ソーク、魔王の足を舐める
カノスたちが新種のゴーレムと戦っている頃、魔王はカノスの情報を集めていた。
「なるほど…だんだんわかってきたぞ…カノス18歳。痛覚操作魔法以外は使えない。Bランク冒険者だったがワシを倒したことによりSランクに昇格……」
魔王は独り言を言うことで、頭のなかの情報を整理するクセがあるのだ。
「元々はレゴヨーズというギルドに入っていたが、ワシを倒す一週間ほど前に追放された。その後、レゴヨーズのリーダーが彼を襲う事件があった……といった感じか」
魔王はこれまで集めた情報を全て言い、頭をスッキリさせた。
「さてと、そろそろヤツをよく知る人間を探すか。ヤツ専用の呪いを使えるようにしないといけないし」
魔王の呪いはとても強く、全生物に一定の効果を発揮する。
しかし、特定の人物にのみ効くようにすることで、さらに呪いを強くすることができるのだ。
そして、それを行うための条件として、魔王がある程度ターゲットに関する知識を身につける必要があった。
そこで魔王は手駒の現地調達も兼ねて、カノスのことをよく知っているであろうソークを探すことにしたのであった。
ソークの情報を集めるのは簡単であった。
なぜなら、彼はギルド本部で一騒ぎ起こしたことにより、王都中に顔が知れわたるようになったからである。
やがて、魔王はソークと思わしき男を見つけた。
彼はみんなに見つからないように鎧の上からフードを被っていた。
魔王は彼の方を軽く叩き、こう言った。
「ソークさん、要件があるのですがいいでしょうか」
「お、おおお俺は、そそソークなんかじゃねえ!」
魔王は今の動揺を見て、彼がソークであると確信した。
そして、彼の肩をつかみ、とある魔法を発動させた。
「『亜空間転移魔法』発動せよ!」
魔王とソークの姿は瞬く間に王都から消えた。
魔王とソークは、魔王が作り出した亜空間の中にいた。
亜空間はどこを見渡しても紫色の何かに満たされており、その中に積み木のような足場があった。
二人はその足場の上に立っていた。
「お前、カノスが憎いのだろ?」
魔王がソークに問いかけた。
「ああ、憎い!!!」
「そうか、それならワシにいい提案がある。ワシは魔王だ。ワシはお前にカノスを殺せる力を与えることができる。どうだ、ワシの下僕になって力を得ないか?」
ソークの返事に対し、魔王は文字通り悪魔の誘いを行った。
「…本当なんだな!本当に本当に本当なんだな!!ならば俺は悪魔だろうが魔王だろうが魂を売ってやる!!!俺は、カノスを絶対に殺したい!!」
「ほう……なかなかの憎悪だな……よかろう、お前をワシの下僕にしてやろう……」
魔王はそう言ったあと、片方の靴を脱いでこう言った。
「……ただし、ワシはただのお人好しではない……ワシの足を舐めて忠誠を誓え。その後、とっておきの力をやろう」
「……は?!絶対に嫌だ!!」
ソークがもっともな反応をした。
「力が欲しいんだろ」
「そうだ!!!」
「なら舐めろ!!!」
ソークは悩んだ。
そして、プライドと復讐を天秤にかけた結果、彼は復讐を選んだ。
ソークはしゃがんで、魔王の足を舐め始めた。
彼は復讐のためにプライドを捨てたのであった。
「やはり醜いな。人間というものは。自分自身の尊厳をこんなにも簡単に捨てるとは……」
自分の足を舐めるソークを見て、魔王はそう言ってソークを嘲笑った。
すみません!遅くなりました!
それと、明日は夜中くらいの投稿になります!
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