第17話〜思わぬ出会いとお誘い〜
なかなか作業が進まない
夏休み3日目、朋との初デートとなった今日。
プリクラ取ったり、水着選びでハプニングもあったりと……
初デートは色々な事が起こっていた……
「…ありがとございましたぁ〜♪」
レジ係の女性店員からお釣りと買った水着の入った袋を受け取り、レジを後にする。
「…ホントにありがとね陽。」
「…気にしないでよ朋。……俺が買ってあげたかっただけなんだから。」
会話をしながら、左手で朋と手を繋ぎ右手に荷物を持って歩きだそうとした時……
水着売り場のすぐ近くに設置されてる椅子に見知った顔の男性が座ってるのに気づいた。
「……あれ?…晃太先輩…?」
「…ん?……お、陽斗。」
椅子に座っていたのは一条晃太先輩だった。
晃太先輩の親とウチの両親が仕事仲間で、自然と子供同士も顔見知りとなり仲良くさせてもらってる人だ。
「…晃太先輩。……こんな所でなにやってんですか?」
「……ああ…彼女達とデートで買い物来たんだけど…なかなか終わらなくてさ…………そーゆー陽斗も…デート?」
げんなりした表情で状況説明してくれた後に、チラリと朋を見た後に笑って言ってくる晃太先輩。
「…あ、はい。……紹介します。……お、俺の彼女の……百瀬朋花です。」
「……あ、初めまして。…も、百瀬朋花です。」
「…ん。一条晃太です。よろしくね。………陽斗陽斗。」
朋を紹介した後に晃太先輩が手招きして呼ぶので、朋から離れ近づくと…
晃太先輩が俺の肩に腕を回した後に耳元で囁くような小声で……
「…あの娘って……前に言ってた疎遠になったけど、仲直りできた幼なじみの娘?」
「……あ、はい。そうです。……報告遅れましたけど、最近になって……その付き合い始めまして……」
「…そっかぁ〜!…やったなぁ陽斗!…良かった良かった♪いやぁ〜おめでとう。」
説明を聴いて本当に嬉しそうに祝福してくれる晃太先輩。
……晃太先輩とは中学位の時に知り合い、何かと相談に乗ってくれていた。
今の高校に行く事にしたのも家から近いのと、もう1つが晃太先輩がいるからだった。
……1人っ子の俺には兄貴みたいな存在で凄い優しい人なのだ。
「…朋花ちゃんだっけ?……陽斗の事、よろしくね?」
「……あ、はい!」
晃太先輩は朋の方に向き直り、優しい声でそんな事言うもんだから、朋も姿勢を正して力強い返事をしていた。
……なんかスゲー照れ臭い。
「…晃太、待たせたな。」
「……晃太さん、お待たせしました。」
その時、レジの方から背の高い女性2人が此方に近づいてくる。
1人は銀髪のツーサイドアップにハーフぽい顔立ち、黒いワンピースを着ていた。
もう1人は黒髪ポニーテールでTシャツにジーンズのラフな格好で、共通しているのは2人共に………凄い巨乳だ。
でもこの2人の女性、どっかで見たような……?
「……雅、咲良、終わった?………あれ?那緒と綾乃は?」
「…あの2人はまだだ……もう少し掛かるだろうな……」
「…あ、そうなの…」
「…あら?……晃太さん、そちらの方達は…?」
銀髪の女性が俺らに気づいて、視線を送ってくる。
俺と朋は再び隣同士に並び、自己紹介しようとしたら……
「…む?…君達はウチの1年の…千堂陽斗くんと百瀬朋花さん……だな。」
黒髪ポニーテールの女性が俺達を見た途端にピタリと名前をフルネームで言い当てた。
「…え!?…あ、あの…な、なんで俺達の名前を…?」
「……は、陽、この人………せ、生徒会長さんだよ!?」
「……え!?あ!!」
朋の言うように黒髪ポニーテールの女性を良く見ると、ウチの学校の3年生で現生徒会長さんだった。
「…うむ。…私は君達も通う我が聖晴夢学園で、生徒会長を勤めさせてもらっている東雲雅だ。」
力強い自己紹介をしてくれる生徒会長。
……すると生徒会長の隣に居る銀髪の女性が一歩前に出て……
「…そして私は現生徒副会長の柊咲良ですわ♪」
副会長さんはスカートの裾を摘まんで華麗なお辞儀で自己紹介してくれた。
……そりゃあ見た事あるワケだ…生徒会長と副会長じゃあな……
って随分晃太先輩と親しげだったな……
あ、そういえば晃太先輩って彼女が4人もいるって聞いたけど……まさか……
「…えっと……2人共……俺の彼女なんだよね……」
「……ええ!?ふ、2人共!?」
朋は一際驚いて声が裏返りそうだった……
やっぱりそうなんだ……彼女4人もいるのも凄いけど、その内2人が生徒会長と副会長なんて……
「…は、陽…え?彼女さん?ふ、2人?え?え?」
朋が困惑気味に俺と晃太先輩達を見て続けていた。
……まぁ当然の反応だよね…俺も最初驚いたもんな…でも……
「…朋、違う違う……晃太先輩の彼女はね…4人なんだよ…」
「…えええーーー!!??」
「……あははっ……」
更なる真相を教えると朋は絶叫し、晃太先輩は乾いた声で苦笑いしていた…。
「…あら?……その袋……百瀬さんも水着をお買いに?」
「…え?あ、はい。」
副会長の柊先輩が俺が持ってる袋に気づいて、聴いてきたので朋が返答していた。
そういえば柊先輩も東雲先輩もここの袋を持っている。
ってことは俺達と同じように水着買いに来てたのか……
「…とゆうことは何処か海かプールに?……どちらの方に行かれるんですの?」
「…あ、まだ具体的に何処って…決めてなくて…ねえ朋?」
「う、うん。……えっと…何処かには行こうと思って、とりあえず水着を買いに……」
「…あら?……そうなんですか?……そうですか…ふぅ〜む……」
俺達の返答を聴いた柊先輩は顎に指を当て、何か考え事をしてだし…
しばらく考えた後、柊先輩は晃太先輩と何かを話し込んでいる。
……何だろ?
話が終わった柊先輩がまた此方に向き直り、再び俺達をニッコリ笑顔で見据えると……
「…千堂さん、百瀬さん。……よろしければ私のプライベートビーチにご一緒しませんか?」
「「………………え?」」
柊先輩の言った突然の提案に、俺と朋は揃って間の抜けた返事をしてしまった。
「…え?プ、プライ?え?」
「…あ〜…えっと彼女の家ね、プライベートビーチを保有してるらしくて、今度俺達招待されてるんだよ……それで陽斗達も一緒にどうかなって……」
晃太先輩が捕捉的な説明を加えてくれたが……
プライベートビーチって柊先輩ってお金持ちなのかな…?
そういえば俺達の住む街に、スッゲー豪邸があったけど…確か表札柊だったような…?
「…あ、ちょっと待ってもらえますか…?……と、朋、いい?」
「…あ、うん。」
俺達は先輩達から少しだけ離れて2人で相談する事に…
「…朋、どうしよっか?…プライベートビーチだって…」
「…う、うん…凄いね…お呼ばれしちゃってもいいのかな…?」
俺も面識あるのは晃太先輩だけだし、そんな所にひょいひょいお呼ばれしてもいいものか…
「………千堂さん。」
「…あ、は、はい!」
後ろから柊先輩に声を掛けられ、ビックリしたように返事をして振り返ると柊先輩はニコニコとしながら……
「…行くのは我が家の所有するプライベートビーチですから、当然私達以外に人はいません。……しいて言えばウチのメイド数人程度……この意味分かりますか?」
「……え?意味?」
意味ってどーゆー事だろう?なんでいきなり謎かけみたいな……
「…ビーチなので当然水着になりますわよね?………チラッ」
柊先輩はそう言って朋の方をチラッと見て含み笑いをした……
「…………あ!!」
俺はようやく柊先輩の言わんとしてる事が分かった。
他に人がいない……つまり他の男に朋の水着姿を見られる心配は無いって事か!
俺が気づいたようで柊先輩は更にニッコリと笑っていた。
「……朋、やっぱり連れて行ってもらう…?」
「…え?急にどうしたの?」
「…い、いや〜…プ、プライベートビーチって見てみたくない?…なんか凄そうだし…」
「…うん…実はちょっと行ってみたいな〜…って思ってた」
朋がテヘペロ顔で本音を吐いた。
なにその顔!?めっちゃ可愛いんですけど!?
俺達は先輩達の方に揃って向き直り……
「…あ、あの……ほ、本当に……連れて行ってもらっちゃって……いいんですか…?」
「…あら。遠慮はいりませんわよ?……あ、なんでしたらお友達もお誘いになったら?」
「……え?…友達も?」
柊先輩は更なる提案を持ち掛けてきた。
絶対柊先輩お嬢様なんだろけど、こんなに気さくな感じなんだな本物のお嬢様って……
「…あ、そういえばウッチーの彼女、小嶋さんって…朋花ちゃんのお友達じゃなかった?」
「…あ、莉っちゃん?…あ、はい、そうです。」
晃太先輩が言ったウッチーって…上野先輩の事か……
そういえば小嶋さんの彼氏って晃太先輩のクラスメイトなんだっけ。
「…あ、あの…本当にいいんですか?…友達まで?」
「…もちろんですわ♪……出発は来週ですので、行く人数が決まったら連絡を……あ、お二人とも番号交換よろしいかしら?」
「「……あ、はい!」」
柊先輩が携帯を出してきたので、つられて俺と朋も携帯を出して、柊先輩と番号を交換。
「…ついでだ。私のも登録しておいてくれ。」
更に生徒会長までも番号を教えてもらってしまった。
トントン拍子で話は進み、柊先輩のプライベートビーチに連れて行ってもらう事になってしまった。
第17話終
今回登場した人物を詳しくしりたい人は私のR18小説インビジブルをお読みください。




