お気に入りの靴
俺は現在、高校二年生です。
これは、この前オープンキャンパスに行って
履き慣れていた靴で、なぜか靴擦れを引き起こし
靴が気になって仕方が無くて、それで生まれた作品です。
楽しんでいってください!
ご主人様の、
「いってきます」
それが、わたしの仕事をする合図です。わたしは靴です。
ピカピカで綺麗な本革の地味な色の靴よりも、機能的で優れている靴。それに見た目も格好いいし。他のどんな靴よりも、ご主人様には気に入られています。毎日とは流石に言えないけれど、大抵の日はご主人様のお世話をしています。
わたしを選ぶあたり、ご主人様はセンスがいいです。わたしを履いているご主人様は、本当に格好良くて……。いつも、わたしを大事にしてくれるご主人様は素敵です。わたしが少しでも汚れると、すぐに払ってくれるし、染みつきそうな汚れが付くと、丁寧に、丁寧に洗ってくれる。いつまでも、ご主人様についていきます。
そう、思っていました。でもご主人様は、わたしに汚れがついても、気にも留めなくなりました。わたしが酷く汚れると流石に、洗ってくれます。でも、嫌々とでも言いましょうか。前と比べて雑に洗うのです。それでも洗ってもらえる、わたしは幸せ者なのかもしれません。いつしか、きっと、物置にでも入れられてしまうのでしょうか……。いえ、そんなことは無いわ。
わたしはご主人様を信じています。あの人は、わたしをそんな風に扱わないはず。
更に時が経つと。
雑に洗われた所為か、ほつれが出てきました。こうなってしまったら、後は捨てられるのでしょう。始めから分かっていたのに……。いつかはどんな靴でもこうなります。愛されている? 勘違いも甚だしい。あの人は私を道具としてしか見てくれない。なぜなら、わたしが道具だからです。道具の気持ちなんて考えもしないのでしょう!?こんなに愚かなわたしを見たら、あの人は、なんていうのかしら……。
道具にかける言葉なんてないのでしょう? そうですよ。わたしは道具です、所詮道具ですよ。あなたに心から仕えてしまった愚かな靴の、なれの果て、ですよ……。ですから……。
こんなわたしは、見ないでください。あなたに、顔向けできないししたくありません。
忘れ去られ、物置へと。そうです、それでいいのです。臭いものには蓋でもして、新しい靴と一緒に幸せをつかんでください。
買った時についてきた、箱に入れられる。新品とは違い、ぼろぼろの姿で。
もうわたしは二度と暖かな日差しなんて浴びることはできないのでしょう。でもそれでいいのです。こんなに汚くて、みじめなわたしは……。
お休みなさいませ、ご主人様。
気が付くと、わたしのほつれは治っていて。今まで入ったことのなかった、ご主人様の部屋の中へ入れられていました。なんでわたしを直したのでしょう……。売り払いでもするのかしら……。それもいいわね、どこか遠くに行ってしまいたい。でも、もう二度とご主人様とは会えないのね。なんだかんだいい人だったわ。わたしはご主人様を愛していました。
ご主人様は、わたしのことを――。いえ、夢みたいな話ね。やめましょう。あなたの、お気に入りに成れただけで、わたしは幸せでした。
いままで、ありがとうございました。
その時わたしの気持ちが通じたのか、いやそれは無いでしょう。
でも、
「おつかれさま」
と言ってくれました。こんな靴に。本当にわたしは幸せ者なのでしょう。流す涙は無くとも、わたしの心は泣いていました。ご主人様がやさしく微笑んだ気がします――。
わたしは売られたと思っていました。でも違います。お隣さんの子供の靴になりました。
ご主人様は、
「俺のお気に入りの靴だ。大事にしてくれよ」
と言って、隣の子供に靴を譲りました。今では大人になってしまったご主人様。わたしがご主人様のお気に入りだった頃と、ご主人様と同じくらいの年齢の子供です。
新しいご主人様も、わたしのことを大切に扱ってくれるでしょうか……。でもいい子そうです。心配はしなくてもいいのでしょう。
新しいご主人様も、大切に扱ってくれます。ご主人様の見る目は確かだったようです。わたしほどの幸せな靴はそういないのでしょう。また日向に顔を出すことが出来ました。それもご主人様のおかげです。
わたしの内側には、ご主人様の字で直樹と小さく書かれたままです。
どうでした?
これは、二か月ほど前に書いた作品ですが
自分がホッコリできたのは
この作品だけですね……。
少しでも感動や温かい気持ちになって頂けたら
猛烈に嬉しくなります。
感想をお待ちしてます(チラッチラッ




