3
昼休み終了一〇分前。校舎裏。
「細工の程は?」
「隆々よ。後は、下校するのを待つだけ」
「ドッキリ仕掛けるのって楽しいねー」
色黒ギャルと色白ギャルの手駒に愛想笑いを浮かべながら、同意する。
校舎の影の下で、少し黒く見える土を踏み、口元を吊り上げる。
これで、私の気が済む。
あの、四人には報いを受けてもらわないとね。
*
太陽が沈み、辺りが暗くなってきた時間帯。下校する生徒達が殆ど消え失せ、静寂となっている校舎を、俺は走り回っていた。
探しているのだ。
「おい、見つかったよ? 靴」
『いいや……ねぇな』
別行動で探していた拓斗に、携帯で現状を伝え合う。
そう。無いのだ。
「どういうことだよ……なんで、千歳の靴が見つからねぇんだ……?」
事に気付いたのは、ついさっき。
四人で、ゲーセンに寄って、格闘ゲームをやろうと盛り上がりつつ、玄関に向かっていた頃。下足箱を開いた、千歳が疑問と驚愕が混じった声を口にしたのである。
「ん? ……靴が、無い!」
俺達は一瞬だけ焦ったが、前にも似たような事があった為、対処は早かった。
だが、全員で探しても見つからないまま、今に至る。
男女別ペアに別れて、一五分置きに玄関前に集合し、報告しあっているが今のところ芳しい成果は無い。
「取り敢えず、一五分経つ。玄関に行くぞ」
『OK』
通話を切り、携帯をポケットに入れ三階に下りる階段を駆け下る。
目先に見えるのは薄暗い廊下の一部に過ぎず。手から伝わる手すりの冷たさも一部のもの。
「(糞がッ!)」
内心で、苛立ちを吐く。
呼吸が乱れ、筋肉が熱を発し、汗が頬を伝って顎から落ちる。
何滴も。