予選。そして決闘
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予選は一日目を全て使って行われます。
この予選は60~70人の生徒が同時に戦闘を始め、全員が敵というバトルロワイヤルです。
この予選のコンセプトは「不特定多数との戦闘」です。
この学園を出た生徒の半数は騎士団に入ります。
騎士団での仕事は犯罪者の取り締まり、魔獣の討伐など数がハッキリしていない場合が多いです。
その中でどう戦闘を行っていくかが重要視されています。
つまり、この戦闘では「最後まで生き残る」のではなく、
「いかに多くの相手を倒すか」ということが必要になります。
確かに最後まで生き残ることも必要とされていますが、
勝者がほとんど戦闘をせず生き残った者の場合、撃破数が最も多い生徒が本戦出場することもあります。
それに、この新入生武闘大会は自らの実力を見るためのものなので、
戦闘を行わなければ意味がありません。
「27番ブロックの生徒の皆さんは3番闘技場へ集合してください。繰り返します・・・」
「お、呼ばれたみたいだな。」
「そうですね。ラケルは戦斧ですか。」
「そうだぜ。怪我しねえように気をつけな。」
「ご忠告どうも。」
『ただいまよりぃ!27番ブロック予選を開始するぜぃ!野郎どもぉ!準備はいいかぁ!?』
「「「おおぉ!!」」」
『そんじゃぁいくぜぇぇ!!れでぃぃぃファイッッッッ!!』
バァァァァァァン!!!!!
「「「うおぉぉぉぉぉ!!!」」」
さて、俺も行きますか。
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この闘技場には特殊な魔術が施されており、
範囲内で怪我をした場合本人の魔力を使い、回復魔術を作動させるというものです。
そしてもう一つ。
大きな衝撃を受けた者は範囲外に転移させられるというものです。
転移魔法というものは制御が難しく、ヘタをすれば宇宙空間に投げ出されたり、
地中に埋まったりすることがあるので大変危険です。
しかし、それを魔術にして、転移位置を固定すれば話は別です。
この闘技場のように安全に訓練を行うことが出来るようになったりします。
そして現在闘技場内に残っている生徒の数は20人ほど。
50人近くが脱落しました。そして20人が取り囲んでいるのが俺です。
脱落した半数は俺がやりました。
その結果、残った人数は全員で共闘し俺を倒すことにしたようです。
ラケル?既に片づけました。
たとえ20人でも戦闘経験のないものに負けたりはしません。
・・・あれ?俺も戦闘経験なくね?
まぁいいです。
どちらにしろ、負ける気はしません。
それでも慢心は行けません。
どこかの空母さんも言っていますしね。慢心ダメ!絶対!
そんなことを考えていたら後ろの4人が仕掛けてきました。
そして前方の5人も仕掛けてきます。波状として左右はタイミングをはかっているようです。
まず、後ろから片づけます。
バク転の要領で大きく後ろへ飛び、後方部隊の後ろを取ります。
そのまま1人倒し、2人目も倒します。
一瞬で2人やられたことに狼狽えた所を3人、4人と倒し、
前から仕掛けてきた者達に突撃します。
タイミングを失った左右の生徒はどうすることも出来ず、
ただ見ているだけでした。
そんな感じで(作者がめんどくさくなった訳ではない。)残りも殲滅しました。
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『27ブロックを制したのはカナタ=リ=フェミナだぁぁぁぁぁぁ!!!』
そんな感じで合計40名近く倒したので問題なく27ブロック代表として選ばれました。
そんなこんなで予選が終わり、姉上やミスト、ラケル達と打ち上げを行います。
そのついでにということで生徒会の歓迎会もすることに。
何となく避けられるかなぁと思っていた姉上も反応の変化はなく、
何となくカイン先輩が俺に対して風当たり強いなぁと感じながらも、
大きな問題もなくお開きになりました。
飲酒は成人するまで禁止されているのでジュースで酔ってしまった姉上をミストに任せ、
自分の部屋へ引き上げようと思い席を立ったときに、
「カナタ=リ=フェミナ」
カイン先輩に呼び止められました。
「何でしょう、カイン先輩?」
「少し顔を貸せ。」
内心嫌々ながらも、
「わかりました。」
と、カイン先輩について行きます。
そしてだいぶ人気の無くなったところで、
「カナタ=リ=フェミナ。俺と決闘しろ。」
「・・・なぜでしょうか?」
「俺が勝ったらクリアを貰う。」
「そういうことですか。・・・残念ながらその決闘。お断りさせて頂きます。」
「なぜだ?俺と戦うのが怖いか?」
「そんな安い挑発には乗りませんよ。それにカイン先輩と戦えば勝つのは俺でしょうし。」
「ならば戦って示せばいいだろう。」
「そもそも。姉上は俺の物ではありません。ましてや貴方の物でも。姉上は姉上の物だ。それを勝手に自分の物にしようとするのなら決闘以前にたたきのめして差し上げましょう。」
「そんなものは詭弁だ。クリアはおま・・・」
「貴方程度の男が姉上の名前を呼ばないで頂けますか?」
「なっ」
「貴方はもっと高貴な方だと思っていました。しかしそれは間違いだったようです。そこら辺にいる貴族と何ら変わらない。騎士を気取っても結局は情欲が勝ち人を物にする。」
「貴様!愚弄するのもほどほどに!」
「1回、1回だけ貴方の勝負を受けましょう。しかしそれ以降は貴方を敬うこともせず、姉上に近寄れば制裁をくだします。たとえ姉上が貴方を認めたとしても俺は貴方を認めない。」
「ルールは俺が貴方から10本取るまでに俺から1本とれたら貴方の勝ちです。受けますか?負ければ貴方には今後一切生徒会室に立ち入ることと姉上に近寄ることを禁じます。」
「・・・俺が勝てばクリアを好きにしていいんだな・・・?」
「かまいませんよ。俺に勝てたら。ですが。」
「後悔するなよ。場所は後で通達する。」
そう言って立ち去るカイン先輩。
「まったく・・・姉上も罪作りな人ですね・・・」
そうして俺は絶対に負けられない戦いを約束してしまうのだった。