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寿町の星  作者: 播磨王65
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7話:善一は本好き、陽子は絵と音楽好き

 そして1984年がおわり1985年を迎えた。この頃には長男の善一が父に連れられて橫浜市の図書館に行くのが楽しみで、じっくり読みたい本を捜して3冊ずつ借りては1週間で読み終えた。一方の陽子ちゃんは、多くのお友達ができて、おしゃべり好きで写真に載っている、きれいな場所に行ってみたいなと言う様になった。そこで4月に花の美しい山下公園と港の見える丘公園に家族4人でバスに乗って出かけた。


 そして父が多くの写真をとり、それも見て陽子ちゃんが画用紙に今年、買った水彩絵の具で見事な絵を描いてはリビングに貼った。一方、善一はカメラに興味を持ち、父にピントの合わせ方などを聞いて写真を撮るのが好きになった。そして写真機の構造に興味を持ち図書館で調べていた。その後、ラジオカセットを見て、うちにも買って欲しいといわれ、大きなラジオカセットテープレコーダーを買ってリビングに置いた。


 それで父が好きなアメリカの洋楽をFMで聞くと、その英語の歌を陽子が聞いて歌い始め、英語に興味を持ち始めた。そして好きなカーペンターズ、ビートルズ、モンキーズなどちょっと前のヒット曲が好きになり、特にその中でもサンモン&ガーファンクルが大好きになった。そのためカセットが増えて、本棚を占領するようになった程で仕方なく陽子専用の小さな本棚を父が木材を買ってきて作って上げた。


 一方の善一は、本が好きで宮澤賢治、芥川龍之介にはじまり、日本の作家を読んでいたが、父のすすめでトルストイ、ヘミングウェイなど少し難しい本も読み始め、多少内容がわからなくても、どう感じるかが大切だと、どんどん本を読ませた。そのせいか作文が得意になり、読書感想文がなんかも、小学校で張り出された。陽子の絵も張り出されて、参観日に行くと、両親にこれ見てと自慢していた。


 その後、1986年10月1日にN証券の池田からの電話で日本電気株を24600円で全株、3千株が売った方が良いと言われ売りを指示した。その日の午後15時に、再び池田からの電話で売れたと言い、1割分割を2回していたので1.21倍の3630株なっていたので税引き後利益が7750万円で投資残高が8660万円となった報告された。そうして小学校高学年になり、月日は流れ、1989年を迎え、いよいよ中学生になる年となった。


 2月には中学生の制服を買いに橫浜駅近くのデパートで男女の制服とセーターシャツを買いそろえた。そして、その頃も兼松幸子おばあちゃんが家に来てくれ陽子の絵を見て誉めて善一が大きくなったと目細めて喜んでくれた。中学校も家から15分くらいの所にあり集団登校で出かけて行った。この頃になっても善一は多くの本を買いそろえるのではなく暇があれば図書館に行き本を読み、帰りに本を借りてくる様になり専用の布製のバッグがヨレヨレになっていた。


 その頃にはリビングに置いてあった大きなラジオ・カセットテープレコーダーは陽子の部屋に移動し彼女の物になりヘッドフォンで夜遅くまで音楽を聴いたり両親に内緒で英語入門の放送も聞き始めた。中学1年の夏休みに善一が父に相談したいことがあると言い、アルバイトをさせて欲しいと言うので、それも良い人生経験になると両親が話し合って了解した。そして自分でさがしてきたアルバイトに春休み、夏休み、冬休みに出かけて行き、せっせとアルバイトをして1990年をむかえた。


1990年の冬休みも熱心に善一はアルバイトをしていた。やがて2年になり、春休みに父にレンタカーを借りて、ちょっと連れて行って欲しいところがあると言われ、1990年5月に東京郊外のアパートに行き、3万円を払って中古の大きなスピーカとステレオセットを購入し善一に部屋に搬入してもらった。そしてアルバイトを辞めて高校受験に専念すると言った。その頃、陽子も受験校をどこにするか友達と相談しているようだった。


 成績の方は善一がクラスでベスト3に入り学年でもベスト10前後だった。数学、理科、社会、国語が得意で英語が今ひとつだった。そこで自分のステレオのカセットに高校受験対策用のカセットを買って聞くようにしていた。一方の陽子は美術、音楽、国語、社会が得意で理科と数学が苦手でクラスでベスト10前後だった。そこで父に理科と数学を教えてもらっていたが、あまり努力をすることが苦手で飽きっぽく、なかなか成績が向上しなかった。


 ところが中学3年のクラス替えで東京から引っ越してきた佐久間賢という男の子が好きになった。彼は転向後、いきなり学年トップの成績となった。スポーツもサッカーが上手で女の子にもててバレンタインデーの時、彼の机や下足入れに多くのチョコレートが入った。その佐久間と話がしたいために数学と英語を必死になって3年の4月から勉強し始め、めきめきと成績を上げてきて、夏休み前の一斉テストでクラス5位に順位をあげた。


 その後、父が問題集をとくのが一番早いと言われて夜遅くまで勉強していた。そして秋の一斉テストクラス3位に成績をあげた。そして善一と肩を並べる位の成績となった。しかし善一が全体に成績がよいの比べて、陽子は偏りがあった。やがて1990年が終わり、1991年となり冬の一斉テストで主要五科目の合計点数で始めて陽子が、善一を上回った。これが悔しかったのか善一も夜遅くまで問題集を徹底的に勉強し続けた。


 反面、陽子は成績は上がったからと思い、佐久間賢にアプロートをかけたが全く相手にされず、頭にきていた。そして目的を見失い、勉強も以前ほど熱心にしなくなった。一方の善一は佐久間賢にライバル意識を燃やしていた。1991年4月に中学三年生になり善一は勉強を継続してコツコツしていた。そして中学3年の春の一斉テストで、念願のクラス1位、学年3位まで成績を上げた。

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