付着した赤のペンキがバレるのも時間の問題か……
「話題のモノリスの分析速報です! 1km周辺から鎖のような破片と、赤の塗料が見つかりました。関連性を調べています!」
モノリスニュースが広まってから半月、12月の中旬となったタスマ州はマスコミや野次馬が訪れる観光スポットとなりつつあった。
直接見て触れることはできないが、ドローンで上空から撮影した写真を見ることができ、子供を連れて周辺の町は大きく賑わった。自分が落とした鉄鋼プレートだとパレないでほしいと内心そわそわしていたジョージに、悪夢のニュースが飛び込んできた。
そう、謎のモノリスの調査が進んできたのだ。
調査しているMATUREチームは、BNNニュースに分析結果を報告した。少なくとも古代の遺跡であるオーパーツではなく、ごく最近に製造されたものであり、学術的価値はほぼないものと断定された。A国の大統領選挙が決着せず、両陣営の支援者同士で小競り合いが起きる等、荒れた時期にモノリスニュースは癒しのネタとしてメディアは挙って取り上げたのだ。
陰謀論分析動画、踊ってみた、コスプレしてみた、料理として作ってみたなどなど、子供からお爺ちゃんまでモノリスに沸いた半月であったが、分析結果のニュースから一気に冷めてしまったのだ。
失われた関心はどこに向かうのか? そう落とし主である。どのように運んで、なぜそこに作ったのかにメディアは注目し始めた。鉄鋼プレートの底面には、製造番号と日付が印字されているのだ。 番号をたどっていけば、製造した工場と販売店が簡単に割り出せて、購入者であるジョージまで時間の問題となったのだ。
ジョージは首元にナイフを突きつけられた心境で、仕事に手が付けられなかった。
「付着した赤のペンキがバレるのも時間の問題か……」