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異世界で戦隊ヒーローのレッドをやっています!〜特虹戦隊ディヴァースⅤ〜  作者: 天ノ河あーかむ
第3輪「発進!ディヴァースロボ」
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Dメカニック総括者、源さん

「おいおい嬢ちゃん、燃料に感心してるのはいいが、乗り心地はどうだったんだ?」

 初めて耳にする渋い声が背後からかけられた。

 低い位置から聞こえたので、セイカは振り向き視線を下げる。すると、そこにはドワーフみたいなヒゲモジャのツナギを着た人がいた。

「アラ(げん)さん、いたの」

「うるせえ、司令官にゃ用はねえよ。おれは嬢ちゃんに訊いてんだ」

 身体を傾けてセイカの向こうを覗いたシャーリー司令官に、片手にスパナを持った小さき人は憮然として腕を組んだ。

「セイカちゃん、シア、ロメロ、こちらはDメカニック総括者の神源三(じんげんぞう)、通称『源さん』ヨ。職人気質(かたぎ)で口は悪いし顔は厳めしいけど、腕は確かネ」

「誰がチビだ誰が。ハラスメントで訴えるぞコラ」

「一言もそんなコト言ってないわヨ! (とし)で耳が遠くなったんじゃないの!?」

「お前と同じ歳だ! なったとしたら職場環境のせいだ! 労災だ、労災!」

 ぽんぽんと交わされる会話を前に、なんだろうこれ……とセイカは困惑した。夫婦漫才かな?

「源さんは『ドワーフ星人』の先祖返りの日本人です。その分野では名の売れた、凄腕のメカニックですよ。司令官とは学生の頃からの腐れ縁だそうです」

 隣のヴァリーリアンが初対面の三人にこそっと教えてくれた。

 SFな世界にファンタジーな種族が!? とセイカは目を輝かせた。が、その真相は、背丈が低く手先が器用な人ばかりがいる惑星だったので安易に『ドワーフ星』と名付けられ、住民は『ドワーフ星人』と呼ばれるようになったのだという。

 背が低いということは、重力が強い惑星なのかな? だとすると、源さんは力持ち?

 ファンタジーではなかったが、セイカは興味津々だ。

「聞こえとるぞ、顔色悪い坊主。で? 乗ってみてどうだったんだ、嬢ちゃんよ」

 源三の呼び方こそハラスメントで訴えられるレベルだ。いいのだろうか。

「初めまして、大茴香(だいういきょう)セイカです。これからお世話になります」

「そういう畏まった態度は要らん。呼び方も司令官(そいつ)と同じでいい」

 敬礼して名乗るセイカに、源三はスパナでシャーリー司令官を指して言った。

「了解です。ディヴァースロボは問題ありませんでしたが、D-ジェットは右に旋回するとほんの少し引っ掛かりというか、違和感がありました」

「それは遊戯室にあるやつとの比較か?」

「はい、そうです」

「やっぱりか。あの部分はまだ調整が(あめ)えと叱っといたんだがな……」

 舌打ちした源三は自分の世界に入ってブツブツと専門的な独り言を呟きだした。

 うん。素人のセイカには解らん。

「そこの猫坊主はどうだ。牛のキザ野郎もだ」

 ジェンダー的にも問題だらけの呼び方だ。セイカはハラハラしたが、言われた本人が気にしていないならセーフらしい。

「イクシアI(アイ)でっす! ボクのは特に問題ないかな! 水系ってのが気に入らないけどロボ戦で攻撃できるし、プラマイゼロ?」

「ロメロ・ザ・ハートブレイカーだ。オレもないが、銃が自分で撃てないのが残念だな」

 武器を操るのはイクシア担当なので、ロメロは両掌を上に向け肩を(すく)めた。

「てゆーか司令官、ボクが水系嫌がるから黙ってたね?」

「ア〜ラ何を言っているのか分かんないワ〜」

 イクシアにジト目を向けられて、シャーリー司令官は左頬に手の甲を添え「ほほほほほ〜!」と白々しく笑う。確信犯だ。

「はい! 源さんに質問です!」

 セイカは元気よく手を挙げた。

「なんだ、嬢ちゃん」

「ディヴァースロボとDメカをデザインしたのは誰ですか?」

「ワシだ。なんか不都合でもあったか」

 不満を言われると思ったのか、源三は腕を組んで迎え撃つ体勢をとる。

「逆です!」

「うおっ!?」

 予想と違い、セイカは喜色満面で勢いよく自分の前にしゃがみ込んだので、源三はのけぞった。

「もの凄くカッコイイです! 特に、操縦室は『これぞSF!』って感じで最高です! 遊戯室のゲームが訓練機とは知りませんでしたが、カッコイイからついつい毎日何回も乗ってしまいました!」

 両手をグーに握って熱弁するセイカの圧が強い。

 事実、セイカは特命な戦隊のリアル路線を重視した車両の操縦席がカッコ良くて大好きだった。

「お、おう。そう言ってもらえると、職人冥利に尽きるな」

 心の底からの賞賛だと疑いようのないセイカの輝いた目を間近で見て、源三は毒気が抜かれた。

「また犠牲者が……」

「セイカちゃんったら、人タラシなんだから……」

 シャーリー司令官を含めた仲間がこそこそ囁き合っているが、源三にいかに自分が感動したかを語っているセイカは気付かない。

 あんなにロボ戦のフラグを立てるのを避けていたのに、バトルフィールドという便利仕様で現実世界に被害が出ないと知った途端、Dメカやロボに喜びまくるセイカは現金である。

 しかし、そうとは知らない仲間達は、気難しい源三やその部下が幅を利かせる格納庫においてセイカはいつでも歓迎されるに違いないと確信したのであった。

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