アイツらの失態
カノスが魔王と戦っている間、ソークたちも苦戦していた。
ただし、四天王のような幹部クラスのモンスターではなく、ザコ級のモンスターに。
「う、うぐわあああああ!!!痛いよおおおおお!!!うわあああああん!!!」
魔王城で酒場の時と同様に泣きさけぶソーク。
彼の面前にいたのは王都近辺にもいる普通のスライム一匹であった。
「グ八ッ!!!ウグッ……」
「ハァ……ハァ……」
ローゲもウニョも痛みに苦しんでいた。
彼らは皆、スライムの体当たりを一発喰らってしまったのだ。
普通の冒険者なら意にも介さないような一撃。
しかし、彼らは痛みに敏感になってしまったため、それすらも痛恨の一撃となってしまったのだ。
スライムはあまりの弱さにあきれてしまったのか、あざ笑うように何もせずに彼らを見つめていた。
「ウグッ……こうなったらテレパシー魔法で助けを呼ぶしかありませんね」
「やだあああああ!!!!レゴヨーズのプライドにかけて絶対にやだああああ!!!」
ガタイのいい大男のソークが子供のごとく駄々をこねてローゲの提案を拒絶する。
「ソークさん……素直に撤退しましょうよ……」
ウニョもローゲの意見に参戦する。
「いやだああああ!!!いやだああああ!!!」
屈辱と痛みで幼児退行したソークが全力で拒否する。
「なんで俺たちは急に弱くなってしまったのでしょうか……少なくとも役立たずのカノスを追放するまでは上手くいっていたはずなのに……」
ローゲが過去の栄光を振り返る。
かつて、レゴヨーズは各地の狂暴モンスターを倒しまくっていた。
しかし、カノスを追放してからレゴヨーズは変わってしまった。
スライムごときで行動不能になるような最弱パーティーに成り下がってしまった。
「なぜだ……さては、カノスが呪いをかけたからだな!!そうに違いない!!」
ローゲはカノスの陰謀論を仕立て上げ、信じることにした。
「みんなに呪いはかかってな……」
「そうだ!!!間違いない!!!カノスのクソ野郎が逆恨みで呪いをかけたんだ!!!」
ウニョが事実に基づいて陰謀論を否定しようとしたが、それはソークの大声によってかき消されてしまった
「『火炎魔法』発動…」
痛みに苦しむ中、ついにローゲが渾身の思いで魔法を放った。
スライムはいとも簡単に燃やし尽くされてしまった。
「よくやった!」
「よっしゃ……」
ソークとウニョが喜んだその時であった。
テレパシー魔法によって3人の脳内に伝言が回ってきた。
『カノス、ヨリア、マオウ、タオシタ、テッタイセヨ』
「カノス、ヨリア、魔王、倒した、撤退…」
ウニョは早速この伝言の意味を理解した。
それは、ソークやローゲ、そして以前の自分が軽蔑してたカノスが魔王を倒したという伝言だったのだ。
「そんな……ヤツが魔王を……」
「……ありえん!!!ありえん!ありえん!ありえん!!!」
ウニョに遅れてローゲとソークも伝言の意味を理解する。
「そうか……私たちは落ちぶれてしまったんだな……」
スライムの突進による身体の痛みと劣等感による心の痛みが3人を襲い続けていた。
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