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寿町の星  作者: 播磨王65
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26話:肝臓癌との最後の戦い1

 その後、福島第一原子炉のメルトダウンが起きて、近隣の地域に避難命令が出て、長い間、立ち入り禁止となった。そのために夢想家と池田君はマンションから出ることはなく、家で過ごして、たまに、みなとみらいを散歩する程度だった。やがて4,5月となり、暖かくなった。そして、5月のある日、兼松幸子さんが、池田さん最近、食欲が落ちてるみたいで、随分、料理を残すようになったと世之介にポツリと言った。この話が気になって、池田君に内緒で担当の先生あてに、手紙を書いた。


 すると直接話が聞きたいので4月10日午後15時に呼吸器外科外来に来て下さいと言われた。いって、事情を話すと、先生が、もしかして消化器か肝臓に癌が転移していないかCTとMRI検査をしてみますと言った。そして、数日後、池田君が世之介に、また、精密検査をするから4月17日に1泊2日の入院しろと連絡が来たと言われて面倒臭そうに出かけて行った。そして、4月20日に、再度、池田君の担当医から電話で肝臓癌が見つかったと連絡が入っt。


 本人にまだ伝えてないので秘密にしておいて下さいと言われた。4月22日、池田君が担当医が重要の話があるから、肉親か親しい人を連れて外来を受診する様に言われたので、付き合ってくれと言われ了解した。4月22日午後15時に外来に行くと、MRIとCTの写真をみせて、ここに何か変な物が見えますねと言うと、池田が、そうですねと言うと、これがガンとわかったと言うと、池田君が息をのんで、目を丸くした。


 更に先生が肝臓癌ですと言い非常に見つかりにくいガンなのですと言った。最善を尽くしますが、覚悟しておいて下さいと冷静に言った。すると池田君の顔が青ざめたのがすぐわかった。生存率はと聞くと手術してみないとわかりませんが、かなり厳しいと思いますと告げた。何か裁判官から死刑宣告でも受けているようで、信じられないと言った感じがひしひしと伝わってきた。最後に池田君が、悟ったように解りましたと言って外来を出てきた。


 そして早足で家に入ろうとしたので世之介が少し良いかと言い一緒に池田君のマンション部屋に入った。そして全力を尽くして頑張ってみようよと世之介が言うと池田君は何も言わず涙をボロボロ流れるのも気にせず壁の方を見ていた。そして、ありがとう最後まで付き合ってと振り絞るような声で言った。後で、まとめて話すが、後の事を頼んで良いかと聞くので、もちろんだと答えると、世之介の手をがっちりと握って、頼むぞと言った。


 わかったと言い返して、これで帰るが絶対に逃げるな馬鹿な事はするなと言うと年の離れた妹がいるから、そんな事はしないと言った。それじゃーと言って部屋を出て行った。翌日、冷静になった池田君が、これを見ておいてくれと封筒を世之介に手渡し世之介が了解したと答えた。封筒の内容は、もし俺が死んだら世之介の子供さんに俺の部屋を15万円で貸すから借りて欲しい。もし借り手がいなければN不動産に言えば、もっと高い値段で広告を出してと頼んでくれと書いてあった。


 また名義変更の手続きの書類ももらっていて欲しいと書いてあった。年の離れた妹の名は池田菊子で独身で千葉の姉ヶ崎に1人で住んでいて非正規労働者で給料が少ないと書いてあった。そこで月々15万円か、それ以上で、この部屋の貸した家賃を彼女に回したいと書いてあった。税金の問題があるので財産を、そのまま渡すのではなく年単位で渡すか、直接、現金を手渡すしかないかもしれないので、その方法については、後日、考えて教えると書いてあった。


 そしてソニーバンクのキャッシュカードと暗証番号が書いてあった。そして代行してくれ100万円ずつ下ろして定期的に妹に渡して欲しいと書いてあった。そして便せんの所々に転々と涙の後があったのが彼の思いを代弁しているようだった。そのため世之介も役所の相続税の相談に申し込んで詳細を調べようと考えて申し込んだ。すると妹さんが遺産の全てを相続できるとわかった。


 数日後、その話を池田君に言うと妹は、相変わらず貧乏暮らしを続けているので、もしもの時には口座の残金を世之介の所に入金するから、その時は頼むなと言った。それに対し、わかった責任持って池田の思うとおりにして上げるから心配するなと言うと俺は幸せ者だと世之介の手を握り大粒の涙を流した。5月の連休後、池田君の食欲が更に落ちて昔の面影亡くなるほど痩せてやつれた。


 そして世之介が見舞いの時、ナースステーションで待っている様に言われ待っていると、担当医が、やってきて夏まで持ちそうもないと言われ、もう手術はできないと語った。1ケ月以上、連続して入院できないから、一度、帰ってもらうが、お住まいが、すぐ近くと聞いたので、何かあったら、すぐ、飛んででいくと言ってくれた。


 そして、これは内緒ですけれどと言い携帯電話を渡してくれた。このボタンを押すと私の携帯に繋がるようになっているからと言い、渡してくれた。しかし7月になると夏の暑さと食欲のなさで見るのが辛くなって担当医に連絡して池田君を入院させて欲しいとお願いして7月6日に入院した。その時には体力が落ちて救急車で運ばれていった。

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