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新入生武闘大会決勝

姉君と婚約を交わし、ミストにアタック宣言をされた翌日。

つまり、新入生武闘大会三日目です。

三日目は準決勝と三位決定戦に続いて決勝がある日です。

準決勝は一試合ずつ行われ、その後に三位決定戦があり、目玉として決勝が行われます。

「俺の出番は二試合目ですね。」

準決勝は抽選によりBブロックから行われることになりました。

「カナタは試合を見たりはしないのか?」

「俺はあまり人の試合は見ませんね」

「へぇ?なんで?」

「だって面白く無いじゃないですか?負けたら死ぬとかならまだしも遊びのようなもので分析までしたら面白味がなくなります。」

「・・・それはお前だけだとおもうぞ・・・?そもそも見ただけで分析が完了するのはスキル持ちか達人くらいのもんだ。」

「まぁ、そう言った理由からこの大会では他の試合は見たことがありませんね。」

「じゃあ、見てみるか?」

「いえ、遠慮しておきます。」

「そうか、まぁ無理矢理見せても意味ないしな」

「それでは、俺は控え室の方へ行っていますので。」

「おぉ」

ラケルとその場で別れ、自分は控え室へ向かいます。


Aブロック控え室前。

時間はすでに三位決定戦の最中です。

「あんたがカナタか?」

「・・・先にそちらから名乗るべきでは?」

「そうだな。俺の名前はベルク。で、あんたがカナタでいいんだよな?」

「えぇ、いかにも。俺がカナタです。」

「そうか、俺はBブロック準決勝戦の勝者だ。見てたか?」

「いえ、俺は相手の試合は見ないので。」

「ふん、余裕だな。まぁ、決勝で覚悟するんだな。」

「・・・カインですか?」

「・・・まぁ、否定はしないさ。」

「まったくあの人はどれほど失望させてくれるのでしょうか・・・。まぁ、おれが勝手に期待していただけですが。」

「ま、そう言うことだ。恨みはないが相応の恥を掻くと思っておいてくれ。」

「俺がはいそうですかと言うと思いましたか?」

「それはいう言わないにかかわらずあんたが恥を掻くっていうのは確定事項だよ。」

「・・・それは試合をしてからわかりますよ。さてそろそろ時間です。・・・楽しみにしていますよ。どんな恥を掻かせてくれるのか」

「余裕でいられるのも今のうちだぞ」

「それでは決勝で会いましょう?」

そのまま俺は控え室から離れます。

向かう先は決勝戦会場へ。


********************


「また会いましたね」

「そりゃ、会わなきゃ困る。」

10数分後、俺の姿は決勝戦会場の上にありました。

「さて、どんな風に恥を掻かせて貰えるのかたのしみです。」

「ふん、いってろ」

『いよいよきたぜ野郎どもぉぉぉぉぉ!!!念願の決勝戦だぁぁ!!』

「「「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」」」

『さてさて決勝戦を焦らすように行われた三位決定戦も終わり、決勝戦の舞台に立ったのは知る人ぞ知るフェミナ家が次男カナタ=リ=フェミナだぁぁぁぁ!!!』

「「「キャァァァァァァァ!!!」」」

『野郎ども黄色い声援に負けてんぞぉぉ!!』

「「うおぉぉぉぉぉぉ!!」」

『さぁ!そんなカナタに対峙するのは知られざる槍使い!!ここまでおおきな何かがあったわけでもないが誰も敵わないようなレベルの槍裁きを突如発揮し始めた謎の槍使いベルクだぁぁ!!』

「「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」「やっちまえぇぇ!!」「女子にモテる奴には制裁をぉ!!」

『モテない野郎どもの怨嗟の声が聞こえるぜぃ!!そんじゃ!行くぜ!新入生武闘大会決勝戦!!開始ぃぃぃ!!!』


ベルクは開始の合図と同時に俺を槍の範囲内におさめると懐に入れさせないような動きをする。

槍はリーチが長い分懐に入られると敵の対処が難しくなる。

そんな動きの隙間を埋めるように攻撃してくる。当然、ウェポンマスタリーを持っている俺は武器の特徴や長所短所はすぐに分かるため、それにあった動きをする。

槍の場合は相手の懐に入ること。

ベルクはとても9歳とは思えないレベルの動きをします。

たしかに、この技量をもってすれば大抵の相手に恥を掻かせつつ圧勝することは出来るでしょう。

あくまで「大抵の相手に」ですが。

小さな頃から英才教育と厳しい鍛錬を受けてきた上に様々なチートを授かった俺に敵う相手は学園内で極少数になっています。

そんな俺に今年入学してきて我流の鍛錬しかしていない者が敵うはずがありません。

たとえそれが9歳の水準を大きく上回っていたとしても。

「ふっ!」

「!?」

当然のように攻撃の隙をついてきた俺に驚いているようです。

「どうしたんですか?恥を掻かせてくれるのでは?」

「いわれなくてもっ!」

ここで挑発に乗ってしまうあたりまだまだ子供と言わざるをえませんね・・・

「こんなものですか?」

「!?」

なんだか悪役を演じている気分になってきました・・・

「おらぁ!」

「甘いです!」

そこで焦ったのか大振りの攻めに出るベルク。

攻めというのは威力を高めれば高めるほど大振りになります。

そして、大振りになればなるほど隙も大きくなります。

その隙を軽やかにつきます。

油断せず、慢心せず、どんな相手にたいしてもとりあえず本気で相対するというのは口にするのは簡単でも実行するのはとても難しい。

ベルクは自らの技量を過信し、油断しました。

そして、ベルクの首筋へ剣の切っ先を突きつけます。

「終わりです。」

「・・・・・・降参だ」

「「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!!!!!!」」」」

『きまったぁぁぁぁぁ!!!ここで決勝戦決着!!決勝を制したのは!!カナタ=リ=フェミナだぁぁぁぁぁ!!!!』

「・・・なんでいままでその実力隠してた?」

「はて?なんのことですか?」

「とぼけんな!いままで全く本気で戦ってなかっただろうが!」

「・・・それは勘違いです。俺はずっと本気でしたよ。ただ、体の調子がでる前に終わってしまっていましたが」

「そんな・・・俺は・・・いったい・・・」

「・・・君は確かに強い。周りの水準からも大きく離れている。」

「・・・」

「だからこそ慢心した。」

「!?」

「自分は強いと、負けないと思いこんでしまった。周りと比べて強かったこと、それが君の敗因だよ。」

「・・・くっ」

「まぁ、だからといってその強さが悪い訳じゃない。実際強くなければここまでは来られなかっただろうしね。君は負けることを知った。これから君はもっとのびる。諦めなければね?」

「あぁ・・・いつか・・・必ずお前に勝つ。」

「えぇ、楽しみにしています。」


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