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新種のゴーレムあらわる

 ソークといろいろあった次の日、俺達は改めてギルドに来て依頼を受けることにした。


「昨日は災難でしたね……」


 ギルドの職員さんが俺に話しかけてくる。


「ああ、そうでしたよ……まさかソークがあんなに恨んでいるとは思ってなくて……」


「まあ、元気出してください。多分に彼はギルドから追放ということになりますから。さて、ちょうどいいクエストを探してきますね」


 そう言って職員さんは奥の部屋の方へ行った。


 しばらくすると、一枚の紙を持ってきた。


「皆さんの強さ的に、ここはどうでしょうか」


それは、ゴーレム討伐の依頼であった。


「ここから馬車で半日のところに、『アンシャン遺跡』という場所があります。そこに新種のゴーレムが一体発生したらしいので、それを倒して破片を持ち帰ってほしいとのことです」


「報酬はどんな感じですか」


「今回は公的な機関からの依頼だから、相当出るようです」


 そう言って職員さんは俺達に報酬が書かれた紙を見せた。

 

 そこには、『転移石10個』と書かれていた。


 俺は目を疑った。


 転移石10個とは、Aランクの冒険者の平均年収10年分である。


 まあ、新種のモンスター退治には未知のリスクが伴うため、これくらい出ても不思議ではないのだが。


 俺は皆の同意を得たのち、依頼を了承した。


「それでは、くれぐれもお気をつけて」


 俺達は新種のゴーレムの特徴について書かれた紙を受け取った後、ギルド本部から出て馬車乗り場にまで行った。




 俺達は馬車に揺られている間、ひたすらに新種のゴーレムの特徴が書かれた紙を見ていた。


 紙には『歌うことで攻撃する。足は車輪になっており、ピウピウという音を鳴らす。硬度はゴルドゴーレムより柔らかい』と書かれていた。


「ゴルドゴーレムより柔らかい……となると、私の剣が通じるね」


 ヨリアがゴルドゴーレムの破片からできた剣に触れながらそう言った。


「歌で攻撃……なるほど、このゴーレムは古代魔法の一種である歌魔法を使うようね」


「歌魔法って何なんですか?」


 ルミネの発言に対し、テデザが質問する。


「歌魔法っていうのはね、古代ではメジャーだったけど、今ではほとんど使われなくなった魔法の一つなの。歌の歌詞を詠唱として機能させてるんだって」


「なるほど!勉強になります!」


 そのようなやり取りをしているうちに、俺達はアンシャン遺跡についた。


 遠くには車輪がついていると思われるゴーレムが見えた。


「よし、行くぞ!」


「「「オーーー!!!」」」


 俺達は馬車から飛び降り、戦闘態勢を整えた。


 ヨリアは新種ゴーレムへとひたすらに走っていき、俺達3人は魔法が効く距離まで近づいた。


「ピウピウ!!!!」


 ヨリアの接近に反応した新種ゴーレムが勢いよく突進してくる。


しかし、ヨリアは天高くジャンプして新種ゴーレムの脳天に剣を刺した。


「ピウウウゥゥ!!!!」


新種ゴーレムはあたり一面に響く叫び声を上げた。


それもそのはずだ。


俺はヨリアがジャンプして剣を突き刺す前に、魔法で新種ゴーレムの痛覚を2000倍にしていたのだ。


いくら痛みに鈍感なゴーレムでも、さすがにこれで機能停止するだろうと俺は思った。


しかし、まだヤツは動いた。


どうやらヤツは俺が思ったより頑丈だったらしい。


そして、ヤツは歌い始めた。


「メチョリア~メチョル、メチョラルア~」


古代語で歌っているせいか、何を言っているのか全くわからなかった。


しかし、それを歌われたとたんに俺たちの身体は重くなった。


「皆さん、今、魔法の効果を打ち消します!」


そう言ってテデザが打ち消し魔法を発動すると、身体の重みが瞬間的に消えた。


新種ゴーレムは自らの自慢の技が効かなかったことに困惑し、動きがぎこちなくなった。


「みんな今よ!『ブーメラン魔法!』」


 そう言いながら、ルミネが巨大な刃物付きブーメランを3つ召喚し、ゴーレムへと向かわせた。


すると、ヨリアがそれをバラバラに切り裂いてしまった。


更に、テデザがそれらに回復魔法をかけた結果、数十個の巨大な刃物付きブーメランが生まれ、それら全てが新種ゴーレムを襲ったのであった。


「ピウウウゥゥゥゥ!!!」


新種ゴーレムは断末魔を上げた後、破片を残して消滅したのであった。




「……なあ、あの技は一体なんだったんだ」


俺は、ゴーレムの破片を回収しながらルミネたちに質問した。


「あれはね、昨日みんなでカノスを驚かせるために考えた連携技なの。その名も『トリニティ・バイオレンス』」


「なるほどな。……ん?なんだこれは」


破片を集めていると、俺は何か古代の本みたいなものを見つけた。


どうやら保存魔法がかかっているらしく、痛みはなかった。


しかし、古代語で書かれていたため、読めなかった。


「とりあえず、回収しておくか」


こうして俺たちはゴーレムの破片と本を持って王都に帰ることにしたのであった。

本日最後の投稿は18:00すぎです!


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