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「だいじょうぶ!」

8.「ただいま。」と同時投稿です。


 森の広場に、動物達が集まっています。


 広場の一角には、大きなツリーが立っています。

 白い花と、赤・青・黄色の木の実をまとって、キラキラ光っていました。


 広場の一辺に、テーブルがいくつも並んでいます。

 あるテーブルには、野菜がゴロゴロ入った温かいシチューがあります。

 あるテーブルには、ベリーをたっぷり挟んだふわふわのケーキがあります。

 動物達は、好きな料理を食べて、そのおいしさに思わずほほを押さえました。


 その反対側には、ステージがあります。

 次の演目の準備をしているので、幕が下りていました。


 あるウサギは、とっておきのチョッキを着て来ていました。

 あるキツネは、お気に入りの髪飾りをつけて来ていました。

 みんながオシャレをして、ツリーに負けずに輝いています。

 今日は、冬のパーティでした。

 森中の動物が参加して、楽しんでいます。


 カランタラン、とハンドベルが鳴って、ステージの幕が上がります。

 みんなが、パチパチと手をたたきました。


 ステージの上には、サングラスをかけた動物が四人。

 「パパー!」と小さな男の子の声がしました。

 真ん中にいたモグラが、その声の方へ手を振りました。


 ***


 さて、そのステージの裏に、子どもが14人集まっています。


 ドングリのボタンのついた、おそろいの赤いポンチョを着て、身を寄せていました。

 ぷるぷると震えているのは、寒さのせいではありません。

 このポンチョは、暖かいのです。


 緑のベストを着たキツネ先生は、子ども達の様子を見て、苦笑をこぼしました。


 そこに、白い帽子を被った大きな影と、小さな影が近づいて来ました。

 後ろから、ちょっと小さな影もついて来ます。


 大きな影は、クロクマでした。

 カップのたくさんのったお盆を持っています。

 ちょっと小さな影は、白ウサギでした。

 クロクマの後ろに隠れて、ちらっと顔をのぞかせます。

 小さな影は、キタリスでした。

 子ども達の前に立ち、声をかけます。


「ハチミツがダメなやつはいるか?」


 子ども達はみんな、首を横に振りました。


「ミルクがダメなやつはいるか?」


 子ども達はみんな、首を横に振りました。

 それを見て、キタリスは、ふむふむとうなずきました。


「差し入れだ。あったまるぞ。」


 キタリスがそう言うと、クロクマと白ウサギは、子ども達にカップを配りました。

 白ウサギが、キツネ先生にもカップを渡します。


 カップの中身を一口飲んで、子ども達は顔を見合わせました。

 誰かが声をあげます。


「先生がくれたキャンディと、同じ味だ!」


 うんうん、とみんなその言葉にうなずきます。

 そして、カップをかたむけて、こくこくとホットミルクを飲みました。


 カップが空になると、子ども達はみんな笑顔になっていました。

 もう、誰も震えていませんでした。



 おしまい

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