入学式とその他
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そういえば俺が入学したと言うことは兄上は中等教育修了です。
兄上は貴族の当主になるので、高等教育を卒業していないと舐められてしまいます。
そう言うわけで兄上は高等教育へと進んだのですが、
相変わらずのダントツのトップです。
なんというかフェミナ家が暴走していますね。
そういえば魔法に関しての説明をしていませんでした。
魔法とは、魔力という超次元的な力を使い事象を改変する。といったところでしょうか。
この世界の魔法は具体的な属性が存在しません。
魔法で火をおこそうとするなら、魔力で火を形作り、魔力を火に変換する。
という感じです。属性がないのなら誰にでも使えるというわけではありません。
魔力適正というものがあり、それによって魔力が扱えるかどうかが決まります。
そして、内在的魔力量というものがあります。これは自分の中に存在しうる魔力の最大量を示します。
一瞬ともすだけなら大抵の魔術師なら出来るでしょうが、数分も継続していれば、
大抵の魔術師は魔力が枯渇してしまします。魔力が枯渇すると、
目眩、嘔吐、頭痛、昏倒などの症状がでます。最悪死に至るケースも報告されているようです。
火という非物体のものではなく、そのまま物体ならどうでしょうか。
事実上は可能です。しかし、実用化は現実的ではありません。
消費魔力が大きすぎるのです。
たとえば、鉄を物体化するとしましょう。
まず、鉄の構造を完璧に理解する必要があります。
そして、鉄を10グラム物体化するのにかかる魔力はおよそ500。
たった10グラムに魔術師が一人つぶれてしまいます。
入学後数日後にある、身体測定の時に魔力適正があるかどうかを検査し、
魔力適正があるものは後日内在的魔力量を測定するのです。
魔力適正にはSランク~Dランクまであり、Sランクは1つの時代に一人出るか否か位の確率らしいです。
たいていの人はC~Dランクで内在的魔力量もあまり多くないようです。
大抵の内在的魔力量は、300~500ぐらいだそうで700もあれば誇っていいんだとか。
姉上に魔力適正があり、驚異のAランクだそうです。内在的魔力量も圧倒的な数値らしいです。
何でもそこらの魔術師よりも2桁は違うとか。
姉上の場合はレアケースですが、魔術師の確率は30人に1人位の確率だそうです。
そうそう、すっかりわすれていました。
「スキル」について話していませんでした。
スキルとは魔力と似ていて、完全に才能に依存します。
パッシブとアクティブがあり、パッシブは常時発動型で、アクティブは任意発動型です。
このあたりも、身体測定の際にわかります。
そんなことを考えているうちに馬車が学園へと到着しました。
周りには多くの新入生がいます。そして多くの生徒は此方を見てひそひそと話しています。
まぁ仕方ないですね。フェミナ家からは鬼才と才女が出ているのですから。
はたしてあれは天才かぼんくらかと必死で見極めているのでしょう。
もうじき入学式ですので、講堂に向かいましょうか。
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『ただいまより、メルティエーナ国際学院の、入学式を始めます。』
・・・・
『続きまして、現生徒会長クリア=リ=フェミナ様に祝いの言葉を頂きます。』
「えー、みなさん。初めまして。生徒会長のクリアです。まずは入学おめでとう。
なんてありふれたことは言わないわ。」
そんなことを言う姉上を前に新入生達はざわめき始める。
「ここで、自分を磨きなさい。ここで自分を何処まで高められるかがあなた達の人生をわけるわ。」
そして、姉上は俺をみると、
「最後に、私の弟が今年入学してきてるのは知ってるわよね。弟が欲しかったらまず私に認められなさい。
次に兄上、さらに母上、そして父上に認められた者が弟を手にすることが出来るの。」
「つまり、私に認められないと土俵に立つことも出来ないのよ。わかったかしら?」
「それじゃ、私の話はここまで。またね~♪」
『・・・え~と、生徒会長、ありがとうございました。次に・・・』
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さて、明日に入学試験があり、今日はあとは入寮に関してです。
寮は男女で別れており、男子は女子寮にはいるのは御法度ですが、
女子が男子寮にはいるのは許可されています。ナゼデショウネー、ワカンナイナー。
もちろん無理矢理連れ込んだり、性的暴行を加えたりすれば即刻退学で、
衛兵に明け渡されます。この場合、名前・性別・何処の出か・顔写真が貼られた紙が王都にばらまかれます。
これにより、働き口が無くなります。つまり、社会的死亡ですね。
この学園、意外とぐろいことしますね。
部屋は完全個室で、一部屋にシャワー、トイレ、キッチンがついています。
お風呂は共同のお風呂があり、男子寮内に1つ、女子寮内に1つあります。
女子はその気になれば男子寮のお風呂にも入れますが、そんなことをする女子はいません。
この学園は全寮制なので、全生徒がここで暮らしています。
おそらく、学園内の建物で最も大きいのがこの寮でしょう。
男子寮女子寮共に5000の個室があり、その半分はほとんど使われていません。
とても無駄遣いですね。
いくら寄付とかでお金が有り余っていたからといってこれを建造した時はどういう状況だったのでしょうか・・・
まぁいいです。
さて、入寮式も終わり、自分の部屋にやってきました。
ドアに前に立って、深呼吸。
これから三年間すごす部屋に入ろうとドアを開けると・・・
「あ、カナタ。遅いよー」
・・・姉上がいた。
「・・・なんで姉上がここにいるんですか・・・」
「ん~?別に女子は男子寮に入っていいんだよ?」
「しってます。・・・まぁいいですけど・・・」
「ん~?」
姉上はそう言う感慨とかは気にしない人でしたね。
「ところで、姉上。入学式のあの挨拶は何ですか。」
「だって~、カナタイケメンだし。頭いいし。家柄もいいし。
最高級物件だから釘刺しとかないととおもって」
「そうですか?別にイケメンじゃないと思いますけど・・・」
「そんなことないよ~?女の子は怖いんだから」
「それで?何か用があったんじゃないんですか?」
「そうそう、忘れるところだったわ。明日の試験で主席になったら生徒会に勧誘するからよろしくね?」
「主席になったらって・・・気が早すぎるんじゃないですか?」
「そんなこと無いわよ。あたしより賢いカナタが主席にならないはずないもの」
凄いプレッシャーですね・・・
「まぁ、努力はしますけど。」
「生徒会に入ったら副会長になると思うわ。何でもこの試験で主席になった生徒は代々二年で
生徒会長に選ばれるらしいから早い段階で仕事に慣れておいた方がいいらしいわ」
「なるほど、まぁわかりました。主席になれたら生徒会にはいります。」
「うん!それじゃあご飯食べにいこ!」
「分かりました。」
どうなることやら・・・