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1-5 使いの導き



 アンデットが進行し始め、それを追い続けていると先頭のアンデットが足を止めているのに気がついた。


「なんだ?川でもあるのか?」


 アンデットの弱点は水、特に流水や聖水などが体の一部に当たるとおびえたようなそぶりをする。実際当たってもさほど外見に変わりようはないが当たった部分から先は動かなくなる。多分魂的なものや魔力的なものに直接作用しているのであろう。


 そう考えながら先頭の様子を見に行く、近づいていくごとにその正体らしきものが見えてきた。光がすごくて夜目にはきついな、なんだあれは?炎?


 近場の木の上に飛び移りその正体を探るために光を遮る魔法を放つ。


「太陽を克服せよ ブラックアイ」


 これはバカンスに行く貴族が奴隷の魔術師にかけさせる魔法、詠唱は長くないが馬鹿みたいに魔力を失うためあまり多用は出来ない。


 その光の中に物体を見た、人か?この数のアンデットを一人で止めるか……少なくとも俺のような化け物と同じ位の化け物なのだろう。


 その人物はをれに気がついたらしく語り掛けてきた。


「早くこの魔法を解きなさい。あなたにはこの者たちの悲鳴が聞こえないのですか?」

「……悲鳴?何を言っている。お前何者だ」


 訳の分からないやつだ、死人に口なし。アンデットの口から出るのは悲鳴ではなくこの世の者とは思えない音だけだ。


「いいから早く魔法を解きなさい」

「その者たちの無念を晴らせたらといてやろう、本来この魔法はそう言うもんだ、果たせればじきに消える」

「あんた何様なの?わざわざ死んだ人たちの体を使って人を殺すなんて許される行為じゃないわよ!」


 何を言っているんだこいつは、そいつらも未練があるから動いているのだ。その未練を晴らさなければあまりにもかわいそうじゃないか


「ならばそいつらの未練はどうする?死んだまま何もできないでそのまま朽ち果てていくのを待つというのか、そんなのかわいそすぎるじゃないか?」

「あんた何様?かわいそうだからその人の手を汚させるとかむごいにもほどがあるわよ。いい?未練や後悔なんてものはね?生きてる人達にしかどうしようもないの、死んだらもうそんな未練や後悔なんてもの関係ないくらいに素晴らしいところに行ける人たちもいるの。そんな人たちの手を死んでまで汚すなんてかわいそうでしょうが!」


 ……死んだら?


 つまり、こいつは死後の世界を知っているってことか?変な宗教の可能性は高い、しかしこいつは俺と同じくらいの化け物で人とは違う。現にこいつは何百というアンデットを抑えている、そんなことができる化け物と言えば悪魔か


「天使…」


 後者で間違いないだろう、天使。実際この世に現れた天使は過去でも何回か例がある。教会や農村、時には線上に現れたなんて噂もある。ありえない話ではないが現実味もない。


「ちょっと!人の話を聞きなさい!というかもう話しとかいいから早く解除しなさい!」

「なぜその必要があるのか、俺が納得するまでは解除しない」

「何それ!さっき言った通りでしょう?………ああそうか、あなたは……だものね」

「?なんだ?何か言ったか?」

「いいえ、なんでもないわ。まああなたも気づいてるとは思うけど。そんなに解除したくないのなら取引しましょう?」

「取引だと?」


 この女が俺に何をくれるというのか。少なくとも物に困っているわけじゃない。物だったらきっちり断って無理やり進行しよう。


「ルドの居場所!!」

「!?」


 今この女は何と言った?ルドの居場所?


「今すぐ解除しないと教えない!!」

「……その情報が嘘の可能性がないわけではない」

「私は天の使いよ?知らない事なんてないわ。特にあなたとルド君の事はね」


 少し悩んだ後レットはアンデットにかけられている魔法を解いた。解いたといっても何回でもこの魔法は掛けられるのでまだ油断はできない。


「はぁ~、疲れた。どんだけ強力にかけてるのよ」

「そんな事より!さっきの話し‼嘘じゃなかろうな!」

「っ!!いきなり声を荒げないで?びっくりしちゃうじゃない」


 女は自分の膝の上をぱんぱんと叩くと「砂埃がついちゃった」と言いながら俺を睨んでいる。いいからルドの情報をよこしてほしい。


「ルドは……生きているんだな?」


 さっきの話しから多からするとそういう事になる。ルドは生きている、今もどこかで。


「ええ、そうよ勇者だもの。そう簡単に倒れないわよ。」

「勇者?」


 勇者と言ったか?ルドが?


「そう、彼は勇者。世界に平安をもたらす者」

「平安を…もたらす……」


 勇者……そして俺は……


「ええ、あなたは魔王。世界に混沌をもたらす者。あまり引き延ばしてもしょうがないし言っておくけど。あなたたちは相反する存在よ。」


 頼むからそんなハッキリ言わないでくれないか?俺は自分の兄弟が相反する存在と聞いて結構ショックなんだ。


「本当はそうだった。」

「そうだった?」

「ええ、私たちが使える者は貴方たちの運命を嫌い、一緒に育つことで関係と運命の中和を図ったの。」

「!?ならば俺たちは戦わなくてもいいのか?」

「ええ、そのとうり……だったんだけどね」


 女は目を伏せ落ち込んだ様子でうなだれている。


「奴が介入してきたのよ」

「奴?誰の事だ」

「あなたという存在の生みの親。この世界で言う邪神よ」

「邪神……」


 教会で聞いたことがある。確か魔を生み出したとかなんとか。


「その邪神が俺たちに何を……そうか」

「ええ、あなたたち二人を別れさせ。魔王を自分のもとに向かわせようとした。しかし今邪神のもとにいるのは……勇者よ」

「ルド………」



 また遠い所に行ってしまったものだな……

作者です


今回から仲間が一人増えます


名前はまた後程


来週もお楽しみに


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