下宿のマーサ
6話 下宿のマーサ
3人の下宿は学校から直行したら歩いて10分くらいの距離である。ただ、3人はパン屋に寄った後も寄り道を繰り返し30分ほど使ってようやく下宿にたどり着いた。
下宿はレンガ造りでしっかりとしたつくりになっている。これは主人が、腕のいいドワーフと知り合いでつてで安く作ることができたからだ。
「ただいま~」
「今日も疲れたぁ」
「ただいま帰りました」
玄関に着くとピス、ソド、ウィザの3人はめいめいに帰りの言を口にする。
「はいよ、おかえり。……ってあんたたちまたピグんところでパン食べてきたわね?」
「あ、バレちった?」
ソドがとぼけたように頭をかく
「当たり前じゃないの!口から甘い匂いを出して、純オークの私をなめるんじゃないわよ!」
そう笑いながら下宿の主人、オークのマーサが叱った。これまたオーク種なのだが、彼女の場合はさきほどのピグと違って先祖代々オーク同士で結婚・出産をしてきた。なのでこのような純血種を純オークと言ったりする。血が濃いとそれだけ種族の能力が鋭敏に発揮される、だから彼女は人間の何倍も鼻がいい。
「まぁ、あんたたちだから今日も食べてくると思ったよ。ご飯は7時だからね。残さないようにするんだよ!」
「「「はーい」」」
3人が素直に返事をした。こちらと同じで15歳の思春期真っ盛りといってもまだまだ子供なのである。
「とりあえず、外で今日習ったところを復習するか」
ソドが提案する。
「そうだね。体動かせばおなかもすくだろうし」
ウィザも賛成する。そして二人はノールックでピスの腕をがしっとつかんだ。
「逃げるなよ?ピス」
「ええ!? 休ませてくれたっていいじゃん」
ピスは最後の抵抗を試みたが次の2人の言葉にあえなく撃沈した
「よくない! ピスはさっきだって昼寝してたでしょ!」
「お前が「魔剣術」みるだけなら大丈夫だって知ってんだからな!」
そうしてピスは仲良く2人に連れ出された。