表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/20

痛いのが嫌だと子供みたいに号泣されても戻る気はありません

「すまない!俺達のパーティーに戻ってきてくれ!」


 カノスは困惑した。


 ソークが突然切りかかってきたと思ったら、すぐに土下座して謝罪したからである。


「頼む!この通りだ!」


「お願いします!」


ソークに続いてローゲとウニョも泣きながら土下座して謝罪した。


「その……まずは斬りかかってきたことを謝った方がよいのでは………」


ギルドがの職員が彼らの行動の問題点を冷静に指摘する。


「そうだった!斬りかかってすまない!ちょっとハーレム作っていたからついイラついてしまった!」


「……は?」


 カノスたちはまたもや困惑した。


 彼はハーレムを作ろうと思って今の仲間を選んだ訳ではない。


 三人とも女性なのはたまたまみたいなものだからだ。


「あなたたち……本当に反省しているのかしら」


ルミネが冷たい目で彼らを見る。


「はい!反省してますとも!反省してますとも!」


そう言いながらローゲが何度も地面を頭につける。


「嘘臭いです……」


テデザが疑う。


「本当に私たちはカノスに戻ってきて欲しいんです!」


「それってどうして」


ヨリアがウニョに対してそう質問すると。


「痛いのが嫌だからだ!」


 ソークが本音丸出しでそう答えた。


「ソーク……」


「ソークさん……」


ローゲとウニョは失望した。


ソークがおもいっきり本音を漏らしたからである。


「ソーク、それがお前の本音って訳か」


「そうだ!痛いの嫌だし、冒険者ランク下がるのだって嫌だ!嫌だ嫌だ嫌だ!」


本音を吐き出したせいで後が無くなったソークが、号泣しながらカノスにしがみつく。


その様はまさに子供のようであった。





「悪いが、俺はそちらのパーティーに戻る気はない」


 カノスはしばらく黙ったあと、そう答えた。


 当然の答えであった。


「なんでえええ!!!なんでなのおおお!!!」


「いきなり斬りかかるような相手の要望を聞くほど、俺はお人好ひとよししじゃないからだ」


「オマエ……許さん!!」


ソークは再び剣を引き抜こうとした。


しかし、


「『拘束魔法』発動!」


 ルミネが拘束魔法をとっさに発動したことで、彼は全身ロープでぐるぐる巻きになった。


「クソッ……クソッ……!!!」


ソークはそう言いながら、陸に揚げられた魚のごとく跳ねてロープから抜け出そうとした。


しかし、そうすればするほど魔法で出来たロープはますますきつくなり、おまけに民衆から嘲笑あざわらわれる始末であった。



「ローゲ!、ウニョ!、俺を助けろ!」


 ソークは仲間に助けを求めたが、二人とも助けようとしなかった。


「ソーク、オマエには失望した。今日限りでレゴヨーズをやめさせてもらう。あと、オマエとは一生絶交だ。」


「私も同じく。ソークさんの非常識っぷりにうんざりしたよ。私もレゴヨーズ抜けるから。あと、一生私に関わらないで」


彼らは助けるどころか、絶交宣言をソークに対して行った。


「チクショオオオオオ!!!どうして俺の人生はこんなにもうまくいかないんだああああ!!!ローゲ!ウニョ!お前ら一生恨んでやるうううう!!!」


 ソークの叫び声がギルド本部中に響き渡った。



***



 今日は最悪だった。


 ソークに二回も切りかかられたからである。


 しかし、二回とも仲間のおかげで何とかなった。


 その後、俺はみんなに感謝して、魚料理で有名な店に連れて行った。


「さあ、いろいろ変なことはあったけど、魚料理食べて忘れよう!カンパーイ!」


「「「カンパーイ!」」」


 こうして、俺達は魚料理と弱いお酒でさわやかに今日の困難を受け流したのであった。 


「そういえば、村にいたころは魚料理なんて食べたことなかったね」


「そうだな」


 俺とヨリアが住んでいた村は、比較的海から遠かった。


 そのため、俺達は魚料理を王都に来るまで食べたことがなかったのである。


「そういえば、この中で海を見たことがある人ってどのくらいいる?ちなみに私は、上からだったら見たことならあるかな。魔王討伐の際にワイバーンに乗ったから」


「ないわね」


「ないです」


どうやらルミネとテデザは海を見たことがないようだ。


「そうだ、いつか俺たち4人で海に行ってみないか」


「いいね!」


「いいわね」


「いいですね!」


「じゃ、絶対いつか行こうな」


「「「はい!」」」


こうして、俺たちには新たな目標が出来たのであった。


***



その後、元レゴヨーズ3人はギルドの最高責任者に事情聴取された。


その結果、ソークはギルドそのものから追放されることになった。


ゼルエン王国にギルドは一つしかないため、ソークは冒険者稼業をできなくなったも同然であった。


一方、ローゲとウニョは罰は特になかったものの、自主申請によって二人ともFランク冒険者からやり直すことになった。


こうして、ソークは食いぶちを失い、レゴヨーズは解散したのであった。

 

 これが田舎の不良どもの末路であった。

タイトル回収!

第一章完!

でも、まだソークたちの苦しみは続く!


面白いと思ったら、ブクマ、評価、感想をどしどしお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ