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時間屋  作者: 深澤雅海
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懐中時計 2

 わたしは体が弱くて、今まで何回も何回も学校を休んで、そのうち何回かは入院してた。

 具合が悪い時は息をするのも辛くて苦しいのに、元気な時はなわとびだって大丈夫。

 ママも先生もあんまりやらないようにって言うけど、動ける時に動いておかないとモッタイナイでしょ?


 元気な時でも病院に行って、何度も検査するんだけど、この前の検査で「手術をした方が良い」ってお医者さんが言って、手術することになったの。


 明後日から入院して、体の調子を見ながら手術する日を決めるんだって。

 だいたい一カ月くらいは入院するって聞いて、困るって思った。


 三週間後におじさんが日本に帰ってくる。


 おじさんはパパの弟で、時々遊びに来るんだ。

 パパはわたしが赤ちゃんの頃にしんじゃったから、おじさんがパパの代わりに遠足とか運動会とかに来てくれてた。

 二年前に外国に行っちゃって、今はそんなに会えないけど、それでも日本に帰ってきた時は必ず会いに来てくれるの。


 おじさんのお仕事は「機械がうまく動くように考えるお仕事」って言ってた。

 機械の修理も得意なんだよ。

 エアコンの調子が悪い時とか、パソコンが変になった時とかもおじさんが直してくれたの。


 わたしのお部屋にある時計のハトが出て来なくなっちゃった時も、中を見て直してくれたんだよ。

 直しているところ見せてもらったんだけど、時計ってすごく色んなものが入ってるんだね。

 いろんな大きさのいろんな部品があちこちで繋がって、協力して時計を動かしてるんだっておじさんが言ってた。

 ひとつを動かすと、隣にあるものも動いて、その隣にあるものも動いてって、手をつないでるみたいになってるの楽しかった。


 それでね、それでね、わたし、知ってるんだ。

 ママとおじさんがイイカンジだったの。


 おじさんはわたしの誕生日にもプレゼントをくれるけど、去年のママの誕生日にすごく大きな花束を持ってきたんだ。わざわざ外国から、ママの誕生日に日本に来てくれたんだよ。

 ママもすごく嬉しそうだった。


 ママはおじさんととけっこんしないの? ってママに聞いたことあるけど、カンタンじゃないみたい。

 わたしもおじさんのこと大好きだし、ママも大好きなんだし、別にいいんじゃないのかなあ。よく分かんない。


 そんなおじさんが三週間後に日本に帰ってくるの。

 わたしはその時病院にいなきゃいけないの。

 おじさんはお見舞いに来てくれるんじゃないかって? それは分かんない。


 おじさんが外国に行く前、ちょっとした事件があったんだ。

 わたしのことなんだけど。

 わたし、学校で具合が悪くなって倒れちゃって、保健室に連れていかれたんだけど、どんどん具合が悪くなっていっちゃって、救急車に乗せられて病院にまで行ったんだ。

 その時ママはおじさんと会ってて、すぐにわたしのところに来られなかったの。


 ママは学校の先生にもお医者さんにも怒られて、泣いちゃってたの知ってる。

 それからおじさんとは電話しかしてないんだ。

 電話している時のママは楽しそうだけど、ときどき悲しそう。わたしがそんなママを見てるとママがそれに気付いて、電話をすぐ切っちゃうの。

 わたしのせいでそんな感じなの。

 だから、お見舞いに来て来るかは分かんない。


 おじさんに会いたいねってママに言っても「そうね」って言うだけ。

 わたしのせいなの。あんなにイイカンジだったのに。


 花束のお礼にってママがおじさんに買った時計も、棚にしまったままなの。


 だからね、わたしが、わたしの方から、おじさんに会いに行かなきゃって思ったの。

 でもね、ほら、入院しちゃうでしょ?

 だからタイムスリップしかないと思ったの。ここなら未来に行けるんでしょ?

 おじさんに、今までみたいにママと仲良くしてください、会いに来てくださいってお願いするの。


 よかったらパパになってくださいって言うんだ。

 



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