第19話〜海に行こう②〜
海編第2話です
晃太先輩の彼女、柊先輩のプライベートビーチに俺や朋等、みんなでお呼ばれされ……
出発から驚きの連続だった…。
巨大リムジンに巨大クルーザーと、俺達一般市民には縁の無い乗り物での移動。
……眩い太陽が照らす青空の下、穏やかな海を颯爽と疾走していく豪華なクルーザー。
「…うわぁ〜…速ぁ〜い…気持ちいい〜…」
風を斬るようなスピードで進むクルーザーから、身を乗り出すようにして進行方向を眺める朋。
ちなみに運転してるのは俺達を迎えに来てくれたのとは別のメイドさんだった。
とにかく朋はハシャイでいて、写真を撮ったり景色を見たりと実に楽しめそうで、一緒にいる俺も楽しくなってくる。
……そんな中、ヒロだけ絶賛船酔い中だった……
「…まったく情けないわね〜……しっかりしなさいよ…」
「……う、うるへ〜……うっぷっ……」
船酔いで横になっているヒロを文句を言いながら介抱してあげてる大原さん。
…う〜むぅ〜…なんか……
「…ねえ朋。」
「…なぁに陽?」
「……あの2人って…なんだかんだで仲良いよね……」
「…あ、優ちゃんと中尾くん?…うん。…優ちゃん、いつも文句は言ってるけど…………なんか中尾くんの一番の理解者って感じ…」
朋もやはり気づいていたみたいだ……
俺達とは少しタイプは違うけど、やっぱり幼なじみなんだなぁ…
………………
色々ありながら波に揺られること数時間後、目的地に到着。
クルーザーを降りて、用意されていた巨大なオープンカーに乗車。
10人以上が平気で乗れるオープンカーなんてあるんだな……
それからしばらくして柊先輩の海辺の側にある別荘に到着した…
オープンカーを降りて、車を運転していたメイドさんに案内され、中に入ると……
「…うわぁ〜…広〜い……凄ぉ〜い……陽、私達…ここに…泊まるんだよね…?」
「……う、うん……」
外から見た時から気づいたが、別荘はかなりの豪華さで明らかにウチよりデカくて広い。
3階まであり大浴場やプールもあるらしい。
俺達は完全に呆気にとられてしまっていた。
「…さて部屋割りですが、3階は私と晃太さん、那緒さん綾乃さん雅さんに平沢先生になります。」
柊先輩が淡々と部屋割りを教えてくれた。
3階は主賓グループと先生か…
「…そして2階の部屋には、2人一組で部屋割りをさせてまらいました。……A室が上野さんと小嶋さん。…B室は千堂さんと百瀬さん。…でC室は中尾さんと大原さんとなっております。」
と、朋と同部屋……俺は思わず隣に立っている朋をチラリと見ると、同じように俺を見た朋と目が合い……
「「………!」」
お互いに赤面してしまう…こ、これは柊先輩の部屋割りに感謝しなければ……と。
「…あ、あの!先輩!わたし、コイツと同部屋なんですか!?」
大原さんが顔を真っ赤になりながらヒロを指差し、柊先輩に抗議のように問い詰めていた。
「…あら?…何か問題でも?……あなた達お付き合いなさってるのではなくって?」
「…な、ち、違います!!」
ふぅ〜むぅ〜…柊先輩も勘違いしたか…
こーして見てると割りとお似合いに見えるんだが……
「…ちょ、ちょっとヒロ〜…あんたもなんか言ったら…」
「…え、あ、いや…別に…オ、オレは…文句は…無い…けど…」
「…え、な、無い…の?」
ヒロがやや赤くなりながらも文句が無いと言うと、大原さんも頬を赤く染めトーンダウンしていき…
「…あ、えっと…すいません…でした……このままで…いいです…」
「…ふふっ…よろしくってよ♪」
柊先輩はニッコリと笑い大原さんの頭を撫でている。
他に文句も意見もないようなので、この部屋割りで決定した。
「…では皆さん、部屋に荷物を置いてきましたら、海にまいりますので水着に着替えてきてくださいな。」
「「「…はぁ〜い…」」」
柊先輩の案内のもと、皆で荷物を持って上階に上がっていく。
俺と朋はB室だったな…あ、ここだ。
自分たちの部屋の前に立ち、扉を開ける…
━━…ガチャッ
部屋に入ると、その広さと豪華にまた驚かされた…
「…わぁ〜…凄ぉ〜い……豪華ぁ〜…」
部屋は10畳以上はありそうな広さに冷蔵庫やテレビまで付いていて、高級ホテルの一室みたいだった…
が俺が一番気になったのは……
「…と、朋……あの…ベ、ベッド……1つしか…ないね…」
「…え…あ、そういえば…そう…だね…」
部屋に設置されてるのは巨大なベッド。
大人が4人は平気で寝れそうな位大きいベッドだが…それが1つしかない…。
「…え、えっと……陽、とりあえず…着替えて海に行こ?」
「……あ、う、うん……そうだね……って、ぅわあぁ!?と、朋!?」
朋は困ったように笑いながら荷物を置いて誤魔化し、俺も荷物を置いてどうやって着替えるか考えようとしたら……
朋は徐に、着ている洋服を脱ぎ始めた。
咄嗟に朋に対して背を向けると……
「…どーしたの?…あ、私もう下に水着、着てきたから平気だよ?」
「……え?……あ、そうなの?」
朋の言葉を聞いて、もう一度朋の方を振り向くと既に水着姿に…
この前買った黄色のフリル水着だ。
うぅ〜ん…やっぱり良く似合ってて可愛いなぁ〜
「…あ、はは…あ、焦っちゃった…」
「…えへへ…陽も早く着替えて?」
「…うん…あ、えっと…少し…向こう向いててくれる…?」
「…あ、ご、ごめんね?」
今度は慌てて朋が背を向けた。
それを見て、急いでリュックから水着を出して履き替えた。
……興味ないだろうが、俺は短パンタイプの黒の水着です。
1階に降りてくると、ヒロ、大原さん、小嶋さん、上野先輩が待っていた。
ヒロと上野先輩も俺と同じ様な短パンタイプの水着。
大原さんはスポーティーな黒色のビキニで、小嶋さんは水色のワンピースタイプの水着だった。
「…あれ?先輩達は?」
朋がキョロキョロと周りを見渡すと主賓の先輩グループが見あたらない。
「…まだ降りてきてないみたい…って朋ちゃん、その水着可愛いね〜」
「…えへへ…ありがと〜…莉っちゃんも優ちゃんも似合ってるよ♪」
朋達が女子トークを始めて間もなくすると……
「…お待たせしました〜」
「……あ、先輩…え!?」
先輩達が降りてきたのだが…晃太先輩は俺達と同じ様な短パンタイプ。
篠宮先輩は緑色の藤間先輩はピンクのビキニ、平沢先生は紺色のビキニと露出はそんなに高くなく一般的な水着……だが…
東雲先輩は黒の、柊先輩は銀色のかなり際どいマイクロビキニと言っていいほどの極小水着だった。
水着の隙間から大事な所が見えてしまうのでは…とゆうくらいに……
「…ちょ、先輩達…な、なんて水着を……ってヒロ!…鼻血!!」
「…ふえ?…はら…」
驚きの声をあげる大原さんの隣に立っていたヒロが、鼻血を垂らし大原さんに介抱されていた。
……あいつには刺激が強過ぎたみたいだな……
「…さぁ皆さん!ビーチに行きますわよ♪」
自分の格好を全く気にする事なく、颯爽と外へと向かう柊先輩と東雲先輩。
俺はその後ろにいた晃太先輩達を足止めして………
「…ちょ、ちょっと晃太先輩!…い、いいんですか!?柊先輩と東雲先輩のあの格好!……あ、あんな…際ど過ぎませんか!?」
俺の後ろにいる朋、小嶋さん、ヒロの頭と鼻を押さえる大原さんが賛同するように、首を縦に何度も振って頷いていた。
「…ん〜…まぁ周り俺達しかいないし……最初、海に行く話が出た時は裸で泳ぐような事言ってたから、あれでもマシな方なんだよ……」
と晃太先輩は苦笑いしながら溜め息まじりに話してくれた……は、裸って……
「…皆さ〜ん!何してますの〜?」
いち早くビーチに飛び出した柊先輩が俺達を呼んでいた。
他の皆が諦めムードになる中、俺達もビーチへと歩を進めた。
「わぁ〜凄ぉ〜い〜♪…綺麗〜〜♪」
朋が賛辞の感想を述べているように、凄い綺麗なビーチだった。
砂が真っ白で海は綺麗に透き通っていた。
まるで海外の海みたいな……
「…あの〜…」
「…はい。何でしょうか?千堂様。」
「…ここって日本ですか?…それとも海外とか?」
近くにいた水着にエプロンとゆーマニアックな格好のメイドさんに恐る恐る尋ねてみると……
「…お気になさらずにお楽しみください♪」
「……………」
やはり答えは教えてくれなかった……まぁ…に、日本だよ…な…
「…皆さん、ここにあるのはご自由にお使いになってくださいな♪」
柊先輩が指した一角には海辺で使う物が多種多様用意されていた。
浮き輪はドーナツ型だけでなく、イルカやワニの動物を模した物や、マットやボールのも多数用意され…
他にも水中ゴーグルやビーチフラッグの旗……少し離れた所にはビーチバレーができるようにネットが立てられてたり、海辺の所には水中オートバイやバナナボートまであった。
でも一番驚いたのはジュースの自動販売機。
お金の投入口がなく、ボタンを押すだけでいいらしい……すげっ
「…皆。海に入る前に準備体操を怠ってはダメだぞ。」
東雲先輩が号令を掛け、準備体操を始めた。
…東雲先輩や柊先輩のおぱーいがぷるぷる揺れて目のやり場に困ってしまったが……
……ほどなくして準備体操が終わり、各々別れて海を楽しみだした。
平沢先生はシートに寝そべり、肌を焼いてる。
篠宮先輩、藤間先輩、ヒロと大原さんはメイドさんが運転する水中オートバイに引かれるバナナボートに乗ろうとしていた。
上野先輩と小嶋さんは2人でビーチボールで遊んでいた。
柊先輩が海に入ろうとしていたら……
「…さあ、私の華麗な泳ぎを………あら?」
波打ち際に立っていた柊先輩の後ろから晃太先輩が浮き輪を装着させた。
「…ちょ、晃太さん!?な、なんですのこれは!?…わ、私はもう…こんな物無くても……」
「…だーめ。…今まで泳いでいたのは波の無いプールだったでしょ?……海は急に波が強くなったりするから、浮き輪は付けようね?」
「…むぅ〜…私の泳ぎが信じられませんの!?」
柊先輩が怒ったように抗議をしている。
確かにあんなモデルみたいな体型に浮き輪はなんか不釣り合いだけど…
「…俺はね。それよりも咲良の事が心配なの。……咲良にもしもの事があったら嫌だからね。」
「…あ…こ、晃太さん……そ、そこまで私のことを………わ、分かりましたわ。…これでまいります。」
柊先輩は頬を赤く染めながら、胴回りに装着された浮き輪を抱えるように掴んでそのまま海に向かって歩き、苦笑い気味の晃太先輩と東雲先輩が追いかけるように海に入っていく。
おお〜…あっさり納得させた…さすが付き合っているからなのか、柊先輩の事を分かってるみたいだ……
「…朋はどれ使う?……俺は……これにしようかな…」
「…ん〜っとね……私はこれにする♪」
俺は普通の浮き輪の少し大きめのを、朋はワニ型のボートみたいな浮き輪を選んで、いよいよ澄みきった海に入る事にした…………
第19話終
いわゆる水着回www




