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ケンタウロスのフィロス先生

さて視点を3人に戻そう。タビの街に戻ってきた3人であったが、ソドとウィザはピスを術練学校まで連れて行き、フィロス先生に授業をさぼったことを謝らせた。ちなみにフィロス先生はケンタウルス種である。穏やかな性格とたまーに怒るときの激しさもあり、生徒からは畏怖と尊敬のまなざしを集めている。

「すみません、こいつが授業さぼっちゃって」

「すみません、ピスが授業をさぼってしまって」

ソドとウィザが同時に謝罪の言をいい、頭をぺこりと下げた。ここに謝りに来たのは3人が術練学校の中では飛びぬけて優秀で(ピスが「剣術」と「魔術」の授業だけさぼろうとするのを除けば)品行方正な優等生だから、というのもあるが、1番の理由はひとえにフィロス先生の人望からだろう。

ピスも渋々といった感じではあるが

「すみませんでした」

と、頭を下げる。なんだかんだ自分が悪いことをしたという自覚はあるようだ。フィロス先生もこれが日常茶飯事でありながらも毎回こうして頭を下げに来てくれる3人がけなげに思えて仕方なくあまり強く怒れない。それになぜピスが授業をさぼるのか知っているからでもある。

「ま、今回も大目に見ようか。でもピス、せめてさぼるんじゃなくて遠くからでもいいから見学という形をとってね」

「……なるべく頑張ります」

「ところで3人とも、撰術学校はどこに行くか決めたのかい?」

するとソドが返事をする。

「いいえ、山の向こうのダバイの撰術学校に行くことも考えてはみたんですけど、まだ決まんなくて」

「あそこなら「剣術」も「魔術」科目もあるし3人一緒にいけるのですが」

そう答えたのはウィザだ。3人の中で目上の人と話すとき一番礼儀正しい。ちなみに一番悪いのはソドだ。彼は敬意をもって接してはいるものの口調がいつの間にかくだけてしまう。

「フィロス先生、「剣術」も「魔術」も使わなくていい学校はありますか?」

ピスが意を決したように聞いた。隣にいる2人は驚いてピスの方に顔を向ける。

「うーん、僕が知っている限りでは無いかな。君たちも知ってのとおりこの世界は「剣術」と「魔術」が基礎となって発展してきたといっても過言ではない。農業でも魔法が使われる前提で行われるし、祭事でも剣舞といった剣を使うことがほとんどだ。魔法と剣、どちらも君にとってはつらいだろうがなくてはならないものなんだよ」

しゅんとうなだれるピス、その様子をみたソドとウィザは先生に食い下がる

「先生、なんとかなりませんか?」

「先生なんとか抜け道はないでしょうか?」

すると、先生は深く考えこむ様子を見せた後、ハッと顔を上げる

「そうだ、いっそ「大会」に出てみたらどうかい?」

「大会って、「魔剣術の大会」のこと? でもそれって余計にピスがつらいんじゃ?」

「魔剣術」とは単に「魔術」と「剣術」の略称である。国の民がいちいち「魔術」と「剣術」と呼ぶのが長ったらしいということで自然と「魔剣術」という略称が浸透していった。「魔術」と「剣術」を複合した戦闘様式の名称はまた別に存在する。

「単に大会に出て優秀な成績を収めるわけじゃないよ。より強力な力を持つ術者を探すんだ。もしかしたらその人がピスの「癖」を抑える方法を教えてくれるかもしれない」

フィロス先生が理由を教えてくれる。単純な方法かもしれないけれども「撰述学校」にいくよりは可能性があるかもしれない

「君たちならかなり大きな大会でも勝ち続けられるかもしれない。それこそ王都で行われる「聖門祭」でも優勝できるかもしれないね」

「先生それホント!?」

ソドが目を輝かせていった。フィロス先生は3人のことをかなり高く評価してくれているようだ。

「もちろん可能性としてだけどね。君たち3人は今まで教えてきた中でも飛びぬけて優秀だからね、ソドは「剣術」において、ウィザは「魔術」において、そしてピス、君はその両方だ」

先生は3人に微笑みかけた。



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