メディアのエサになる位なら、自首しよう
「モノリス、ですか? えっと……」
落とした張本人だが、とにかく考える時間が欲しかった。SNSの写真が一部メディアにバレて、フェイスムックから名前や電話番号が全て割れてしまった可能性が高い。ここで突然切るわけにもいかない。さらに怪しまれるだけだ。
「ああ、自然公園のモノリスニュースの話ですね。近所では有名は話ですよ。」
「実はフェイスムックであなたの投稿写真から、モノリスに近い物体があると連絡がありまして。ぜひお話を伺いたいと思いまして」
「……そんなのありましたっけ? む、昔の写真はよく覚えていないですね」
デスノートのキラのような明晰な頭脳があればどれだけ良いか…… そう一瞬考えながらも、記者の問答を何とかしのいでいる。
「9月28日投稿の、飛行機が載っている自撮り写真です。今そちらで見ることができますか?」
「ちょっとお待ちください」
すでにPCの前には昨日開いていたページがそのまま目の前に残っていた。
--しまった! 昨日の時に消してしまえば…… 慌ててしまってそこまで頭が回っていなかった!
今更消しても間に合わない。過失届け出そうにも今世紀最大の発見扱いされていてもう遅いのだ
「あああーああ! これですね、そういえばこんな写真撮っていました。あ、この端っこの…モノリスとよく似ていますね!」
白々しく初見の反応をしてみた。
「このモノリス、飛行機から落とししたりしていませんか?」
「いえ、これはドビランの依頼主に届けて完了していますよ。連絡先あるので、そちらに確認してみてはどうでしょうか。」
これは嘘ではない。一度落とした後に、後日落とした分を自腹で購入して載せる前の写真なのだから。ジョージは急に冷静になって口調がゆっくりになった。その後、依頼主の工場の連絡先を教え、落としたことは隠して経緯を話した。
「そうなのですね、お話ありがとうございました。」
見えない相手にニコニコしながら、通話が終わった後に相手から切ってくるまでひたすら待った。1時間にも思えるほど長く感じた。
--テロン
ジョージは朝食事をとっていなかったが、通話の緊張で全く空腹にはなっていなかった。そのままフラフラと台所に行き、蛇口に頭を突っ込んで水を流した。そのまま流水に頭を当てたまま何度も深い呼吸をする。前髪が目の前に垂れてひんやりと冷たい。そのまま、前髪を両手で絞って顔を上に持ち上げる。
--今はなんとか耐えても、もうここまでバレてしまったらメディアのエサになるだけだろう。ニュースで一般人が有名になったとたん、住所が割れてあたりに車や人が押し寄せることはニュースで何度も見てきた。もはや家族や友人への被害を最小限にする事を考えていた。
「メディアのエサになる位なら、自首しよう」