1-2 始まりの旅路
村を出て数時間が経った
途中魔物に襲われることが何度かあったがあまり問題ではない。
「また魔物か、いくら何でも多くないか?」
目の前に現れた小さな粘液の集合体で出来た魔物の名前はスライムラット。森の中でもよく見た小さなスライムだ。群れることがあり1匹の力は弱くとも群れで来ることにより結構な脅威になる。
「群れて出直して来い。」
目の前のスライムラットは1匹。内側に見える赤色のコアを壊せば完全な液体になって地面に帰る。コアは昔、魔術の研究に使ったことがあるが魔力を流すと水が大量に出てくる。旅人には重宝されているのだが…
「村でる前に大量に狩って来たからな」
コアを壊す。完全の液体となって地面に吸い込まれていく。別にコアを取ってもいいのだが荷物がかさばるからな。
小腹が減って来たな、ボアの肉を乾燥させた携帯食料を食べながら俺は辺りを見回す。
2人……いや3人くらいか。
「そこに隠れてるの、携帯食料で良ければ分けてやるぞ?」
草むらがガサッと揺れてしばらくした後。俺の前に3人の不衛生な筋肉が現れた。
「気づいてたのか。」
「匂いと音でな。」
実は探索魔法を常に展開しているのだがまあわざわざ教えなくてもいいだろう。ちなみに匂いと音で気づくこともできる、森で育ったようなものだしな。
「なら兄ちゃん、携帯食料だけじゃなく身ぐるみ全部置いていきな」
「お前らこそ、携帯食料以外を狙えばただじゃすまないぞ?」
殺人は避けよう。
「こんな天気のいい日にわざわざ強盗なんてな」
「こちとらそれが本職なんでな、娘なら命は助けてやったがあんちゃんはイケメンだからまあ命はないと思え」
イケメン死すべし。なんて言ってやがる
まて…娘?命は助けてやった?
「ちなみに今まで女子供を襲ったことはあるか?」
「ああ、そりゃもう数えきれないほどにな」
そうか、なら遠慮はなしで行こう
「お前ら……生きてることを後悔しろ」
「は?何言ってんだあんちゃn」
「吹きすさぶ風 その形を牢獄とし 永遠に吹き荒れろ!!!ストームプリズン!!!」
「な!魔術だと!!お前ら避けろ!!」
もう遅い、お前らはもはや地面すら踏めないんだよ
「頭!俺達浮いてます!足が地面に付きません!」
「どうにかしろ!」
「無茶言わないでください!」
お前らはそこで死ぬまで生き続けろ。
「じゃあな外道ども」
「ま、待て兄ちゃん!俺たちはどうなるんだ!」
「お前らが襲った娘たちの願いを、お前たちは叶えたことはないだろう?お前らはお前らのしてきた事を悔いながらそこで死ぬまで生き続けろ」
「な、まさかずっとこのままなわけないよな……や、やめてくれ!助けてくれ!!」
「やかましいな。音よ止め ボイスカット」
「………!!………!!!!」
静かになったな。後は人通りのない場所に場所を移せば完了だな。
ーーーーーーーーーーーーー
山賊?を森の奥にしまってから元の道に戻るまで結構時間が経ってしまった。
ここらで野宿になるかもな。
しばらく進んで行くと少し広がった場所を見つけた。近くに魔物はいないしここでいいだろう。
落ちている枯れ木を集め火をともす。
「はあ、旅に出てからここまで来るのに何時間かけてることやら。」
実際となりの街まで徒歩で1日かkルと聞いていたのだが、ここまで来るのに1日経ってしまったな。明日までには街に付けばいいが…
魔物は近くにいないが念のため見張りをつけておくか
「精霊の主よ わが願いを聞き届けよ サモン」
目の前に半径2メートルほどの大き目な魔法陣が展開される。そしてその真ん中から俺の精霊が現れる。そいつは目を開けて俺を見据えると
「……久しいの、何の用じゃ?我は我でこれから酒をたしなもうかと思っておったのじゃが」
身長は大体俺と同じ。北の方角に在るといわれている小さな島国の服装で和服と言われるそれを着たその女性は、9つの狐と言われる獣の尻尾をその身に宿している。まあ全部本人から聞いた話なので詳しく知らないのだがな。
「すまないが見張りを頼みたいのだが」
「帰ってもよいか?」
「ボアの肉の乾燥焼きは肴にいらないか?」
「早うよこせ」
俺から奪い取るように受け取った肉を頬張りどこから取り出したのかわからない酒を飲みだす。飲むのはいいが見張りもしてほしい。
「見張りなぞ、我がするまでもないじゃろうに」
「念のためだ」
こいつと知り合ったのは3年前に詠唱短縮研究を成功させるため魔術に詳しい者に話を聞こうと召喚した精霊。こいつのおかげで俺の詠唱短縮は成功したといっても過言ではない。
「なんじゃ?何を見ておる?」
「いやなんでもない」
なまえはコヨウ。こいつの住んでいる国では漢字と言われる字で狐妖と書くらしい。難しいから学ぶ気はないがな。
「肉の干物はもうないのか?」
「いやあるよ」
しかしこのままじゃ朝まで持たないな。
「まとめて出しとくから取ってってくれ」
清潔な布の上に干し肉を1キロほど置いておく
ちなみにどこにしまっていたのかと言うと俺のバックは異空間につなげる魔法を常時展開しているため制限なしに物を入れられる。多分コヨウの酒も同じような感じで出し入れせてるのだろうな。
「お前も飲むか?」
「いや明日も移動だからな。遠慮しておく」
それに、あまり酒は好きじゃない。
「つれないのう」
「また今度付き合うさ」
そう言うとコヨウは嬉しそうに酒をあおった
さて、そろそろ寝るか
「見張りは頼んだぞ」
「もう寝るのか?安心して眠るがいい、この我が見張りをするのだ。龍に襲われようとも快眠じゃ」
「ありがとう」
----------
朝になり起きてみると横でコヨウが寝ていた……
「何が龍に襲われても快眠だ。お前が快眠してたら元も子もないじゃないか」
「スー……スー……」
気持ちよさそうに寝息を立てながら寝ている、俺と一緒に地べたで寝るなんて相当酔ってるなこいつ
「おきろー」
「うむぁ……もうちょっと……寝かせ……て」
このまま送り返すか?
「おきろって」
揺さぶりまくってみる
「う~む…分かった!わかったからやめるのじゃ!二日酔いにそれはきついじゃろうて!!」
やっと起きたな。
周りを見渡すと魔物が数匹が息絶えている。これは…結界か。結界はこいつの得意とする魔術でこいつらの国では呪術と言われているらしい。
俺が結界の中心にある札をはがすと札に書かれていた字が消えた
一応守ってくれてたんだな。
「どうする?戻るか?」
「うーむ。そうじゃな、我も早くまた眠りにつきたい気分じゃしな」
「わかった、じゃあまたな」
「うむ。またの」
コヨウが消える。元の場所に戻ったのであろう
さて、俺も行くとするか
焚火を消し、再び歩き出す
作者です
前回は投稿が遅れてしまいすいませんでした
投稿日時を間違えて1週間先にしてしまい気づいたときには深夜でした。
きちんと投稿時間に確認するべきですね
すいませんでした
次回投稿予定は25日23時です
ではまた