてのポーズで。初めて来たオレらは驚いて、ビクッとしちゃったっすよ。

 ソレ、オレらもやるんすかね……?

「なにをしている。キミらも唱和したまえ」

「さあ、悪の下っ端としての一歩を踏み出すのだ!」

「は、はぁ……」

 オレは引いていたっすが、一緒に連れられてきたヤツらは嬉々としてその言葉とポーズを教えてもらっていたっす。

 終始このノリなんだろうか。オレ、ついてけるか?

 一抹の不安を抱えながら、半分は畳が敷き詰められ、もう半分には体操などで使うマットが敷かれていたり筋力トレーニングをする器具が充実したコーナーがあったりする訓練場へと足を踏み入れたっす。

 しっかし、案内してくれたヤツらも訓練しているヤツらも、イケメンばかりってのは偶然っすかね?

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