アルティメット枕投げ
「それじゃあ……始めようか」
枕投げ当日、俺達は布団の上であらかじめ決めたチームに分かれ、枕をもって臨戦態勢になっていた。
みんなジルコニウスさんが作ってくれたパジャマを着ていた。
「では、第一投いかせてもらうわ」
そう言ってルミネが枕に何らかの魔法をかけて思いっきり投げてきた。
「ま、魔法?!」
驚く俺に枕が当たった。
軽く体がしびれた。
「な、なるほど……そうきたか」
俺は感心した。
「じゃあ、私が仇をとるね!」
ヨリアが全力でルミネに向かって枕を投げる。
ルミネは防御魔法を使ってそれを防いだ。
「簡単に当たるとは思わないことね」
そう言うとルミネはまた枕を投げてきた。
「『防御魔法』発動!」
ヨリアが先ほどのルミネと同様に防御魔法で枕を防ぎ、すぐに枕を一気に二つ投げた。
かなり勢いがあったせいか、風を切るような音がした。
枕は両方ともテデザにクリーンヒットした。
「なかなかいい一撃でしたね……いいでしょう。回復魔法の本領発揮です!」
そう言うとテデザは自らに回復魔法をかけ続けた。
「皆さんには言っていませんでしたね……実は私の回復魔法は効力が尋常じゃないから、ずっとかけ続けると対象者の運動能力を一時的に底上げすることができるんですよ」
「ここにきてまさか新技を出すとは、テデザもなかなかやるじゃない」
「ルミネさん、ほめてくださりありがとうございます。では、行きますよ」
テデザがヨリアと同じくらいの勢いで枕を投げる。
その時、しびれがだいぶ無くなってきた俺は反射的に身体を動かして、ヨリアを枕から守った。
俺の身体にかなりの衝撃が来る。
「なるほど……少し痛覚軽減魔法使うか」
俺はヨリアの盾となるべく、自分の痛覚を0・5倍にした。
その後も、俺達の常識外れな枕投げは続いた。
常識では考えられないような勢いで枕が飛び交い、何度もバリアが張られ、挙句の果てには回復魔法の応用で枕が増えたりした。
そして、ついに決着がついた。
俺達の体力をルミネとテデザが見事に削り取ったのだ。
これをもって枕投げは終わった。
その後、俺達は疲れて4人で一緒の部屋で寝てしまった。
翌日、それに気づいてみんなで顔を赤くしたのであった。
こうして、俺達はエストウ村を後にして、徒歩で王都に帰ることにしたのであった。
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