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寿町の星  作者: 播磨王65
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5話:双子の育児と引越

 9月になっても忙しさは変わらず今年いっぱいは、ここにいるしかないかなと繁子さんが覚悟した。一番大変なのが粉ミルクを作るのと、おしめの洗濯だった。炊事、洗濯は世之介の担当となり、とにかく双子の子を最優先に行動していた。あっという間に1976年10月になり、ポットを持って、双子用の大きな乳母車を押して、3人で散歩に出かけるようになった。お腹が空くとポットのお湯でミルクを作り、片方の子には母が乳を与えて、忙しく動いていた。


 しかし海までも近く気分転換になり散歩は楽しい時間だった。だた、義理の母が、ここじゃ狭すぎるよと、苦言を呈していた。世之介さん、事情を役所に言って、広めの公営住宅が空いたら、最優先に入れるように、言ってきてと言われ、その後、数回も役所に足を運んだ。そして1976年11月18日に電話がかかって来て、南区と保土ケ谷区で1軒ずつ空きが出たと言い南区が2DK保土ケ谷区が3DKと連絡が入った。


 役所に行くと保土ケ谷区が今住んでる所から近く築16年で6畳3つと6畳のDKで家賃が5万円で公的補助が2万円出るので実質、家賃3万円と言われ了解した。現在、住んでる方が1976年12月10日引越予定となっているので1976年12月20日は入居可能ですと言われた。見取り図をもらい家に戻り見せると3DKなら十分だろうと言われた。その後、1976年12月21日にトラック1台とワゴン車を借りて5万円で引越をお願いした。


 3人のアルバイトと世之介で朝10時から引越を始め、荷物が18時に搬入された。引っ越し屋のボスが小さな子供を見て最後まで手伝う、どこに何を置くか指示してくれと言われた。引越予定の20時過ぎてもサービスだと笑いながら言い21時、過ぎまで完全に物が収まるまでやってくれた。帰り際に、そのボスが、子供達を見て、みんな良い子に育って父ちゃん母ちゃんに親孝行してやれよと頭をなでて帰って行く後ろ姿を見て世之介も勝子も涙を流さずにはいられなかった。


 世の情けというのは、こういう事なんだと実感する引越となった。近所に挨拶回りに行くと子供達見て可愛い子供達が引っ越して来たよと近所のお母さん達が一緒に遊んであげましょうねと仲間に入れてくれた。そして勝子に何かあったら助け合いましょうと言ってくれ、ここの連中は金は無いが、心の優しい人ばかりだから、一緒に頑張って生きましょうと言ってくれた。少しすると2軒先の兼松幸子おばあちゃんが、特に夢想家の2人の赤ちゃんの夢想善一、夢想陽子を可愛がってくれた。


 そして忙しい時には、手伝ってやるから、人手がいるときには気軽に手伝ってと声をかけておくれと兼松幸子おばあちゃんが言ってくれ、おとうさんの1976年が終わり、1977年を迎えた。夢想世之介が家庭教師の仕事に出る時には夢想家に来てもらって、子供を見てくれるようになり、来る度にサツマイモやトウモロコシ、おにぎりを差し入れしてくれ大いに助かった。クリスマスパーティーや誕生パーティーに兼松幸子おばあちゃんを夢想家に呼んで、一緒に祝うようになった。


 そして一層仲良くなっていった。世之介がアルバイトの金が入ると多めにコロッケやハムカツ、メンチカツを買ってくると兼松幸子おばあちゃんの所へ、おっそ分けに持っていくと、こんな、おいしそうな物をありがとうねと喜んでくれる笑顔が好きになった。やがて暖かくなり1977年4月、春になると母の勝子が双子を大きな双子用の乳母車にに乗せて近所の公園に散歩に出る時は、兼松幸子おばあちゃんの所によって一緒に出かけた。


 ちょっと良いことがあったのでと言い鳥の丸焼きをいつも世話になっている兼松幸子おばあちゃんの所へ持っていくと、盆と正月が一度に来たみたいに豪勢だねと言いながら、ありがとうよと喜んで

くれた。そのうち夏になり、近所で使わなくなった大きいバケツをもらい、水を張って、外に置いておき、暖かくなると、家の風呂場に持ち込んで子供達を入れると喜んで遊んで、お風呂も一緒に済ますことができ、大助かりだった。


 やがて涼しくなったと思うと年末になり兼松幸子おばあちゃんを呼んでクリスマスパーティーをして、1977年が終わり1978年を迎えた。その後、この頃、子供達の動きが速くて追いかけるのが大変になり、勝子さんも世之介も兼松幸子おばあちゃんも子供を追いかけては息を切らした。炊飯器も大きい物に替えて御飯も10kg袋で買うようになり、買い物に忙しくなってきた。2月になり長男の善一が咳き込んできたと思うと、長女の陽子が熱を出した。


 世之介が仕事に行くときには、兼松幸子おばあちゃんがこのもの面倒を見るために手伝いに来てくれた。それで大事にいたらず熱が下がると良かったねと子供の頭をさすってニコニコして兼松幸子

おばあちゃんが安心して家に帰った。春には家の近くの公園に出かけるようになり、朝早くから、日が暮れるまで、お弁当と水筒持参でピクニック気分で出かけて、子供達は遊び回り、帰る頃には乳母車で可愛い顔で寝てしまい、その顔が余りに可愛いので写真をとった。

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