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異世界で戦隊ヒーローのレッドをやっています!〜特虹戦隊ディヴァースⅤ〜  作者: 天ノ河あーかむ
第5輪「〝緑の指〟は破滅願望者!?」
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その後の〝緑の指〟は

 変身した四人はザッソー兵を全員片付けると、ピーマンロイドを『ファイナルDブラスターショット』で倒した。するとお約束で、被害に遭った人々のピーマン型被り物も消えた。

 ゆっくりしてはいられない。プラントロイドはすぐに巨大化する。〝緑の指〟を弓形(ゆみなり)に吊るしあげて短鞭(ケイン)を振るっているエフェドラに、現実に戻ってきてもらう必要があった。

「少佐! 変身してください! バトルフィールドを張りますよ!」

「…………解った。

 命拾いしたな、ユーリィ」

「くっ…………!」

 ああああ〝緑の指〟のことを誰も覚えてない、似合わないファーストネームで呼ぶとか、まだそこで気になるやりとりしてる!

 セイカはいろいろとハラハラしながらエフェドラの変身を待って、バトルフィールドを展開した。そしてディヴァースロボに全員で搭乗、巨大ピーマンロイドのピーマン弾を避けつつ必殺技『スーパーレインボービーム』で決着をつける。

 実はこの時、セイカはピーマン弾をくらって、ピーマンの被り物をしたディヴァースロボを見たいとちょこっと思ったが、操作に異常をきたすといけないのでぐっと我慢した。

 ちなみに巨大ピーマンロイドの最期のセリフは「パプリカばっかり好んでないで緑のピーマンも食べてくれよ────ッ!!」だった。

 その後、気になっているであろうエフェドラのためにモールの広場に戻ったら、複雑に縛られ吊るされていた〝緑の指〟はザッソー兵達が救出したのだろう、姿はもうなかった。特虹戦隊(とっこうせんたい)の隊員は沢山いるから確認は彼らに任せておけばよいのだが、セイカだったら自分の目でしたいので。

 それを見てもエフェドラはいつもと変わらず泰然としていたし、家族連れのショッピングモールにあってはいけない状態の男が無事にいなくなっていたしで、セイカ達は二重の意味でホッとした。




「いや〜、(みどり)の旦那のこと、見直したっすよ」

「大幹部の地位は伊達じゃないっすね〜」

 〝(アク)(ハナ)〟のアジトにて。

 今日のラウンジでは、セイカと〝白の廃園〟のいる地球に面したコの字になったソファーと、その周辺のコの字ソファーに素顔のザッソー兵達(全員イケメン)が集まって、先日の〝緑の指〟の暴挙を話し合っていた。

「ノルトヴェルガー少佐を『お嬢ちゃん』って、有り得ないっす」

「俺は凍りついたね」

「そもそも幻聴だったんじゃ?」

「確かに。『全宇宙の極悪人どもをも恐れさす、拷問のスペシャリスト』だからなー」

「鬼畜なドS眼帯軍人を全力で挑発とか、ドMのオレらでも流石にできないわー」

 セイカはストローでジュースを飲みながら、素顔のザッソー兵達の話を聞く。

 なにそのキャッチコピー。犯罪者の間では常識なのかな。それとも軍公認? 懸命にヴァリーリアンは誤魔化していたのに、はっきり『拷問』って言っちゃってるし。

「あの少佐を子供扱いなうえ、因縁ありまくりな発言っしょ」

「父親は尊敬してたけどその子供のお前はどうだ、とかいう感じだっけ?」

「腹立つわー。男脳の傾向が強いヤツは腹立つわーソレ」

 脳にも性別がある。それも複雑で、部分部分で性別が異なったりする。

 この世界は当然進んだ考え方をしていて、身体の性別だけでなく、脳の性別も重視される。普通に。

 セイカも軍に保護された初日、脳の性別を調べるためのテストを受けさせられた。

「つまり、男脳の人ほど父親を越えたがるってことでしょうか」

「そうそう。なのに並ぶどころかそれ以下だ、とか言われたら……」

「う〜〜〜こわ!」

「ソレをあの少佐に向かって言って、おまけに嗤って見下したんだぞ!?」

「自殺行為だ、アリエナイ!」

 セイカが質問すると、素顔のザッソー兵達は親切に答えてくれた。最後の人が叫べば、あちらこちらで自分自身を抱きしめて震える人が続出した。

 ちょっと恍惚の表情をしているのは、彼らがドMだからだろう。気にしたら負けだ。

「あのヒト、変わった髪型で個性を出してるだけの、ただの地味キャラじゃなかったんだな」

「他の二人が突っ走るタイプだろ? おれは上との調整役だと思ってた。あ、(しろ)の旦那、すみません」

「いいのですよ。我が君は若さゆえに先走るところがおありですからね」

 〝白の廃園〟は今日もセイカの斜め右前に座り、紅茶を嗜んでいる。

 彼の(あるじ)の〝青の薔薇〟はといえば、少し離れたコの字ソファーで同じく今日もロメロと楽しく話しているようだ。時々立ち上がって(わめ)いたり、ロメロを指差して叫んだり……忙しくしているが、〝ハートブレイカー〟の掌の上で転がされているのがありありと分かる。

「俺ら、素顔じゃなくても少佐の挑発なんてできないからなー」

「素面で少佐と対峙するとか、無理だわー」

「恥ずかしすぎる!」

「解ります。素顔は恥ずかしいですよね」

 素顔のザッソー兵達の言葉に、セイカもうんうん頷いた。

「お、レッドさん、解ります?」

「もちろんです。わたしはスーツアクターになりたかったので」

 こちらの世界で戦隊シリーズはフィクションではなく現実として存在しているが、特撮作品は沢山あったので『スーツアクター』という職業もある。

 それについてわいわい話していたら、〝白の廃園〟は音もなくティーカップをソーサーに置き、

「ザッソー兵の皆さんと仲がいいですね、セイカさん」

と、口を挟んできた。

 セイカは「え?」と思って彼を見る。

「少し妬けますね」

 えええええ!

 続けて苦笑気味に言われ、セイカは胸中で絶叫した。

「か、揶揄うのはよくないです」

 セイカはコップの中身を氷を避けてストロー飲む。

 本日のジュースはジンジャーエールである。

「揶揄ってなど……。〝緑の指〟の話題ばかりですし、そんなに彼が気になるのですか?」

 大の大人が首を傾げ、真に不思議そうに尋ねてきた。

 その(さま)は「あ、ちょっと可愛い」と、セイカのハートを撃ち抜いた。

「いえいえ、今までの聞いてて解りますよね!? 大体、〝緑の指〟は少佐のものですよ!」

 先日の戦いの様子をライヴ映像で見ていたと言っていたのに、興味はないのだろうか。もしくは〝緑の指〟の驚愕の言動について〝悪ノ華〟ではどうとらえているのか、探っているのがバレたのか?

 まさか構ってもらえなくて面白くない、なんてことはない……よね?

 だとしたら、めちゃくちゃ可愛いんですけど! すっごく年上の! 美丈夫が!

 セイカが〝白の廃園〟に萌え萌えしていたそこに、

「誰がアレのものだ! お前らまた来ているのか! 早く帰れ!」

と、反論の声が降ってきた。

「やや。緑の旦那」

「タイムリーっすね」

「残念ですが、少佐は来ていませんよ」

 申し訳なく思って、セイカは殊勝に事実を告げる。

「ばっ…、べべべ別にっ、残念なんかじゃないっ!」

 〝緑の指〟は(ども)りまくってそう言うと、さっさとラウンジから出て行ってしまった。

「ありゃ期待してたっすね」

「けどノルトヴェルガー少佐が来たら、最後だって気がしねえ?」

「だな。終わりだ終わり」

 素顔のザッソー兵達は口々に噂する。

「なのにあれだけのことをして、今日いるか見に来るとか」

「度胸ありすぎ」

「オレなら怖くて顔も出せないね」

 という訳で、〝緑の指〟は地味キャラのイメージを払拭し、悪の大幹部らしく一段階上のドMと宇宙中で目されることとなった。

 本人は「MでもドMでもない!」と主張していたと〝悪ノ華〟に潜入している少佐の部下から報告があったが、敵も味方も、誰も取り合わなかった。

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