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第1話〜君への想い〜

けっこー古い作品を再構成したので内容が古臭く感じたり、どっかで読んだように感じるかも。


……気楽に読んでください

『…みろよ、あいつら〜また手ぇつないでるぅ〜ヒュ〜ヒュ〜♪』



『ちゅーしろ〜ちゅ〜』



『ケッコンだケッコン〜』






……あ、これは…またあの時の………





『……はるぅ〜…どうしたの…?』


俺の右手を握ってる赤いランドセルを背負った女の子…

ともが困惑気味に此方に視線を送っている。





『…う、う、うるせ〜!…、こ、こんなヤツ…べ、別に…す、好きじゃないし!…てかキライだし!…だ、誰が…ケ、ケッコンなんかするか!…』



同級生からの冷やかしで、手を繋いでるのが無性に恥ずかしくなってしまい…

思ってもいない言葉を発して、繋がれていた朋の手を振りほどき、冷やかしていた同級生の元へと走り出して言い訳をしている。


…その時、横目で朋を見ると瞳から雫が溢れて流れ出し、両手で顔を覆っていた。

…俺は心臓が潰れる程のショックだった……………







「………ハッ!…………はぁ……また…あの時の……夢か…」


目を覚ますと、目の前は薄暗い天井の風景…。

上体を起こして周りを見渡せば見慣れたいつもの部屋。

気づけば両目の周りは涙で濡れていた。




…ベッドから起き上がり、部屋のカーテンを開けて窓越しに外……隣家を見る。

すぐ隣の家の……朋の部屋の窓はカーテンが閉まっていて中の様子は見る事が出来なかった……






━━〝ごめんね〟……その一言が言えない俺、千堂陽斗せんどうはるとは……

幼なじみで大好きな女の子、百瀬朋花ももせともかと………もう5年以上会話をしていない……






━━…学校へ行く為に家を出て通学路を歩こうとした時、ふいに目に写ったのは、隣の家から出てきた制服を着た女の子。





………あ!…と、朋!




俺は咄嗟に近くの電信柱に隠れてしまった。

電信柱の陰から進行方向に目を向けると…


朋は俺に気づかなかったみたいで、一定の速度で歩き続けていた。




……俺は朋と一定の距離を保ちながら通学路を歩き始める。



視線の先には上下共に紺色のブレザー、少し短い気もするスカートをはためかせ、栗色のセミロングの髪を靡かせながら歩く朋の後ろ姿。


すれ違う男性の通行人は、ほとんどが振り返る程の目を引く美少女になった朋。




……本当なら今も、彼女の隣を並んで歩いていたかったが…もうそれは出来ない……

そして今朝見たあの夢をまた思い出す………





俺と朋は、よくありがちな家が隣同士の幼なじみ…

生まれた生年月日が全くの一緒で、産まれた病院も一緒。

親同士も幼なじみらしく、交流が絶えなかった。


小さい時からいつも一緒に遊んでいて、隣に居るのが当たり前のような存在。

いない方が違和感を感じるくらいに……






『……陽〜…陽はね〜わたしの太陽さん♪』


『……え、太陽……?』


『うん。…それでぇ〜わたしはお月さまぁ〜…太陽がないとお月さまは輝けないんだよぉ?』


『…え〜…そうなの?』


『そうだよ。だから陽ぅ〜これからも、おっきくなっても、ず〜っと、ず〜っと、わたしと一緒にいてね♪』


『…う、うん!ずっと一緒だよ!朋。』






そんな約束をしてからは、より一層離れる事が無くずっと一緒にいて…

幼稚園も小学校も全て同じ。


朋は手を繋ぐのが大好きで、登下校の時は、必ず俺の手を握っていた。

同年代の同性の子と遊ぶよりも俺も朋も2人で遊ぶ事が多く、家が隣同士なので互いの家にお泊まりする事も……

その際は一緒にお風呂に入り、一緒の布団に寝る。



まだ異性として意識はしていなかったので当然といえば当然だったが…

俺の方は小学生位から朋を異性として意識し始めていた。

他の女の子に比べても朋が可愛かったからかもしれない。



丁度、朋とお風呂に入ったり一緒に寝たりするのに照れが生じ始めた頃…

小学5年になった直後にクラス変えで、新しい同級生になった。


……俺と朋はその時も同じクラスで、毎日手を繋いで帰っていたら、新しい同級生からその事をからかわれ…

朋に対して異性を意識してたのも重なり無性に恥ずかしくなってしまった俺は…

心にも無い事を言って、初めて朋を泣かし…傷つけてしまった…。



それから謝る事が出来ない俺は朋を避けるようになっていき、会話も……目も合わせられなくなり……

仲違いしたまま小学校を卒業した俺達。




中学校も一緒の学校にはなったが、同じクラスになる事が3年間で一度もなく、それが疎遠に拍車をかける形となっていく…。


時折、廊下ですれ違ったり登下校で顔を合わせても、眼を背けてしまう。



……一方で朋は仲違いの一件以降から、どんどん綺麗になっていった…。

体型も女性らしくなっていき、中学の時には男子の間で、可愛い女子の話題になると必ず朋の名前が出てくるようにも……。


モヤモヤしながら中学校生活を送っていると…

誰々が朋に告白したみたいな話も度々耳にするように…

救いだったのは、朋が誰かと付き合ったという噂だけは聴かなかった事……





…結局そのまま中学を卒業し、高校で離れると思っていた朋が、同じ学校を選んでいた事が分かり凄く嬉しかった。


そして、高校の入学式で見かけた朋は更に驚く位、綺麗になっていて……


サラサラなセミロングの髪型、パッチリと大きな瞳。

む、胸なんて結構な巨乳になってたし…




…そして入学して高校1年生、最初のクラス発表で奇跡的に同じクラスになり、クラスメイトになって2ヶ月が過ぎたが…

声を掛ける事はいまだに出来てなかった…………






………………





「……おい…陽〜…陽〜……起きてっか?」


学校に着いてから自分の席で、机に突っ伏していると、前の席で中学からの友人の中尾浩なかおひろし、俺はヒロと呼んでいる………から声を掛けられた。




「…起きてるし……何?」


「…いや、だからさ〜…この前話したじゃん!……合コン行こうぜ〜合コン!」


「……行かね〜…」


ここ最近、ヒロからやたらと合コンに誘われる……理由は……



「……はぁ〜…お前…まだ百瀬の事、吹っ切れないのか……」


「……う、うるさいし…」


ヒロに言われ、一番前の方に座る朋に目を向ける…

朋はクラスメイトの女子達と楽しそうに談笑中。



実はヒロは俺と朋の関係性を知っている人物。

ヒロは女性関係に妙に鋭く、俺が朋を避けるようにしてるのを怪しんで、無理矢理吐かされたのだ。


その後、割と相談にも乗ったりしてくれたが……最近は合コンの誘いが多い。

多分俺を心配してくれての事なんだと…思う。



「…ヒロ、最近なんでやたら俺を合コンに誘うんだよ?」


「…女の子達側からお前を誘えって頼まれてんの!」


「………なんで俺なんだよ」


「お前は女子からの人気が高いんだよ!…ったくもう少し周りに目を向けろ!……中学の時だって、結構な人数の女の子に告白されたクセに全部断ったろ……もったいない」


「………………」


ヒロの言うように中学の時、何人かの女の子から告白されたが…全て断った。

朋を傷つけた俺には女の子と付き合う資格は無い…



とゆーより…俺の心にはまだ朋がいる。

俺は……俺に向けてくれた朋のあの笑顔が忘れられない。

傷つけてしまった時のあの泣き顔が忘れられない………

朋が大好き気持ちは…今もずっと変わる事はない。



無視されてもいい…罵倒され嫌われてもいい…あの時の事を…謝りたい………

朋……キミは…俺の事…どー思ってるのかな…………







キ〜ン〜コ〜ン〜カ〜ン〜コ〜ン〜♪♪………





放課後になって屋上への扉の前の踊り場で寝そべりヒロと会話中、出てくる話題は………




「なぁ〜陽よぉ〜…合コン行こうぜ〜……」



「……ヒロ、他に話題無いのか……」


終始合コンの話ばかり…ヒロは見た目は悪くないし、割りと世話好きの良い奴なのに、女の子にあまりは人気がない。


性格が三枚目っぽく、チャラい印象を与えてしまうからなんだろうなぁ…別にチャラくないのに。

喋ってると女の子がひくような下ネタ言う時もあるし……






「…陽よぉ……真面目な話、なんで百瀬に謝らないんだよ…?…まぁ5年以上も経ってしまうと、気まずいってーのも分かるが、まだ後悔してて謝りたい気持ちがあるなら遅くはないと思うけど?」




「…………怖いんだ…」



「…怖い?」



「…朋が俺をどう思ってるかじゃない……俺は何を言われても我慢できる。………俺と会話をして、また朋を傷つけてしまうのが怖いんだ………それを考えると謝るどころか…声を掛けるのも…怖くて……さ」



「………陽。」



あの時の…朋の泣き顔を思い出すと、いまだに胸が張り裂けそうになる。

朋と会話をしてまた傷つけてしまったら…

あんな悲しい顔した朋はもう見たくはない。

ならいっそ…近づかないほうが……





「……陽……お前の気持ちも分かるけどよ、……想いは言葉にしないと……伝わらないと思うぞ?」



「…………!」



ヒロの言った一言は俺の胸に重く響いた。

想いは言葉にしないと伝わらない……か。





「…あぁ…なんかオレのキャラに似合わず説教っぽくなっちまったな……悪ぃ…」



「…あ……い、いや……」



「…さて、オレそろそろ帰るわ。……陽も雨が降りそうだし、早く帰れよ?………じゃあな。」



「…じゃあなヒロ………さんきゅ。」


ヒロは手を振りながら踊り場から階段を下りていった。

……ホント世話好きの……良い奴だよ。


寝そべったまま、瞼を閉じて、ヒロに言われた言葉を繰り返し考えていた………








ザアアァァァ………





「………ん………あ、あれ?……俺……寝ちまったのか…」





…考え事をしている内に、いつの間にか睡魔に襲われ、少しの間眠ってしまったらしい。

…時計を確認すると20分位は寝てたようだ。


起き上がると激しい水音に気づき、屋上の扉を開けて外を見ると凄まじい豪雨だった。

今日の降水確率40%だったけど、一応折り畳み傘持ってきて正解だったな。






……もう殆どの生徒が帰ったのかシーンと静まり返った校内。

雨のせいで湿気の多いジメッとした空気の中、階段をトボトボと下りる。

なんか……ますます気が滅入るなぁ……





1人でいると、さっきヒロに言われた一言が頭に響く。

想いは言葉にしないと伝わらない……

確かにそうなんだけど……ただの一言が…こんなに重いなんてな…


朋はあの時の事…どー思ってるんだろう…





…下駄箱に着いて上履きをしまい、靴を履いている時だった…

校舎入り口の所に女子生徒が立ってるのに気づいた。





……ん?…まだ誰か残って………!!??……ん!?え!?……あ、あれって……と、朋…?




…え!?な、なんで?…なんで朋、まだ居るんだ!?…あ、今日は朋が日直だったっけ。

だからこんな時間まで居たのか…



てゅーか、なんで帰らない……あ、傘忘れたのかな…?

ど、どーしよ!?…俺、傘あるけど…な、なんて声を掛ければ…


てか相合い傘…なんて……い、いや……ハードルが高い!無理!

5年も喋ってないのにいきなり相合い傘なんて…



はぁ…俺ってホントヘタレだよなぁ…

でもどーしよう…朋、困ってるよな………どーすれば……ん〜〜………………よ、よし!


俺は折り畳み傘をギュッと握り、ゆっくり朋に近づいた。





…そして朋の目の前に立つと何年かぶりに、まともに目が合った。





「……あっ」


朋が俺に気づいて驚いたように目を見開いた後、少し俯いて目を反らした…


うぅ…目の前でやられると結構ショックでかいな…い、いや負けんなマイハート!!





「……あ、あの……こ、これ…使って…」



「…え?」



俺は握っていた傘を朋に差し出すと朋は上目遣いで俺を見てきた…

俺の方が少し背が高いから自然とこうなるのだが……


ああ〜可愛いなぁ〜めっちゃキュンときた〜





「…あ、あの……え、えっと……で、でも悪いし……その、は…るが…ぬ、濡れちゃうし……わ、私は大丈夫…だから…」


視線を泳がせながら、しどろもどろで、遠慮気味にやんわりと拒否してきた。

やっぱりな……なんとなく予想はしていた反応……そこで俺は…





「い、いいから………はい!」



俺は拒否されるであろう事も想定していたので、朋に強引に傘を持たせて……





「……じ、じゃあ!」



「…あ!………ま、待っ………」



俺は朋に傘を渡すと、どしゃ降りの雨の中、猛ダッシュで駆け出した……

背後から朋の声が聞こえたが、それを振り切って、ただひたすらに突っ走った。









ザアアアァァァ………






「はぁ…はぁ…はぁ…」






いつも見慣れた景色が、あっという間に通り過ぎていく。

まるで別世界に来たかのような不思議な感覚。


周りの音は何も聴こえてこなかった……

聴こえてくるのは自分の息遣いと、大きく早く刻み続ける心臓の音だけ……



全身に冷たい雨を浴びて、ずぶ濡れになりながらも、俺は何処か心が暖かく感じていた。


久しぶりにまともに見た朋の顔、久しぶりに聞いた朋の声……それが凄く嬉しかった……



こんな事が罪滅ぼしなるとは思わない…

でも………ほんの少しでも………朋の為に何かできたのが……………嬉しかった。









〜翌日〜







「…ごほっ…ごほっ…げほっ」




頭が痛い…身体がダルい…熱い…………思いっきり風邪ひいてしまった。


昨日帰ってきてから、ちゃんと身体を拭けば良かった。

はぁ……ホント情けないやら格好悪いやら……


……でも朋が濡れなかったハズだから良しとしよう。





さっき自力で学校に休む事を連絡した…。

実はウチの両親は有名な考古学者から、お誘いを受けて海外で仕事している。


…確かその有名な考古学者って……ウチの学校の3年生で、彼女が4人もいるで有名な一条晃太先輩の親なんだよなぁ…



子供置いて、海外で仕事とか…………別にいいけどさ。

晃太先輩は周り女の子だらけで寂しくはないだろけど…



ダメだ…風邪ひいて、気が滅入って……しかも1人…なんか寂しいなぁ……

うぅ…薬飲みたいからなんか食べよう……







………………





「…ズルズル…チュルッ………はぁ…」



作る気力が無いからカップ麺にしたけど…

食欲が出ない…もういいや薬飲んで寝よう……今頃、みんなはまだ授業中か…

……朋は……風邪…ひかなかった……よな…



そういえば……昔、同じように風邪をひいて寝込んだ時、朋が必死に看病してくれたんだっけ…

ずっと俺が寝ている布団のそばを離れなくて、汗を拭いてくれたり、お粥を食べさせてくれたり……


もし…あんな出来事が無かったら…朋はいまでも…看病…してくれたのかなぁ……



高熱で頭がボ〜ッとしながら瞼を閉じると……思い浮かべるのは朋の事ばかり…。


遠退く意識の中で、思い出される彼女の顔。

だけどその中で………笑顔だけは……思い出す事が……できなかった………………。






第1話終

姪っ子曰く、こんな幼なじみ恋愛したくて考えたらしいです

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