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寿町の星  作者: 播磨王65
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9話:夢想世之介の娘と息子の大学受験

 1993年も秋風が涼しくなり10,11月が過ぎて、今年も12月のクリスマスパーティを幸子おばあちゃんを呼んで鳥の丸焼きと大きなケーキでお祝いした。やがて1994年があけた。今年も初詣でに行き家内安全と学業と投資の成功を祈願して来た。そして4月になると善一も陽子も高校3年生になった。受験希望校を聞くと、善一が東京工業大学と早稲田大学理工学部、陽子は橫浜市大商学部と日本大学経済学部と話していた。


 年のために4月から橫浜駅近くの進学予備校に通い始めた。5月の一斉テストの結果、善一が東京工業大学と早稲田大学理工学部の合格確率が75%で陽子は橫浜市大商学部が70%日本大学商学部が80%だった。そして勝負の夏休みが訪れた。そしてエアコンの下で勉強を継続していた。9月25日になり兼松幸子おばあちゃんが久しぶりに訪れて、ちょっと夢想夫妻に相談事があると言われた。


 お茶を入れって話を聞くと兼松幸子さんの旦那さんの兼松豊和さん73歳が心筋梗塞で1日前、入院して孫の節子と兼松太郎と4人で生活して子供たちは全て家を出て関西と札幌に住んでいると語った。今年の4月に孫の節子が結婚して家を出て来年、兼松太郎も東京の大学に入り通えなくなりそうで来年4月以降、1人ぼっちになると寂しそうに言った。そこで幸子さん家に車で奥さんと3人で出かけた。


 10分足らずで到着すると駅から遠い保土ケ谷区と旭区の境の上菅田の西側に幸子さんの家があった。広い畑の入り口にコの字の広い土地があり、大きな母屋に4人で住んでいたと話した。今は使っていない農機具置き場、古くなって朽ち果てそうな納屋を改造した家と、もう1軒の誰も住まなくなって長そうな雑草にまみれた古家があった。そして、あがって下さいと言われあがると家電製品も古く設備もかなり年季が入っていた。


 旦那さんが元気だった昨年、母屋以外を解体する費用を見積もると1千万円と言われ、整地をすると1500万円と言われ、合計2500万円と言った。全部、新しくしたらと地元の工務店が言い、家を新築するなら安くすると言い7千万円で木造2階建ての家と庭もアスファルトで舗装すると言ってくれたが、そんな大金出せるわけないと言った。それで困っていると、いつになく辛そうな顔をして打ち明けた。


 そして夢想が相談の内容はわかったと言い、何か良い知恵はないか、私の友人で不動産関連の仕事をして友人もあたって見るので待ってと言うと、ごめんね、相談する人がいないから、赤の他人の夢想さんに迷惑かけてと言うと、奥さんの勝子さんが、いいえ、昔から、うちの子供たちを可愛がってくれてありがたいと思っていますと言った。その、ご恩返しにできるだけの事はしますと言うと、涙を浮かべ、亭主が入院すると私1人じゃ何もできないと言い、泣いてる体を勝子が抱きしめた。


「地獄に仏じゃと言い、ありがとうよ」と言ってくれた。そして、この話をN証券の池田君に話すと土建屋は麻雀仲間の稲村勝夫のおじさんが橫浜市旭区で土建やってると事を思い出し連絡をとってくれた。また、証券会社もN証券の関連会社に不動産会社もあり仲の良い友人がいるから一度見に行こうかと言ってくれ、10月1日、日曜日、新横浜駅に10時に待ちあわせた。池田君がこれがN不動産の重森君だと紹介してくれた。


 3人で新横浜から15分で兼松さんの家に着いた。少しして稲村勝夫とおじさんの稲村工務店の稲村社長が一緒に来てくれた。重森さんが典型的な農家の家ですねと言い、作業に入って良いですかと言い、家の入り口から奥まで歩き、横も歩くと300平米、300坪弱だと言った。道に面してるから土地の評価額も高い多分、坪単価50から60万円だろうと言った。それで換算すると1.5から1.8億円。ただ宅地ではないから古家つきだと安くなり6掛けで9千万から1.4億円。


 しかし駅から遠いので更に8掛け7千万円から1億円でニーズが狭いので不動産屋としては売りにくい物件だと言った。むしろ学生アパートとか若い社員寮として使うには良いと言い豪邸を建てるより、入居者を考えて賃貸向きでしょうと言った。どっちにしろ景気の良い時に賃貸住宅を建てて儲けられるとか言ってできるだけ高く売るのがベストだろうと言った。高齢者が住み続けるのはリスクが大きいと言った。高齢者ほど便利の良い駅前の小さなマンションを奨めると言った。


 もし、この家と土地を売る時に、我が社に依頼してくれれば、時間かけてでも良い条件で販売するよう協力は惜しまないといった。ちなみに手数料は5%だと言った。その間、稲村社長が橫浜にも、こんな広い農地があったのかとと驚き、家を見て、こりゃひどい古家だと言った。しかし道に面してる土地としては使いやすい、アパートには、うっつけだと言った。建ぺい率も道に面してるから有利だしとブツブツ言っていた。


 ここを整地するのにいくらかかるかと聞くと全部をこわして手間賃なしで700万円、最低800万円と言った。すると800万円で更地にしてくれるのかと確認すると、親戚の、お前に依頼されればねと笑った。すると稲村勝夫がこのに住んでた4人家族が子供たちが巣立って出て行き、2人の老夫婦が暮らしていて昨年、旦那さんが心筋梗塞で入院したという話をすると、そうか、それは大変だなと言い、わかった引き受けると言ってくれた。


 その代わり前金で入金してくれと言われ夢想が了解し契約書と祖金先の銀行と口座番号を知らせて下さいと言うと面倒臭いから気が変わらないうちに、うちの事務所へ行こうと言われた。そして稲村工務店の事務所で契約書を書いてもらいハンコをついて1部を夢想が、もう1部を稲村社長が手にした。そして、明日中に800万円を入金すると夢想が約束して契約が成立した。

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