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異世界で戦隊ヒーローのレッドをやっています!〜特虹戦隊ディヴァースⅤ〜  作者: 天ノ河あーかむ
第3輪「発進!ディヴァースロボ」
27/80

魔王と堕天使のPV

 初めてのロボ戦の翌日。

 話し合いの上、今回はすぐに会いに行くのではなく一日置いて(焦らして)からということになったので、〝(アク)(ハナ)〟のアジト訪問は明日に。今日は待機日になった。

 セイカは日課のアクションと訓練機と判った飛行マシンでのトレーニングをこなし、午後からは全教科いけるヴァリーリアンに授業を受けた。この世界・時代の学問の修得方法がセイカに合うか分からない、今はリスクを避けたいため、普通(この世界では古風)に教科書を使って教えてもらった。こちらに喚ばれた時に持っていた学生鞄に入っていなかった教科書は、ヴァリーリアンがセイカが習う範囲を割り出して作ってくれた。 この世界に来た次の日にはもう用意されていた。流石は『インテリ眼鏡』属性、有能すぎる。もう勉強はしなくていいのかな〜と暢気に考えていたセイカは心の中で泣いた。

 代わりにアクションのトレーニングにはヴァリーリアンを付き合わせているが。陸での動きを苦手としている彼はコーチにビシバシ扱かれて、毎朝ヒイヒイ言っている。自由なメンバーの中で唯一彼のアシストをするセイカは、二人で連携するなら特命な戦隊の金銀のアクションを理想とする。そこに妥協はしない。

 勉学の後は自由時間になったので、イクシアに言われて仮縫いに付き合ったり、なぜか注文していないのに良いタイミングでトロピカルジュースを差し入れられて呆れたり。

 特にやることもないのでフリースペースの活用法を考えてネットサーフィンをしていたら、思い出した。そう、エフェドラとあの副官が所属する、宇宙政府軍中央情報部のPVとかを探すのを。

 軍はいつでも人手不足である。軍人が沢山いて困ることはない。しかも今セイカが所属しているのは、宇宙政府軍。規模が『宇宙』だ。そのため、軍人になってもらおうと軍はあの手この手で勧誘している。だから広報がエフェドラとあの副官を使わないなんて有り得ない。

 でもいきなり視るのは心臓に悪いかもしれないので、まずは宇宙政府軍のスタンダードな募集映像からにしよう。

 そう思って探したら簡単に出てきた。セイカがいた元の世界の某国軍の募集映像は、ハリウッド映画並みに力を入れたカッコイイものだった。宇宙政府軍の軍人募集映像も、そんな感じにSFみ増し増しでカッコ良かった。一応所属している組織なので、ほっとした。

 さて問題は、中央情報部関係の映像である。結論から言うと、情報提供と自首を促す趣旨はまともだった。だが映像が……それどこの乙女ゲームの()!? 状態だった。エフェドラの鞭を手にした上半身が画面に現れた時には黒の羽が舞うエフェクトが、同じく副官が乗馬鞭を手に現れれば白い羽が舞うエフェクトが掛かり、もう魔王と堕天使そのもの。思わず画面下にセリフと選択肢があるのかと確かめた。他の場面の映像もカッコイイし、BGMがまた禁断の雰囲気を盛り上げまくる。隊の全員(やっぱり美形だらけ)がそれぞれ違った責具を手に集合する最後はもう「なんの宣伝!?」と叫んでしまった。

 煩くしないようにと音はワイヤレスイヤホンで聴いていた(司令室には気分をアゲて創作活動ができるようにイクシアが好きな音楽を自分のフリースペースでかけていて、大抵それが全体に響いている)が、それで何を視ていたのか隣のヴァリーリアンにバレた。

「ああ、少佐の部隊のPVですか」

 状況を理解したヴァリーリアンに、納得顔をされた。

 いいんだ。『PV』でいいんだ。

「それは『表』のですが、『裏』や『真』のは視るなら覚悟が必要ですよ」

 『裏』!? 『シン』って『真』!? 視るのに覚悟ってなに!?

「ドMかドSじゃないと、刺激が強いですからね」

「ああ、X指定だからな。セイカはこっちではもう成人だが、元の世界(あっち)じゃまだ未成年だったんだろ?」

「は、はい」

 左斜め向こうのマカロニゾーン──ゴールドのフリースペースから、両手を枕にソファーに仰向けになって寝て(交差した長い脚ははみ出して)いるいつものロメロからも声がかかって、セイカはこくこく頷く。

「修正は一切ないぞ」

「え」

「アレはSM好きじゃないとキッツイぜ」

「新たな扉を開けたいなら止めはしませんが……」

 そして少佐は喜びそうですが、とヴァリーリアンはどこか不安そうに言う。

 あ、これは視たらダメなやつだ。ヒーローのリーダーを任されたレッドまでもがドSになったら、もしくはドMに目覚めてしまったら、そりゃあ困るだろう。

 もとより、仲間や知り合いがメインで出ている成人向けの映像を視る勇気がセイカには無い。

「解りました。視ません」

「英断だ。大体、あんなモン作るから待避する事態になるんだ」

「脳が発達した種族は過半数がMですからね。軍のお歴々も追体験したかったのでは?」

「まさに『魔が差した』ってやつだな」

 ロメロが上手いことを言って締め括り、顔にカウボーイハットを乗せた。

 命令したらパワハラ・セクハラになるし、私的に『お願い』しても大半が一瞥されて終わりだそうだ。その一瞥だけでも悦びになるらしいが。

 大丈夫か、宇宙政府軍。

「ちなみに、少佐の部下は漏れなくドMです。ええ、()()()()()()()()()()()ですね」

「…………」

 つまり、仕事その他にはドSで、エフェドラにだけドMになるという、少佐至上主義上等の信奉者達だと。そしてそれも秘密だと。

「ですから、副官はじめ彼等に少佐との関係を尋ねてはいけませんよ。常人には聞くに耐えないドM発言が平然と出てきますから」

「…………」

 なんだかな。シャーリー司令官はどうしてそんなヤバイ信奉者がいるドSの権化をヒーローにスカウトしたのかな。ああ、〝緑の指〟と因縁があるんだっけ?

 もし明日〝緑の指〟に会ったら、エフェドラの情報を(エサ)に苛めてしまうかも。

 遠い目をしながらそう思うセイカは、エフェドラまでではないにしろS寄りの性質だった。

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