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第3話〜君の隣へ〜

美人で巨乳で料理上手の幼なじみがわしも欲しいwww



「……うぅ〜〜ん…………あれ…?」





重い瞼をゆっくり開けると、見慣れた天井が……

またあの時の夢を見ていたようで、目覚めはよくなかったが…


上体を起こして身体をほぐすように動かしてみると……

ぐっすり寝たのが良かったのか、大分身体が楽になっていた。




ふと部屋のデジタル置き時計に目を向けると……

━20:10━


随分と長い時間、寝ていたみたいだな…

あぁ〜……喉がカラカラだぁ…水、水…

ん?ちょうど良くベッド脇の棚に、500mlペットボトルの水が置いてある。



ペットボトルを手に取り、キャップを開けて一気に飲み込む。




「…ごきゅ…ごきゅ…ごきゅ…」



水分不足の喉をやや温めの水が潤していく……





「…ぷはぁ〜……はぁ〜……………あれ?」



半分以上を飲み干し、飲み口から口を離して、爽快感に満足していると、ふと手に持つペットボトルを眺める。



あれ…?俺…寝る前に、こんなペットボトル用意したっけ…?

てゅーか…家にこんなミネラルウォーターあったかな?





ん〜…ま、いっか…風邪でぼんやりしてたからよく覚えてないし……


お昼もまともに食べて無かったからお腹減った…何か食べよ…





「……よっ…と…………ん?」



ベッドから降りようとした時、おでこに何か違和感が…

手を当てると何か貼ってあり、剥がしてみる……




「…え?…熱冷ましシート…?……え!?え!?…な、なんで!?誰が…?」


今、ウチは両親が不在で俺1人きり…。

え、何これ?…なんかメッチャ怖いんですけど。




ベッドから降りて立ち上がると、机の上に昨日、朋に貸したハズの折り畳み傘が置いてあった。




「………え!?な、なんでこれがここに……朋…?」


ふと枕元に置いたペットボトルと、剥がして手に持っていた熱冷ましシートに目を向ける。

もしかしてこれも……朋が…?



更に部屋の中央に置いてる折り畳み式のテーブルに、土鍋とお椀に風邪薬が置いてあった。

土鍋の蓋を開けて中身を見ると、美味しそうな玉子粥……




これを見た瞬間に部屋を飛び出し、階段を下りて、1階に向かった。





ドタッドタッドタッ………




「……と、朋!?」



1階に着いて、急いでリビングに向かったが其所には誰も居なかった……。

しかしキッチンは綺麗に片付けてあり、食器も綺麗に洗ってある。



誰も居ないハズのキッチンなのに……朋の暖かな気配を………確かに俺は感じ取った。





…その後、晩御飯に用意してあった玉子粥を食べると、塩加減が絶妙で凄く美味しく、あっという間に食べ終えてしまった。


そして風邪薬を飲んで寝間着を着替え、再びベッドに横になり、携帯を開く。


…ヒロやクラスメイト達からメールが十数件届いてた。




メールで気づいたが…俺、朋の携帯番号もメールアドレスも知らないんだよな……


そのままメールを見ながら、寝落ちしてしまった…






〜翌朝〜





「…うぅ〜ん……うぅ〜……っと」



朝になって上体を起こして伸びをする…

かなり身体は回復していたが……無理をして、また風邪をぶり返したらイヤだし、それに風呂に入ってないから汗臭い。

今日もう1日安静にして明日から学校に行くか…。


学校に電話連絡した後、ヒロにもとりあえずメールし、再びベッドに潜って安静していた……






………………




━━……眼を覚ますと、昼近くまで寝ていたみたいだ。

さすがに腹が減ったので、起き上がりキッチンに向かう。





ギシッ…ギシッ…




昨日から寝ずっぱりだったせいか、少し頭がボ〜ッとするので階段を慎重に下りていく。



うぅ〜ん…冷蔵庫に何かあったっけ…

昨日、おそらく朋が用意してくれたであろうお粥は全て食べてしまったからな。






「……あれ?」




キッチンに着くと、違和感を覚える。

ガス台の上に、普通の鍋と土鍋が置いてあった。

……昨夜キッチンに来た時、こんなの置いてあったっけ…?





…ガポッ…カポッ…




土鍋を開けると中身は白粥、鍋の方は野菜がタップリ入って栄養がありそうなスープだった。




「…これって……もしかして朋が…?」



時間的に今朝だろうけど、本当にコレをやってくれたのが…いや昨日の件もそうだ…


もし朋が……朋がやってくれたのなら……

俺はこのままで…こんな態度を続けてて……いいのだろうか…?






…………………




……その日の晩、俺はまた朋の夢を見ていた……



俺が朋の夢を見る時は、大体がまだ仲が良かった頃の子供の時の夢か…

朋を泣かせた小5の時のあの夢がほとんどなのだが…



この時見た夢に出てきた朋は、今現在の……16才の朋だった。






草原のような場所をひたすら歩いていると、目の前に朋が現れた。

真っ白いワンピースに身を包み、柔らかな笑顔を浮かべると、フワッと俺に抱き着いてきて…耳元で囁くように……






……陽



……大好き





それを聴いた瞬間に目を覚ました……

心臓があり得ない位に早く鼓動を繰り返している。




え…な、な、何…今の…夢…は…?



インパクトの強い夢を見たせいで一瞬で目が覚めてしまった。

時計を見ると、まだ朝の5時。



すっかり体調は全快したようなので、今日は学校に行こうと思っていたが、それにしても早く起き過ぎたな……






・・・・・・・・




俺は何処か暖かな気持ちで学校へ行く準備をしていた。


はぁ〜…それにしても昨日のお粥と野菜スープ、美味しかったなぁ…

用意してくれたのって……絶対に…朋…だよな…

お礼、言わないと…。




む〜…朋にあったら何て声を掛けようか……

頭の中で何度もシュミレーションしながら、玄関を出て家の鍵を掛け学校へと向かおうとした時だった。





隣の家の…朋ん家の所に、制服を着た女の子がブロックの塀に背中を預け立っているのに気づく。





「……あ……と…も…」



「………お、おはよう…」



その女の子は朋だった……。


朋は俺に気づくと塀から離れて、俺の方に身体ごと向けると、チラチラと視線を向けながら朝の挨拶をしてきた。



「…………あ!お、おは…よう」


俺は慌てて、挨拶を返したけど…こんな風に挨拶をし合うなんて何年ぶりだろう…




「………………」


「………………」




お互い視線を迷わせながら長めの沈黙…

や、やべ…な、なんか喋らないと…えっ〜と…うぅ〜ん…

シュミレーションしてたのに、突然の事にすっかり飛んでしまった……





「………あ、あの!」


「………へ?……え?」



最初に朋の方から話掛けてきた。



「…お、一昨日、…あの、か、傘…ありがとう……凄い…嬉……助かった…から…」



「……あ、ああ!…いや!全然全然!!…た、大した事じゃないから…」


やべぇ〜なんか超〜〜嬉しいぃ〜〜

朋に笑顔でお礼を言われて、舞い上がりたい気分だった。

……ってそーだ…一昨日からの事…





「…あ、あの一昨日、熱冷ましシートとか…えっと…昨日のお粥や野菜スープとか色々用意してくれたのって……その…」



「……あ、う、うん…わ、私……勝手に上がって…ご、ごめんなさい……そ、その…く、苦しそうだったから………か、風邪はもう…平気…?」



「……ああ、うん…風邪はもう…すっかり治って………いや、それより…えっと…ありがとう!…その…え、えっと…ホント…あ、ありがとう!……」



「……ううん……そ、それに風邪ひいちゃったのって……私のせいでしょ…?……私なんかに傘を貸さなければ……」



「…え…?…あ、い、いや!違う!…あ、あれは…と、朋のせいなんかじゃないよ!…帰ってからちゃんと、身体を拭かなかったからで、と、朋は…わ、悪くない!」




お互いに赤面しながら、たどたどしい会話の繰り返し…表情もどこか硬い感じ…

昔はこんなんじゃ……なかったのになぁ……

何年ぶりかの会話が…これか…




「………………」


「………………」



そしてまた沈黙…お互いに俯いてしまった。

もっと言いたい事があったハズなのに…言葉が上手く出てこない…




「……え、えっと…じゃあ…私…学校に…行くね…」



「……え?…あ、う、うん…」



朋が何処か寂しそうな表情で俺に背を向け、学校へと歩きだそうとしていた。




行っちゃう…朋が……せっかく喋れたのに…

いいのか…?このまま行かせて…俺の為に色々してくれたのに…


朋が…行っちゃったらまた……前みたいに…会話の無い関係に戻ってしまう。


…やだ…そんなの…もうやだ…前みたいに俺に笑顔を向けてほしい…

昔みたいに…楽しかった時みたいに…戻りたい…




…勇気を振り絞れ!俺!……朋に言うんだ!

……大事な事を…自分の気持ちを……気持ちは……言葉にしないと…伝わらないだろうがぁ〜〜〜!!!!






「………………と、朋!!!!」



「……!!!」



朋は俺が叫ぶように呼び止めると、身体を一瞬ビクッとさせて歩みを止め、俺の方に振り返った。




「……あ、あの!…お、俺……あ、あの時!…5年前のあの時……酷い事言ってごめん!…好きじゃないなんて…嫌いなんて言って…ごめん!!……あれは、嘘って言うか……えっと……俺の…本心なんかじゃなくて!!」



「………!」



朋が目を見開いて俺から目を放さずにジッと見据えている。




「……俺…朋の事、傷つけて…ずっと…ずっと後悔してて………でも、なかなか謝れなくて……こんなに時間掛かっちゃったけど……だけど…その……ホントに……ホントに…ごめんなさい!!」


俺は謝罪と共に深く…深く頭を下げた

ホントはもっとちゃんと謝るつもりだったのに…

テンパッて変な感じになってしまった。





…足音が聴こえてきて、頭を下げた状態の視界に朋の足が映り込んだ。

俺の目の前まで近づいて来たみたいだ。





「……は、陽……顔、あげ…て……」



朋の涙声を聞いて、言われた通りに顔を上げると、朋は俯き加減で身体を震わせている。



怒ってる…よな……朋からしたら今更、何言ってんだって感じだよな…殴られても当然……




「…うぅ〜…ひっく……は、陽ぅ……ぐすん…」



「……え?…と、朋……???」



朋は両眼から大粒の涙を流しながら、ゆっくりと俺に抱き着いて、腰に手を回し俺の胸に顔を埋めている。




「…陽ぅ…ホント…?…好きじゃないって言ったのも…嫌いって言ったのも………嘘って…本心じゃないって…ホント…?」



「……え?…う、うん…そ、そんな事……全然…思ってない…てゅーか…あの、ど、どっちかって言えば…好……き……」


あ、あれ?な、なんか今さりげなく告白にならなかった…?





「…ぐすん……わ、私…ずっと…陽に…嫌われてるって…思ってた………本心じゃないって…本当なんだよね?………私の事…嫌いになって…ないんだよね?…ひっく…ぐす……」



朋は俺の胸で泣きながら、長年ずっと抱えこんでいた想いを教えてくれた……

俺が言った言葉は…こんなにも朋の心を傷つけていたのかと思うと、俺の眼にも涙が溜まってきた。




「…うん……5年前の事は、全部…嘘だから……朋の事、嫌ってなんか…ないから………ごめん……ごめんね朋…ずっとずっと…言えなくて…ずっとずっと傷つけて……ごめんね…ぐす…うぅ…」



「…わ、私…ずっと…寂しかった…ぐす……は、陽の…側に…隣に居れなくて……寂しかったよぉ…ふえぇ〜ん……」


俺と朋は長年の蟠りからやっと…やっと解放され、抱き合ったまま…暫く泣き続けた……







………………




━━……結局、俺も朋も泣き続けた結果2人共、両目が真っ赤になり、こんな状態ではとても学校には行けないので今日はサボりになってしまった。



んで今は俺の部屋で2人してベッドを背もたれにして座り目元をレンジでチンした蒸しタオルを当ててる所…………

朋は俺の肩にピッタリくっついて座っている。





「えへへ………ねえ…陽…」


「ん?…なぁ〜に?朋。」


「えへへ……やっぱり何でもなぁ〜い♪」


「…ええ〜?もう何〜?さっきから〜…」


さっきから朋は俺の名前をずっと読んでは笑っている。

な、なんか雰囲気がくすぐったいけど…全然嫌じゃないし…隣に朋が居るだけで…凄く落ち着く…。





「……あ、あの〜……朋……ホ、ホントに…今まで…ごめん…ね?」



「…うん…も、もう…謝らないでよ陽…」


「……で、でもさ…」


「……ん〜じゃあ〜…私のお願いを1つ聞いてくれたら…許してあげる♪」


まだ少し赤い目で顔を傾け、体育座りで立ててる膝に、傾けた顔を預けるようにして言ってくる。

わぁ〜…すげー可愛い…





「…わ、分かった……な、何でも言って、お願い……」



何を言われてもどんな無理なお願いでも聞いてみせる!!


俺は朋に対して正面を向き正座になって、朋の言葉を待つ。

それを見た朋も俺に向き合う形で正座に座り直した。





「…また…昔みたいに…私を…陽の側に、隣いさせて…?」



朋はしっとりとした笑顔になり、俺の両手をそっと握っていた…




「…………え?…お願いって…そ…れ?」



朋のお願いは…5年間の…朋の思いが詰まってるように感じた。





「…うん…だって陽は……私の…太陽なんだもん…」



「………あ。」




「……それで、私はお月さま………太陽がないとね…お月さまは…輝けないんだよ…?」





ギュッ…




そう言って朋は距離を詰めて、俺に抱き着いてきた…優しく包み込むように…


小さい時、一緒にいるのが当たり前だった時に、朋とした約束……



その言葉と、その暖かな温もりに楽しかった頃の記憶が蘇り、また瞳に涙が溜まって、ぼやける視界の中で優しく朋を抱き締め…………





「……うん。…そうだったね…ずっとずっと…俺の側にいてください………俺の…お月さま…」



「……うん…えへへ…ぐす…」



俺と朋は……笑顔で涙を流しながら……抱き合っていた………


もう彼女を離さないように…もう彼女を……悲しませないように………強く強く……抱き締めた……………。







第3話終

3話目で早くも仲直り。

展開早く感じるでしょうが、姪と話ながら、仲直りは早い段階でっと決めました。

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