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異世界で戦隊ヒーローのレッドをやっています!〜特虹戦隊ディヴァースⅤ〜  作者: 天ノ河あーかむ
第2輪「そうだ、アジトへ行こう!」
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少佐の副官

 〝(アク)(ハナ)〟のアジトへ突撃訪問した、次の日。

 美形だらけの素顔のザッソー兵が教えてくれた求人内容から、地球への襲撃は週一回と判明した。これで曜日が日曜と決まっていたら「テレビ番組か!」とツッコミを入れていたところだ。

 それはともかく、今週はもうゆっくりできるだろう。けれど、特虹戦隊(とっこうせんたい)の戦士としては司令室に詰めているのも仕事である。

 朝食を終えたセイカは一人、司令室に向かっていた。三叉路を目的地方面へ入ったところへ、その背に声がかけられる。

「お待ちください、そこの貴殿」

 響いた声はイケヴォだった。〝白の廃園〟とは毛色の違う、どちらかといえば細い高音の美声だ。

 通路にはセイカしか見当たらなかったので自分のことだと思い、足を止め振り向く。するとそこには、儚くも硬質そうな超絶美形がいた。男性だろうが、美人と形容したほうが正しい美貌の持ち主だ。

 身長は高く、百八十センチメートル後半はありそうだ。肌は白く、長い金色の睫毛に縁取られた瞳も金色、耳のあたりできっちり切り揃えられたショートボブの髪はプラチナブロンドで、少佐と同じ系統の軍服を着ている。

「突然呼び止めて、失礼しました。自分は宇宙政府軍中央情報部第十四部隊所属、エンゲルヴォルツ・フォン・ミヒャエル大尉です」

 また新たな美形が出たよ、と若干この環境に呆れているセイカに向かって、ミヒャエル大尉は大変綺麗な敬礼をした。

「わたしは──」

「存じております。特虹戦隊ディヴァース(ファイヴ)のリーダー、大茴香(ダイウイキョウ)セイカ殿」

 答礼をし名乗ろうと口を開いたら、遮られた。しかも初対面だというのに、彼はセイカを知っている。

 どうも険のある雰囲気だが、見知らぬ彼に何かをしたのだろうか。

「自分はノルトヴェルガー少佐の副官を務めております。上官の指示等を仰ぐため、ここ秘密基地でも自分を見かけることが多々あるでしょうが、一兵卒だと捨て置いてください」

 ミヒャエル大尉は終始無表情で無茶振りをしてきた。

 は? 『大尉』を一兵卒扱いしろと!? そして出会っても無視しろと!?  少佐の副官を!?

 いやいや無理でしょう! 自分はにわか軍人ですよ!

 これはあれかな? 偉大な少佐を差し置いてリーダーになった自分が気に入らなくて、嫌味を言いにきたのかな!?  超絶美形の無表情って凄みになるんだなぁ……!

 セイカは大混乱して変に感心している。

「貴様……リーダーどのに何を要求した」

 その声に、ミヒャエル大尉が僅かにびくりと震えたのを、セイカは見逃さなかった。

 司令室方面でもミヒャエル大尉がやって来た方でもないもう一つの通路から、エフェドラが現れる。

 本日も中央情報部の軍服をかっちり着こなし、コートを羽織って、眼帯をして、めちゃくちゃカッコ良い。

 ゆっくりと歩いてきた彼女がミヒャエル大尉と並び立つと、魔王と天使といった風情だ。絵になる。ポスターとかあったら飛ぶように売れる! 隊長と副官が揃うとコレとか、そりゃ宇宙中で大人気になるわ。他の隊員もみんな美形じゃあるまいな。

「挨拶をしていただけです」

 ミヒャエル大尉はさっと敬礼をし、状況を報告した。

「ほう……? 『一兵卒と捨て置け』と聞こえたが」

 エフェドラは腕を組み、隻眼で冷ややかに部下を見下す。彼女の方が少し背が高い。

「そ、それは……」

 後ろへ一歩よろめいたミヒャエル大尉は、小刻みに身体を震わせている。

 大丈夫かなとかそんなに少佐は怖いのかなと疑問に思ったが、顔を見ると蒼白になっていたりはしない。むしろ、頬が赤くなってやしないか。

「迷惑をかけたな、リーダーどの。此奴(こやつ)は無類の被虐趣味でな。大方、リーダーどのを一目見て、その様に扱われたいと切望したのだろう」

 エフェドラは説明しながら、いつの間にか手にしていた首輪をミヒャエル大尉に装着した。その首輪の正面にはリードがついている。

 犬か。少佐の副官は大型犬ですか?

 もうその時点でまともに立っていられないらしく、 小刻みに震えたミヒャエル大尉は壁に背中を預けている。

「リーダーどのは此奴を踏みたいか?」

「へ!?」

「緊縛、折檻……リーダーどのが此奴の性癖に応えるつもりがあるのならば、止めはしないが」

 エフェドラは手にしたリードをセイカに渡してこようとする。

「えええっ!? な、ないです! わたしにそういうのは全然ないです!!」

 セイカは半歩下がり、両手を突き出してリードの持ち手の受け取りを断固拒否した。

 そんな「犬の散歩、代わってみますか」みたいに簡単に責具を差し出してこないでくださいっ!

「そうか。では二度とリーダーどのに迷惑をかけないよう、厳しく躾けておく。すまないが、司令官には副官の調教で遅れると伝えておいてくれ」

 エフェドラはセイカに伝言を頼むと、自身の副官につけた首輪のリードを引っ張って、私室の方に消えていく。

 大型犬みたいな扱いを人前で受けていても、それさえも悦びなのか、頬を上気させたミヒャエル大尉の目にはもうエフェドラしか映っておらず、足取りも怪しく連行されていった。

 残されたセイカは、唖然としていた。

 ドMだ。美人の天使がドMだった! 副官があんな感じで仕事になるのかな!? ていうか少佐、なんて言い(にく)い伝言を頼むんですか!

 それとミヒャエル大尉、不機嫌な様子で変な要求をしてきたあれは、ツンデレ!? なんで初対面の自分に発動したのかな!?

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