新たなる剣
酒場で乾杯した翌日、俺達はクガネ第二廃坑に行った。
危うく近くにあるクガネ第一廃坑の方に行きかけたが、中のモンスターが弱すぎてすぐに気が付いた。
廃坑に入るなり、俺達はゴルドゴーレム狩りを始めた。
ゴーレム系のモンスターは他のモンスターに比べて痛覚を感じにくい。
、そのため、痛覚500倍でようやく効き目が表れるのであった。
とはいえ、ゴルドゴーレムはギルドの職員いわく、B級冒険者一人で倒せる程度の強さなのそこまで問題ではないが。
俺達は懐中時計をたよりに、日暮れ頃ごろまで狩り続けた。
そして、太陽が沈む時間帯になると引き上げ、近くにある宿屋に泊まった。
著名なダンジョンには大抵宿屋が単体であるのだ。
宿屋内の食堂で食事中、俺はヨリアからこんなことを聞かれた。
「そういえばカノス君って私とパーティーを組む以前はどんなことやっていたの?」
これまで、俺はヨリアにあまり自分の近況報告をしたことがなかった。
まあ、この際話してみるか。
こうして、俺は冒険者になるために村から王都に来てからのことを話した。
苦労したソロ時代。
レゴヨーズへの加入。
成りあがってくパーティー。
次第に慢心する仲間。
そして追放。
すべて包み隠さず話した。
「なるほど……そんなことがあったんだね……大丈夫、私は裏切ったりしないから」
「私も。恩をあだで返すようなことは決してしないわ」
「私もです!というか、カノスさんがいないと私の回復魔法意味ありませんし!」
3人の仲間が絶対に裏切らないと言ってくれる。
ほんとうにありがたい。
「ありがとうな、みんな」
俺は3人に感謝の言葉を述べた。
それから数日間、俺達はひたすらにゴルドゴーレムを狩り、剣を作るには十分すぎるほどの破片を集めた。
そして、王都経由でエストウ村へと向かい、ジルコニウスさんに破片を渡した。
「よし!この量なら剣が作れる!おそらく数日後には完成するはずだ!」
そう言いうとジルコニウスさんは早速、急いで作ったと思われる工房の方へと向かっていった。
「よかった。父さんがまた鍛冶仕事をしてくれるようになって……」
ルミネがそうこっそりつぶやいた。
「ねえ、これから剣ができるまでの数日間どう過ごす?」
ヨリアがみんなにたずねる。
「腹いっぱい色んなものを食べたいです!」
テデザが元気よく思いっきりそう答えた。
そうだった。彼女は生活に困窮して満足に食べれてなかったのだろう。
「いいと思う」
「いいんじゃないの」
俺とルミネはテデザの意見に賛成した。
「よし、じゃあ決まり!王都に戻っていろんな物食べよう!」
こうして、俺達は王都に戻ることとなった。
剣が完成するまでの数日間、俺達は色んな店を巡った。
王都一と名高いグラタンを味わったり、酒は微妙だけどつまみが絶妙に上手い店で飲んだり、またギルド付近の宿屋にある食堂で肉料理を堪能したりした。
そうして色んな料理を腹いっぱい食べるうちに、テデザの栄養状態は改善され、やせ細ってるようには見えなくなった。
そして、剣が完成したころになったので俺達はエストウ村へと向かった。
村に到着すると、村人が早速とばかりにジルコニウスさんを呼んだ。
ジルコニウスさんは聖剣のごとく黄金に光る剣を持って俺達のもとへ来た。
「ちょうどよかった。今完成したところなんだ」
そう言って彼はヨリアに剣を渡した。
「ありがとうございます!大事に使わせていただきます!」
ヨリアは剣をしまうとおじぎをした。
「そうそう、その剣には仕掛けがあってな、強い敵を相手にすると切れ味が二倍になるのだよ」
「え……?!そんな機能あるんですか?!」
「ああ、あるとも。伝説の鍛冶師をなめてはいけないよ」
「父さんはそういう機能を付けるのが好きだから」
驚くヨリアにルミネが解説した。
その後、俺達は新しい剣を試すために、王都に向かって依頼を探すことにしたのであった。
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