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第10話〜長い夜〜

昔の資料を見るとおかしな文面が多々あるwww

朋が突然ウチに泊まる事になってしまった夜、雷の影響で停電になり、真っ暗なリビングでソファーに2人、抱き合うように座って会話をしていた………━━━






「…そういえば……朋が雷と暗闇が苦手になった理由って………おばさんが原因じゃなかったっけ…?」


「……!……陽、憶えててくれたの……?」


「……いやぁ……あれは忘れないよ……」



あれは確か………小2の時だったかな……

俺が朋ん家にお泊まりする日の夜の時だった……


その日の晩、朋は珍しくおばさんの言う事を聞かず、寝る時間になっても寝ようとしなかった。







〜小2時代〜





『こぉらぁ〜2人共。……もう寝る時間でしょ?…いつまで起きてるの?早くお布団に入りなさい!』


『……え〜…やだぁ〜…もっと陽とあそぶぅ〜…』


俺が朋の家に泊まる時は、いつもなかなか寝ようとしなかったけど……

その日の朋はかなり手強かったのを今でも憶えてる。

んで…おばさんがとった作戦が………




『…じゃあ朋ちゃん、陽くん。……2人共ビデオでも観る?』


『…みる〜♪』



最初、朋は大喜びでテレビの前のソファーに座っていたが……

俺はその時のおばさんの表情が妙にニヤけていたし、何故か電気を消してビデオを再生したのも気になり警戒していた……

そしてビデオを観始めて数十分後には………





『……ぎゃあああぁぁぁ〜〜!!!!!』



朋の悲鳴が家中に響き渡っていた……


おばさんが持ってきたビデオはホラー映画だったのだ…

内容は雷雨の中、停電中で真っ暗な家で1人、留守番している女の子の所に血塗れの怨霊が襲ってくるという邦画。

雷が鳴ると怨霊がいつの間にか女の子の後ろに立っているシーンがインパクトがあった。


それからすぐに布団に入った朋は、寝るまでずっと俺に抱き着いていた。

これがきっかけで朋は雷と暗闇とホラー映画が苦手になってしまったのだ……



……しかしおばさんもとんでもない作戦をとったよな……

自分の子供にトラウマを作ってしまうとは………

だが朋はあれ以降夜更かしをしようとはしなくなったので、結果的には作戦成功なワケだ。



……ちなみに一緒に映画を観ていた俺は、朋の怖がり方が凄く映画を集中して観れなかったので、特にトラウマにはならなかった。







〜現在〜





「……しかし……あの時の朋の絶叫は凄かったなぁ……」


「……だ、だってぇ……本当に恐かったんだもん………」


恥ずかしそうに俺の胸に顔を埋める朋。

朋の吐息がダイレクトに伝わってきて、なんか……くすぐったいような心地良いような……

……とその時だった……。





「「………あっ」」


部屋の中が突然パッと明るくなり、俺と朋は揃って天井を見上げると、照明の灯りが点いてる。




「…お、ようやく電力復旧したんだ…」


「…はぁ〜…良かったぁ〜…」


朋が安堵の溜め息を深く吐いている…恐怖の対象が1つ減ったから………ん?




「…朋。……雷も…収まったんじゃない?…聴こえてこないし…」


「……え?………あ、ホントだぁ〜…はぁ〜…本当に良かったぁ〜…」


2度目の溜め息…本当に心から安心したようだ。

俺はLEDランタンを消して、ソファーから立ち上がり…




「…じゃあ朋。……部屋に戻ろっか?」


そう言いながら朋の方に右手を差し出す。



「…うん。……ありがと陽。」


笑顔で返答し、俺の右手に両手で掴まり立ち上がる朋。

…そしてそのまま俺の右腕に抱き着いてきて、上目遣いで俺の顔を見つめ……




「………行こ陽。」


「……あ、ああ…うん。」


そのままの状態で階段方向へと、朋にしがみ着かれたまま歩き出す。


うぉう……右腕に……何か2つのふよんふよんした柔らかい物が押し当てられてるんですが……

いかんいかん…冷静になれ……右腕に意識を集中してはいかん…




……歩く度に揺れて当たってくる柔らかな感触に、男の本能を抑えながら階段を上がり、部屋に戻っていった。








━━……部屋に戻りベッドの上で並んで座り、また少し会話をしていた途中……

時計を見ると既に夜中の0時を過ぎていた。

明日は学校休みだから早く寝る必要ないけど………




「……ふぁ〜…あぁ〜…ふにゅ…」


朋が可愛らしい欠伸をしている……

今日は夕方から騒がしい1日になったから疲れたのかもな。





「……朋。……そろそろ布団に入ったら?」


「……ん……うん。……そーしよっかなぁ…」


目を擦りながら返答してくる朋。

……そこで俺は、ある事に気づいた。

何処で寝る…?てゅーか……朋は何処で寝かせれば……



ベ、ベッドで一緒に……………って!?な、何を考えているんだ俺は!?

確かに昔は泊まりの時は一緒の布団で寝ていたけども!

今は年頃の男女なんだし、年齢的にそれは……こ、恋人同士でもないんだし……


俺の部屋に布団を敷いて……

いや…そもそも同じ部屋で寝るワケにはいかないか…


1階の居間か、今は不在中の両親の部屋に俺か朋のどちらかが寝るべき………だよな。





「……あ、あの〜……陽……あのね……寝る場所……なんだけど……」


あ!朋が若干困惑気味に此方をチラチラと見ている。

朋も何処で寝ればいいかで困っているんだろう。




「……あ、ああ〜……え、えっと……と、朋は俺のベッド使っていいよ!………俺は1階の居間とかで寝るからさ。」


「…………えっ」


「……この前シーツとか洗ったから臭くないハズだし、もし寒かったら掛け布団の予備出すから言って?」


「…ま、待って………は、陽…」


「……え、えっと…じゃあ………お、おやすみ…」


さっき一緒に寝るビジョンを想像してしまった恥ずかしさから、早くこの場を去りたかった俺は早口で一気にまくし立て、扉の方に振り向いて歩きだそうとした……





……ガシッ!




「………ん?……あれ?………え、朋……?」


歩きだそうとしたら、Tシャツの裾が引っ張られる感覚にあい、振り向いてみると…




「………ま、待ってょぉ…」


朋が真っ赤な顔をして俯きながら、両手で俺のTシャツの裾を掴んでいた。




「…え?…な、何?…ど、どうしたの朋?」



「………え、えっと………その………は、陽と………い、一緒に………寝たい………なぁ………」


「………………………………………………………………………………………………………え?……い、今………なんて…?」


「…だ、だから……その……ここで………い、一緒に………寝よ……って……」


朋が真っ赤な顔を更に紅潮させ、煙が出そうな感じで、俯いたまま言った言葉を俺は一瞬理解できなかった………


一緒に寝よって……いや待てよ?

朋はここでって言ったが同じベッドでって意味ではないのかも?

そ、そうだよな…いくらなんでも同じベッドでなんてねえ……そんなねえ……




「…あ、ここに布団敷いて隣で……」


「…そ、そーじゃなくって………む、昔みたいに……同じ布団に…一緒に入って……寝よって…………ダメ…?」


恥ずかしそうな表情で上目遣いで俺を見る朋。


同じ布団でって意味だったぁぁぁーーーーー!!!!

マジかぁぁーーーー!!!!?





「………い、いやでも……あの……と、朋……そ、それは……本気で……?」


「……う、うん………イヤ?」


「………イヤじゃないよ!?………イヤではないけど………でもあの……ホントに……お、俺と………一緒で……良いわけ…?」


朋はその言葉を聞いて、Tシャツを掴んでいた両手を離し、そのまま俺の右手をギュッと握って…




「…うん………一緒が良い………陽と……一緒に……寝たいな…」


「……………と、朋……」



俯いたまま柔らかな笑みを浮かべる朋。

その表情は昔の朋とは印象が全く違う感じの……

優しくて…暖かくて…本当に女の子らしい笑顔だった。





「…わ、分かった………え、えっと……じゃあ………ね、寝る?」


「………う、うん…寝よ。」



俺の了承が出ると朋はにっこり笑いながら掛け布団を捲り、布団の中に入っていく。


俺は電気を消して豆電球だけ点灯させてから、ベッドに入る。


朋は壁際に寄っていたので、自然と俺の寝るスペースは確保されていた。


2人で1つのベッドに寝転がり…



「…お、おやすみ…」


「…おやすみなさい…」



就寝の挨拶をした後、朋に背を向ける感じで横向きの体勢をとり、眼を瞑る。







「………………」


「………………」




外は雷だけではなく、いつの間にか雨も止んだようだ。

そのせいか、凄く静かだった……

部屋の中の時計の秒針の音がイヤにデカく聴こえてくる。



……ね、寝られない!眠れるワケがないって、こんなん!!

大好きな女の子と1つのベッドに一緒に寝るとか……何この幸せイベントは!?


ついこの間までは会話すら無かったのに……一気に状況が進み過ぎじゃね!?


てゅーか…朋はなんで一緒に寝ようなんて…

やっぱり男として見られてないのか…?

そ、それとも…関係を進展させようと…こ、こーゆー大胆な行動に出たとか……?

てかそもそも朋は………もう寝てるのかな……?






……つんつん

……つんつん




「………!??」



な、なんだ…?背中がくすぐったい…?

なんか……突っつかれているような…?…てゅーか…俺の背中側にいるのは1人しかいないワケで……





「……朋さん。……くすぐったいんですが。」


「……あ。…やっぱり起きてた。」


顔をやや後ろに向けて抗議をすると、朋は悪戯がバレたような口調で声を弾ませる。




「……ねえ陽……なんでそっち向いてるの……?」


「………え?……な、なんでって…言われても………なんとなく……かなぁ…?」


朋からしたら、そっぽ向いてるように見えたのかな…?

てゅーか…緊張してまともに朋の顔が見れないから………とは言えない。




「……ねえ陽ぅ………こっち………向いてよぉ…」


俺の背中を突っつきながら甘えるような感じで言ってくる朋。

今、この状況がどーゆー状況か、分かってないみたいだな…朋は……


で、でもあんな甘えた声で言われたら言う通りにするしかない…





「……んっ……と………!??」



「…えへへ……やっとこっち…見てくれたぁ…♪」



掛け布団をズラさないように、体勢を変えて朋の方に身体ごと振り向くと、かなり近い距離に朋は居た。

ほぼ目の前くらいに……




ベッドで並んで向かい合い、見つめ合ってる俺と朋……


こんな鼻と鼻が触れ合いそうな距離に朋の顔がある。

あらためて見ても、ホントに綺麗になったなぁ…


サラッサラの髪の毛は染めてるのか栗色をしていて……

大きな瞳にくっきりな二重瞼、長い睫毛…。

鼻筋が通っていて、ぷるぷると肉厚で綺麗な桃色の唇。

どっかのアイドルなんかよりもずっと綺麗で…ずっと可愛くて…


産まれた時からずっと一緒で……一時期、疎遠にはなったけど……最初の友達……そして初めて……恋をした……幼なじみの……女の子……。






……キュ




「…………ふが?」


「……どーしたの陽?」


ボーッと朋に見とれていた俺の鼻を摘まんでくる朋。




「…ふわなひてふらふぁい(離してください)」



「……くふふ♪陽、鼻声〜…面白い〜♪」



笑いながら俺の鼻を摘まんでいた指を離す朋。






「………ねえ陽………1つ………聞きたい事が………あるんだけど……いい?」



「……え?……えっと……何?」



笑っていた朋が突然、真剣な表情で俺を見据えてくる。

一瞬ドキッとしてしまった。


てゅーか今晩は朋にドキドキとさせられっぱなしだな……






「…陽って……その……今…か、彼女さんは……い、いないん……だよね…?」



「…………え!?……か、かの!?」



頬を染めながら、眼を泳がせて聞いてきた事に俺は驚いてしまった……


か、彼女!?……い、いや……いた事は……ないけど……朋、なんでいきなり……恋話?

と、とりあえず正直に返答しないと……






「……い、いや…い、いないよ?……て、てゅーか…いたことないし……」



「……そ、そうなの?……で、でも……最近もだけど……中学の時、たくさんの女の子から……告白されたって……聞いたから……女の子と付き合ったこと……あるかと思って……た」



「…え!?……な、い、いや……た、確かに告白されたことは…あるけど…そんな、たくさんって程じゃないよ?」



「……ふぅ〜ん………そう……なんだぁ……」



朋は納得したような、してないような…微妙な表情をしている。


しかし……たくさんに告白されたって、一体誰から聞いたんだ!?…どこ情報!?





「……こ、告白された誰かと……付き合おうとかは……思わなかったの…?」



「…ええ!?……い、いや…………その…………よく知らない娘ばっかだったし…いきなり付き合うとかは……………そ、それに……他に……好きな娘が……いたし。」



「………………え………あ………そ、そう……なんだ………」



朋は驚いたような複雑な感じの表情をしている。


そう……他に……好きな人が……朋がいるから……誰かと……付き合う気には……なれなかった。


……と言いたい…目の前の……朋に……打ち明けて…本当の想いを伝えたい……

でも今は……やっとまた一緒過ごせるようになった時間も大切にしていきたい。






「……えっと……そーゆー朋は……どうなの?……か、彼氏とか……いたりは……」



「…え!?……わ、私も……いないよ?……いたこと……ないもん」



「……そう、そうなの?……で、でも、朋だって……俺なんかよりも……ずっとたくさん、こ、告白されたんでしょ…?…付き合おう……とかは……思わなかった……わけ?」


わけじゃねーよ!!俺!!…な、なにを調子に乗って聞いちゃってんのよ!?

いくら聞かれたからって、お返しに聞いていい質問か、これ!?





「……えっと…その……わ、私も…その………す、好きな人………いるから…」



「…え、あ、あ〜……そうなんだ〜…そ、そっかぁ〜……そっか……」



朋は顔をまた真っ赤にして、チラチラと視線を向けたり外したりを繰り返していた。


朋にも…好きな人が……いる…

だ、誰なんだろ……

……お、俺…………じゃあ………ない……よね……


5年も無視し続けた男を好きになるワケ………ないよね……。


と悶々としたまま考え事をしていると、突如鼻孔を擽る良い香りが漂ったと同時に、胸に柔らかな物体が……





ギュッ……




「……え!?と、朋!?……ど、どうしたの…?」



急に俺の身体にしがみ着いて鎖骨の辺りに顔を埋め、豊満なおぱーいが胸に強く押し当てられている。


お互いにTシャツ1枚同士なので、ダイレクトな感触が胸に伝わってくる。


うぉ〜…ちょ、これ……ベッドに入って抱き着かれ、む、胸が…胸に…おぱーいが……ふにょふにょぷるんぷるんした感触がぁぁぁ………

り、理性が崩壊寸前なんですがぁぁぁぁ………




「……陽ぅ………寝るまで………こーしてて……いーい…?」



「…え!?…え、えっと………い、いーけど……ど、どうしたの?」



「……な、なんとなく……です………だめ?」



「……い、いえ……だめでは……ありませぬ」



寝るまで!?寝るまでずっと!?…いや俺…心臓高鳴り過ぎて死ぬんじゃ!?

てかドキドキが…今、凄いドキドキしてるのが朋に伝わってしまうのでは………


ああ!?さ、更にダイレクトにくる、おぱーいの感触が今日1日の朋のラッキースケベイベントの数々を思い出させて……

俺の息子さんが起きてきている…!?

ま、まずい……抱き合った状態で煩悩の塊が主張を始めたら……

と、朋に気づかれてしまうじゃん!!

す、少し腰を引くか……





「…?…陽ぅ……どーしたの?…なんかもぞもぞしてない?」



「…え!?…あ、いや……え〜……ちょっと太ももが痒かっただけ……」



「……そう?………そっかぁ……んん〜……」


朋は納得してくれたようで、特に追及はしてこなかった。

それから朋は体勢をズラして、今度は俺の胸に顔を埋めて擦り付けるように、すりすりしていた。




この仕草……昔、朋がよくやってたヤツだ……

寝る直前に甘えるみたいに、顔を擦り付けながら抱き着いてくる…。

そして俺は朋が寝るまで頭を撫でてあげてたんだった……。



俺はあの頃を思い出して……朋の頭にそっと右手を這わせ、ゆっくり優しく撫で始めた。





「…あ……えへへ……陽ぅ…♪」



頭を撫でられ、何処か懐かしそうな…幸せそうな…

そんな感じで身体を脱力させて俺に身を預けるようにする朋。


そんな朋の背中に左手を回して、右手は休む事なく、頭を撫で続けていく…






俺の胸の中に収まるような…小さくて、愛しい存在。

優しくて怖がりで…守ってあげたくなる。


朋……5年もの間……寂しい想いをさせてごめんね?

空白を埋めることはできないかもしれない。


でも約束するよ……もう2度と……寂しい想いはさせないから……朋が泣いてしまわないように…これからはずっと……ずっと側にいるよ……


君が安心して……笑顔を絶さないように…ずっと笑顔でいられるように……君を……お月さまみたいに輝かせられるように……


ずっとずっと……側に………いるからね……………






第10話終

気を抜くとR18のような展開にしそうになる。

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