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第4話〜戻ってきた日々〜

学校サボッてイチャコラwww

……ようやく昔のような仲良く、ずっと隣にいる関係に戻れた俺と朋。


……いっぱい泣いて…いっぱい笑って…温もりを確かめ合うように抱き締めて……。





しばらくして2人共、落ち着いてくると、さすがに抱き合っているのは気恥ずかしく、そっと離れて座り直したが……


その距離は昔と同じで身体をくっつけて並んで座り、ポツポツと色んな話を始めた……

今まで出来なかった話…一緒にしたかった話……

時間が経つのも忘れて沢山…沢山話をしていると………






グ〜〜〜………




「………あ」



俺の腹が空腹を報せるように豪快な音を鳴らした。




「……ふふっ…陽ぅ〜…おっきいお腹の音〜…」



「…あ、い、いやぁ〜…えっと…」


恥ずかしくて誤魔化そうと思っていたら………





ク〜〜〜………




「………え?」


「…………あ!」



何とも可愛らしい、確実に俺ではないお腹の音だった。

朋が慌てて自分のお腹を両手で押さえて此方を見る。

俺と目が合うと、耳まで真っ赤になる位に顔を赤くする朋。




「………き、聴こえた…?」


「……ご、ごめん……バッチリと…」


「…やだもぅ……恥ずかしぃ〜…」



朋は近くにあった枕を掴んで、抱き締めるようにして顔を埋めてプルプル震えている。

あぁ〜…可愛い…なんかほっこりするなぁ…




時計に目を向けると、もうPM1時前だった。

学校だったら既に昼休みの時間だ。





「…と、朋。…ほ、ほら、もうこんな時間なんだし、お腹鳴るのはしょーがないよ。…俺も鳴ったし。ね?」



「………食いしん坊だなとか………思ってなぁい…?」



枕に埋めてた状態から目を覗かせ、真っ赤な顔のまま上目遣いで此方を見る朋。




「…いやいや!思ってない思ってない!…お腹減るのは自然な事なんだし!……ほ、ほらお昼御飯にしよ…」


なんとか朋を傷つけないように言葉を並べながら立ち上がって、両手を差し出す。





「…う、うん……ありがと陽……」



枕をベッドに戻してから、俺の手に掴まり立ち上がる。

何とも照れたような表情が可愛く、掴んだ手をほどこうとはしない朋。




「…て、てかお昼どーしよっか…?」


ジッと見つめられ照れくさくなり、目を泳がせながら現在進行形の問題を言葉にする。




「…あ、私はお弁当あるけど…」


そう。本来なら今日は学校なのだから朋がお弁当を持っていてもおかしくはない。




「…俺、今日は学食か購買で済ませようと思ってたからなぁ…」


普段は料理作るのが好きな俺は、両親不在な状況も相まって、学校に持っていく弁当も自分で作っていた。

……が今日は病み上がりだった事もあって、弁当は用意してなかった。





「…あ、あの…陽。良かったら、お昼御飯、作ってあげよっか…?」



「…え?……い、いいの?」


頬を紅くしながら、またも上目遣いで素晴らしい提案をしてきた朋。



「…うん♪……な、何が食べたい?」


「…え、えっとぉ〜……」


朋の手料理がまた食べられるなんて幸せだなぁ〜…と考えていたら………






━━…〜♪〜♪♪♪〜♪♪



幸せ気分に浸っていたら、俺の携帯から着信音が鳴り響いた…メールみたいだ。




「……ん?…メール?…誰だろ…」



ズボンのポケットに入れていた携帯を取り出して、開いてメールを確認すると…




[陽、今日も休みってそんなに風邪酷かったん?……てか百瀬も今日、休みなんだけど……ひょっとして〜お前ん家に〜居たり〜してぇ〜?どーなんよ?……え?仲直りできたのか?………仲良くなり過ぎてチチクリあってるのか?…大人の階段昇ってるのか?童貞卒業か?……ヤッてる最中か!?ヤリまくってるのか!?………避妊はしろよ?Ψ(`∀´#)]



「……………」



メールはヒロからだったが……

ウ、ウゼェ…なんだこのウザい内容のメールは……

てゅーか…なんだよヤッてる最中って……



……と無言でメールを見ていたら、いつの間にか朋が携帯画面を覗こうと顔を近づけていた。




「…あ!」



俺はこんなメール見せられないと思って、咄嗟に携帯画面を隠してしまった。



「……あ、ご、ごめんなさい…」


「…あ、い、いや…」



朋の表情がなんとも淋しそうな表情でシュンとしてしまい、変な空気に…





「…え、えっと…あの…メ、メール……だ、誰から…?……」


「…え?メール?」


肩を縮こませ俯いて目を泳がせながら聞いてくる朋。




「…も、もしかして…女の子…から……?」



「………へ!?…いや、え!?」



な、なんで女の子からなんて!?…あ、画面隠したからか!?


……いやそれより…なんで朋はそんな事を聴くんだ…?

も、も、もしかして……………ヤキモチ………とか?

いやいや…まさかね……ってそんな事より弁明しないとね(この間2秒。)





「…あ、いやいや違う!…違うから!……えっとヒロ…あ、中尾からだよ!」



「…中尾くん……?…え、でも……なら……どーして画面……隠したの…?」



う!!それは確かに!……かと言ってこのメールの内容を説明するのか!?朋には刺激が強いのでは…




「…や、やっぱり…女の子からの……」


朋の表情がどんどん沈んでいくような感じに……


ああ!?このままでは朋に変な誤解をされてしまう!

くぅ〜……しょ、しょうがないか…





「………はい。」


「………ふぇ?」


俺は朋にそっと携帯を差し出した。



「…え?あの…」



「…メール……見てみて」



朋は俺から携帯を受け取ると、メールの内容を確認している…


すると…朋の表情が驚いたような感じに変わり、みるみる真っ赤に染まっていく……


顔を真っ赤にしたまま携帯画面と俺の顔を、何度も見返しながら困惑している。


煙が出るのではという位、顔を赤くしたまま受け取っていた携帯を返してきて……




「…は、は、陽………う、疑って…ご、ごめんね…?」



「……い、いや…朋は謝る必要ないよ………悪いのはヒロのバカだから…」



朋との間に何とも言えない気まずい空気が生まれてしまった。


ヒロの奴、変なメール送って着やがって〜〜………





━━…〜♪〜♪♪〜♪♪♪……




…気まずい空気を裂くように、再び携帯の着信音……が、これは俺の携帯のモノではない。




「…あ、わ、私もメール……」



朋は慌てて、ベッド近くに置いてある自分の鞄を漁っている。


朋のメール…誰からだろう…さっきの朋じゃないけど、まさか男からの………





「…あ、優ちゃんから……」



優ちゃんって………大原か。

いつも朋と一緒にいるヒロと幼なじみの……

なんとなくホッとする。


……ん?朋が携帯を開いてメールの内容を確認しているけど…

なんか様子がおかしい…また顔が赤くなってる…?




「……あ、あの…陽…これぇ…」


「…え?……ど、どーしたの?……見ていいの?」


朋が携帯を持ちながら近くに寄って来て、携帯画面を差し出してきた。

見ていいのか確認すると、朋が黙って頷いたので、画面を確認するとメール内容の表示画面で、その内容は……



[朋、どーしたの?無断欠席って……そういえば千堂くん今日も休んでるけど……ひょっとして今、千堂くんの家?…仲直りできたとか?……も、もしかして盛り上がって…もっと深い関係に!?……ま、まさか今、千堂くんとベッドの中とか!?…は、裸!?……避妊しなさいよ?]



「……………………」



俺は言葉を失ってしまった……

な、なんなんだ…この似たようなメールは!?

あの2人って、こんなに思考が似ているのか!?




ますます空気が気まずくなってきたので、俺はそっと朋の携帯を閉じて………




「…あ、あ〜…えっと…あ、そうだ!……お、俺、オムライスが食べたいかなぁ〜…なんて…」



「…え、あ、オ、オムライス。…う、うん。分かった。……い、今作るね。」



努めて明るく、声を張る感じにお昼御飯のリクエストをすると……

朋も大きめの声で答えてくれた。


そして2人で1階のキッチンへと向かう。






……それから2人で仲良く昼食を食べた。

朋の作ってくれた、フワトロオムライスは絶品だったが……

何よりも2人で一緒に御飯を食べるのも久しぶりだったので、それが楽しくて嬉しかった。







━━……お昼を食べ終わってしばらくすると、朋のお母さんがパートから帰ってきた。

俺は朋と一緒に朋ん家に行って学校をサボらせてしまった事を謝った。


おばさんには怒られると思っていたが……





「…あなた達、やっと…仲直りできたのね……良かったわ…」



「…お母さん…」


「…おばさん…」



俺達が仲直り出来た事の方が嬉しかったらしく、怒るよりもまず、凄く喜んでくれていて……




「…思春期で、しかもあなた達は異性同士なんだし、色々ある。……でもこれからは…2人共仲良くね。」



おばさんが瞳に涙を浮かべるようにして、言ってくれた言葉に、また泣きそうになってしまった。






━━……その後、おばさんに晩御飯をご馳走になる事になり、朋ん家に久しぶりに招かれた。


途中で朋ん家のお父さんが帰ってきて、俺が居る事に驚いていた。

今日1日の事を説明すると……





「…そっかそっか!2人共、やっと仲直りできたかぁ!……いやぁ〜良かったぁ〜…」



おじさんも怒る事はなく、満面の笑みで喜んでくれて、また泣きそうになってしまった。

……俺の涙腺はかなり緩くなっているみたいだ。



「…陽斗くんは、いずれ僕達の息子になる予定だったからなぁ〜…ウチに来なくなって寂しかったんだぞ?…いやぁ〜ホント、良かったぁ〜…うんうん。」



「…ええ!?……む、息子って……それって…」


「……お、お父さん…な、何を言って…」


2人して顔を真っ赤にしていると、おばさんも…



「…あ〜…私も早く孫の顔が見たいわぁ〜…」



「「………………」」


朋のご両親は俺達が仲直りしたのを、交際し始めてると勘違いしているみたいだった。


……でも朋ん家でこんなに楽しくい食事を、またできるなんて……本当に良かった。







━━…結局、夜の8時過ぎまで、お邪魔してしまい、いくらお隣とはいえ長居し過ぎてしまった。


……自宅に帰ってから、風呂に入り、今日1日の幸せな一時を思い出しながらノンビリ入浴。


……風呂から出て自室に戻り、明日の学校の準備をしていると…






━…コンコン。




「………ん?…あ!?…朋?」



ベランダ側の窓硝子から聴こえたノック音に振り返ると、部屋着姿の朋がベランダに立っていた。


慌てて窓に近づき、鍵を解除し、窓を開ける…━━





……カラカラカラ……




「……どーしたの、朋?…」



「…えっと…忘れ物をして……入っていい…?」


「……あ、ああ、うん。…どうぞ。」



俺は立っていた場所から横にズレると、朋がそっと部屋に侵入してきた。

上下お揃いの薄いピンク色のスウェットに身を包み、朋も風呂上がりなのか仄かにシャンプーみたいな良い香りが漂ってきた。





「…それで忘れ物って…?」



朋が俺の部屋に来てから帰る時に、特に忘れ物なんてしなかったと思ったけど……




「……えっと…………これ。」


「………携帯…?」



朋は両手で携帯を持って、俺に見せるように自分の顔の前で構えている。

恋愛漫画に出てくるラブレターを持ってる女の子みたいな感じに構えて…


……なんかめっちゃ可愛い!なにこれ!可愛い過ぎるんですが!!

俺は叫んで悶えたい衝動をなんとか抑える。





「…あ、あの…私、陽の携帯の番号知らないから……教えてほしいなぁ…って……いーい?」


俺を上目遣いで見つめながら小首を傾げてお願いする朋。


ぅわぁ〜……可愛い…なに今の仕草…可愛い過ぎるってさっきからぁ〜…って心の中でキュン死にしかけてる場合じゃなかった。





「……………あ!…け、携帯ね!…う、うん!もちろん!……ちょ、ちょっと…待って…」





慌てて、ベッド付近で充電中の携帯を手に取って開き……



「…え、えっと…じゃあ赤外線で……俺から朋に送ろっか…?」


「…う、うん。……ちょっと待って……うんっと…赤外線受信は………いいよ陽。」



朋の方の準備ができてから携帯を操作して、お互いの赤外線ポートを向かい合わせ、マイプロフィールデータを送信。




……ピピッ♪



しばらくして、画面に送信完了の文字が…



「…あ。…できた。……えへへ…陽のアドレス♪………あ、えっと、じゃあこのアドレスに、私の番号とか返信するね…」


俺のデータをニコニコと眺めていた朋が、慌てて携帯を操作していると………




〜♪〜♪♪♪〜♪♪……



携帯の着信音がなり、メール受信の表示が……

届いたメールを確認すると朋のプロフィールが書かれたメールが……


携帯を操作してアドレスや番号を登録して、受信フォルダを友人にしようと思ったが……


…新しい受信フォルダ[朋]を作り、そこに朋のアドレスを入れた。

ふと気づけば、その一連の作業を朋に見られていた。




「……あ、ありがと……」


「…あ、い、いや……」


「…わ、私も…陽のフォルダ作る………」


朋も携帯を操作して新しいフォルダを作成していた……



とりあえずアドレス交換は終わったが……

朋は部屋に戻る様子はなく、モジモジとしながら俺の方を見ると………





「…陽って、もう寝る時間…?」


遠慮気味の朋に聞かれ、時計に目を向け時間を確認する。

━21:18……


まだ寝るには早い時間だった。





「……いや、まだ全然寝ないけど……」


「…じゃ、じゃあ……あの、もう少し……お話……したいなぁ…」


モジモジ上目遣いでお願いしてくる朋。

なんだろ朋はやっぱり俺をキュン死にさせる気なのかな………


俺はにっこりと笑いながら…




「…うん。…俺も…朋と…もっと話したい。」



朋は俺の言葉を聞くと嬉しそうにベッドに腰を掛け、俺もすぐ隣に座り寄り添うように会話を始めた……




そのまま0時近くまでお喋りし、明日遅刻するとまずいので、お喋りを切り上げ、朋は自分の部屋に戻っていった…。




ベッドに入ると同時に携帯が鳴り、メールが届く。

携帯を開いてメールを確認すると、差出人は朋…すぐに内容を見てみる……



[おやすみなさい。]



と一文だけ。

……ふと窓から朋の部屋の方を見ると自分の部屋の中から、此方に向かって手を振っている。


俺も手を振り返し、お互いに口パクで〝おやすみなさい〟と言い合って就寝…………。






…………………




━━…朝、登校時間になり、眠気眼を擦りながら靴を履いている


…ふぁ〜眠い…昨夜はベッドに入ってから、嬉しくてなかなか寝れなかったからな…

でも3日も休んじゃったし、今日はちゃんと行かないとな。

……玄関から出て鍵を掛ける。




……カシャン!



うし…行くか。通学路を歩き出そうと正面を見ると…

昨日と同じように、隣の家の塀に背中を預けて立っている制服姿の女の子がいた…。





「……朋。」


「…あ。おはよう陽♪」



昨日の朝のぎこちない感じとは違い、今日は満面の笑みで朝の挨拶をしてきた。




「………?陽…?」



「…は!…あ、ごめん…お、おはよう…朋。」


朋の笑顔に見とれていたら、不思議そうな顔をされてしまい慌てて挨拶を返す。


…すると朋は俺の真ん前まで来てスッと右手を差し出してきた。




「…はやく行こ?…遅刻しちゃうよ?」



「………あ」



この感じは…昔の…まだ仲良く登校していた時の…

今一瞬、昔の朋が…ダブって見えた……。




…俺は差し出された右手を優しく左手で握り……




「……うん。そうだね。遅刻しちゃう…行こ朋…」



朋はえへへと笑いながら俺の左側に回って、繋がれた手をキュッと握り、2人並んで学校へと歩みを始めた。




歩幅を合わせ、他愛もない会話をしながら通学路を歩く。

それは5年前と同じように楽しくて暖かくて…


昔と同じように…いやそれ以上に…満たされた気持ちになって俺達は繋いだ手を離す事なく、学校へと歩いていった………






第4話終

ホントはメールでなく、ラインとかにしようかと思ったが、商標とかで名称使用していいか分からないから却下しました

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