異世界のその後の『あるある』 ー『異世界の神様に選ばれました』こぼれ話 ー
なんで日本ってこんなに異世界の経験者が多いの⁉
五分も歩けば異世界人じゃん!
異世界での生涯を終えて、再び日本に転生させて貰えた境晶人。
日本に戻って見て判ったが、元異世界人多すぎ!
魔王様に勇者に大賢者?
王様に農民なんでもござれだ!
日本ってもしかしなくても異世界より生きづらい⁉
この話は異世界から元の日本に戻って来た人達の
ある出来事を語ったモノである。
現在、連載投稿している
『異世界の神様に選ばれました』で使用した小ネタを元に
書き上げました。
番外編にしようかと思ったのですが、
本編に関係無く、また主人公達にも関係の無い話ですので
短編小説にしました。
ですので、『異世界の神様に選ばれました』を知らなくても読めると思います。
良かったらそちらも読んで頂けると嬉しいです。
『異世界の神様に選ばれました』
http://ncode.syosetu.com/n5642dw/
俺の名前は境 晶人一応普通の高校生だ。
一応なのは俺の通う高校。
私立永清高校は有名な進学校で、俺みたいな普通の成績の奴が通えるハズが無い学校に何故か通えてる事。
後は高校で『いきものがかり』って変な活動に巻き込まれている事。
進学校なのに飼われてる動物達の数が半端じゃないんだ。
専用の飼育棟って呼ばれる校舎もあるし、畜産関係の学校にも負けて無いんじゃないか?
なんて言われる位に設備が充実している。
密かに仲買人っぽい先生や、獣医の腕を上げる為に勤務してると豪語する先生まで居るしな。
最後に俺が異世界の経験者であるって事だな。
えっ?
全然一応どころじゃない?
普通は有り得ない?
そう思うだろ?
でもそうじゃないんだ。
異世界から帰ってみて知ったんだが、結構日本って経験者が多いんだぜ!
マジで!
今は異世界転生や転移モノの本が溢れてるだろ?
アニメなんかもそうだ。
昔のファンタジーって言えば、その世界の人間が冒険するって話だったろ?
いつからその世界に、他の世界の人間が行って活躍するようになったんだ?
その答えは異世界に行った奴が帰って来てからだ。
俺も結構、その手の本を読んでハマってたからな!
俺が異世界に行ったらなんてありもしない夢も見たもんさ。
本当に行くまではさ。
本なんかだと、勇者とか魔王とか、貴族なんかもそうだな。
その手の主人公が多いよな、最近は変わり種の主人公も出てきたけど。
そう変わり種さ、増えたよな?
行って見て実感したのさ、そりゃ異世界が沢山有っても勇者とかそんなに居ないよな。
異世界も普通の人が大半なのさ。
俺も日本で結構いい所の会社……商社って言われる海外との取引をメインにしてる会社さ。
スゲエだろ?
そんな会社に勤めてさ、これまた最近ではありふれているテロだな。
当時は殆ど無かったんだが、それに巻き込まれて死んだんだよ。
気が付くとお決まりの『白い部屋』で神様とご対面!
おっ、俺ってば異世界で勇者⁉なんて思ったさ。
蓋を開ければ、俺は商人の子供に転生して普通に商人して大往生よ……ここ笑う所じゃないからな!
それで大往生した訳なんだけど「結局、俺の転生って何だったんだ?」って思う訳だ。
商人に生まれても、いつか俺が!ってずっと思って生きて来た訳よ。
そのいつかは死ぬまで訪れなかったけどな。
死んだらまた『白い部屋』に居るんだな。
それで神様に聞いた訳よ、俺ってば一体何だったんだ?ってさ。
向こうの世界は日本に比べると大分遅れているから、そのテコ入れの為に転生させたって?
そんなにポンポン勇者創る程、世界を混沌とさせる訳無いだろう?
あっ、なんか納得しちゃった。
それで一応俺のノルマ?
使命は真っ当してるから、また日本に転生させてくれるらしい。
そう言う事があって、今の境 晶人に転生したのさ。
普通だろ?
全然普通じゃない?
じゃお前も体験してみろよ。
全然普通だって。
5分も歩けば異世界経験者だぜ。
一体どんだけ居るんだよ⁉って思ったよ。
えっ?なんでそんなのが判るのか?
そりゃ普通あるハズのない魔力を持ってるんだもん。
判らない方が判らない。
まだ小さい時に会った『魔力持ち』の人に言われたのさ。
「勝手に魔力は使っちゃいけないよ。規則だからね。」
判らないようにコソっと使う分には問題無いけどね。
元々商人の俺に使える魔法なんてたかが知れてるけどな。
俺と同じクラスにも一人居るんだぜ。
異世界で元農民!
同じ庶民って事で話が合うんだわ。
な?俺って普通だよな。
でも、高校3年の時に『いきものがかり』については普通じゃ無かったって思ったね。
はっきり言ってなんで俺がこんな良い大学推薦取れたんだ?
って思ったら、あの学校の『いきものがかり』してて成績もそれほど悪くない所が推薦ポイントらしい。
実際、就職もあの学校の『いきものがかり』なら大丈夫だと会社受けするらしい。
これは異世界とは関係無かったな。
就職って言えばあれだ!
俺もそろそろ就活しなきゃって思ってさ。
前前世?なんか歌のタイトルみたいだけど、商社に勤めていたキャリアを活かそうと思った訳よ。
この不景気な折、大企業もどうなるか判らないご時世だけどさ。
働かなきゃ食っていけないだろ?
だから少しでも仕事が判る仕事にしようと思ったんだ。
駄目な時は高校の時の元農民が親戚の叔父さん所で現農民やってるから、そいつに頼もうとマジで思ってたけどな。
就職面接の時に面接官が異世界人だった時に俺は思ったんだ。
「これは前前世だけじゃ無く、前世の事も役に立つんじゃね?」
それで、その面接官にコソっと言った訳だ。
『貴方なら判ると思いますが、私は勇者をしておりまして、魔王を倒し世界を救って、平和な世界に導いたのです!』
本当に俺の居た世界は勇者が居て魔王を本当に倒したんだぜ。
なんで俺じゃ無いんだ!って当時は思ったけどよ。
『ほう……では私は貴様に殺されたと⁉○○国の商人よ』
なんで俺の事知ってるの?
はあっ⁉マオウってナニヨ⁉
なんでか知らないけど採用されたけどさ………。
この間、久し振りに元農民、あっ現農民か!に会ってその事を話した訳よ。
そしたらソイツ大笑いしてさ。
「あっはははははっ!バ、バカがいる!し、信じられん!馬鹿だコイツ!」
「笑うな!俺はビックリしたんだぞ!なんでこの人は俺を知ってるの?ってな!」
「あははっ、そりゃ異世界ネットワークで面接前に調べたんだろ。事前調査は普通だからな。」
「異世界ネットワーク?なんだそりゃ!」
「お前知らなかったのか?異世界経験者って結構居るだろ?だからソイツが異世界で何をしていたかを登録してあるんだよ。」
「こ、怖っ!個人情報ダダ漏れかよ!元異世界人に個人情報保護法は適用されないってか⁉」
「元々は異世界に居た仲間を探す為に作られたらしいけどな。
今じゃお前の言った就職の時とか、後は婚活とかに使われてるな。」
「就職に婚活?何でよ⁉」
「結婚して、あまりの浪費癖になんで?とか、下っぱの癖になんでこんなに俺様な訳?とか色々有って調べると異世界のお貴族様だったとかあるんだよ。」
あっ、何となく納得しちゃった。
「今、俺の所にも凄いの居るぞ!あまりに俺様なんで会社をリストラされてな、サラリーマンはダメって言って農家になろうとしてる奴なんだが、それが俺の居た世界の王様なんだわ。」
「うわっー………」
「今、世界の厳しさって奴を教えている………絶対に逃がすもんか!」
こ、怖っ!コイツってこんな黒かったか⁉
「そういえば、ソイツも異世界ネットワークは知らなかったな、案外知られていない?」
なんか異世界より日本の方が怖くなって来たわ……。
元異世界人ってのも楽じゃないんだな。
今日も俺は魔王様な上司にコキ使われている。
「行くぞ!勇者な商人よ!」
「はい!すぐ行きます!魔王な課長様!」
社内ではすっかり俺は『勇者な商人』と呼ばれている。
課長は俺様な性格もあり、俺が『魔王様』って言い始めたら定着した……ザマーっ!
皆は本気で勇者とか魔王なんて信じてないけどな。
俺はこの前、課長に聞いたんだ。
「なんで面接の時に嘘を言った俺を採用したんですか?」
「バレバレだったが、商談にはハッタリも必要であろう?それに向こうでの商人としての腕は確かだったからな……私の元にもお前の噂は聞こえて来ていた。」
「魔王様にも俺の噂が?」
「ただの行商人が、一代で人間の国を救うような、店を築き上げたとな。」
「そういう事も有りましたかね?」
「ただ殺すだけの勇者やら、魔王よりも凄い事なんだがな。その度胸と手腕は商売には必要であろう。」
へー、俺ってば魔王様に認められてんだ。
なんかやる気が出てきちゃったよ!
俺も単純だねぇ。
「頑張りましょう!魔王様!」
「この取引、絶対に取るぞ!」
「はい!」
今度の休みに久し振りに高校に遊びに行こうかな?
なんか『いきものがかり』に勇者と大賢者が、所属したみたいだから見物に行こうかな。
俺達のような普通も良いもんだと教えてやろう。
レビューでも読んで見たいというお言葉を貰いましたので、
投稿一ヶ月記念として書き上げました。
良かったら『異世界の神様に選ばれました』
よろしくお願いします。
クドい⁉